訪問した時期が悪すぎた、古家庵

1000年に一度と言われる大震災や津波による直接被害だけでも国家的な危機であるのに、追い打ちをかけた原発事故。放射能漏れに加えて電力不足による計画停電で、首都圏のレストランも未曾有の危機に陥っております。
東北を産地とする食材、たとえば三陸の牡蠣、短角牛、そして白金豚などの入手は絶望。ただでさえ連日の現場惨状の報道で外食マインドが下がっているところに停電と輸送機関の混乱。おちおち外で食べていられないと外食客は激減し、レストランは閑古鳥しか生息しなくなってしまった。
予約困難な人気店でも一時休店を余儀なくされるほど事態は最悪になっております。そしてこの赤坂の韓国家庭料理店も例外ではなかった。

今年発売予定(4月出版は延期)の友里オススメ本の確認で再訪したのは大震災の翌週はじめ。こんな時期だからこそキャンセルせずと強行したのですが、その夜の客は我々以外閑古鳥のみでキャンセルした方が店にとって良かったのではないかと後悔したのです。

せめて微力ながらも売り上げに貢献しようとまず頼んだのがネギサラダと白菜キムチ。久々の訪問でしたが、こんなに辛かったっけ。
次にチヂミをとメニューを見たら海鮮ネギチヂミとありました。以前は韮チヂミがあったとはずですが、葱の他ゲソなど海鮮系が入ったチジミ、かなり分厚くなって味わいも変わっておりました。韮チヂミの方が美味しかった。

次に頼んだのは大好きな豆腐チゲ。シジミ主体?の魚介の出汁に後から辛さがどんどん口中に広がってきます。こんなに辛いとは思いませんでした。
そしてこの手の店で必ず頼むのがカムジャタンであります。2人前の小を頼みましたが量が多いのにビックリ。豚背骨とジャガイモだけではなく葱もたっぷりで大満腹となったのでした。

ビール、マッコリ、韓国焼酎とかなり飲んで一人当たりの支払いが6000円超。食べログの平均予算の5割増しでありましたが、客は我々だけを考えると申し訳ない気持ちで店を後にした次第であります。
以前とメニューが若干変わり、辛くなるなど味付けも変わったようですが、オススメ店に変わりなしです。

モデル出身のオーナーを最近見かけない、甚六

大箱でオシャレっぽい内装、個室もあって合コンにも利用でき若い男性スタッフを完備した甚六。ダイニングバーと見紛う雰囲気でありますが昔は普通のお好み焼き・たこ焼き店でありました。

もう20年前になるでしょうか。プラチナ通り、今はなき杉の木屋の近くの小さなビル地下にオープンした際のグルメ雑誌のキャッチは「モデル出身のオーナー」でありました。
カウンターと狭いテーブルが数卓の小キャパな店。モデル出身のオーナーが自らお好み焼きや焼きそばを焼いていて、彼の人脈からか芸能人や業界人も多く来店していたのです。

今でこそ文化人となって朝の情報番組でいっぱしの正論を吐いている東ちづる女史、私は彼女を見る度にこの甚六での出来事(正確には店出てから)を思い出します。
もう時効だから書けますが、当時加納典明氏との仲が週刊誌を騒がせていた最中、彼女はある男性と食べに来ていたんです。偶然か同時に地上へ出たのですがそそくさと男性運転の車に乗り込む東女史を見て、知り合い家族の運転する車で面白半分に追跡を開始してしまった。
246を用賀方面へ向かって住宅街へ入ったので、そろそろ目的地なかと喜んだのもつかの間、最後の最後で尾行がばれてしまって彼女らは駐車場で籠城を始めてしまったのです。
幼い子供がいましたので、30分ほどで諦めて帰宅しましたが、その後しばらく幼子達は東ちづる氏をTVで見る度に、「追いかけっこした人だ」とはしゃいでいたそうです。

さて大箱店に移転したのは平成9年。いつの間にか元モデルのオーナーを店で見かけなくなりましたが、オープン当時からある粉物に加えてメニューは更に充実。前店ではあり得なかったワインまで取りそろえた総合鉄板焼屋に変身したのです。

オススメは30分待たされる大きなたこ焼き。蒟蒻ステーキもヘルシー志向の人には良いでしょう。冬期なら地下店でも食べた牡蠣ポンや豚キムチもはずせません。
お好み焼きは甚六スペシャルと葱焼き(スジ入り)が我が家の定番。甘めのソースで味濃い料理の連続であすが、知人家族との食事会にはオススメであります。
ワインも3000円で持ち込み自由。どんなに食べても一人当たり8000円前後。ゲット用には使えませんが、デートにも変化球としてオススメの店です。

昔と変わらぬ食後感に感激、エル・アミーゴ

今春出版予定の友里オススメ本で迷ったのが廉価で美味しい店の掲載です。
高額店に偏っては読者が限定され販売数が伸びない。CPの良い廉価な店はないかと悩んで思いついたのがこの長原にあるメキシコ風ステーキ店でありました。
今思えば天国だった友里第二の独身時代、近辺に住んでいたので結構頻繁に訪問していて15年ぶりの再訪は今年2月でありました。

リニューアルしたのか店内は明るく席間もちょっと余裕の配置。当時は女性主人と息子や娘の家族経営でしたが、バイト風スタッフはじめすべて若手に変わってしまった。
外まで行列の人気店でしたが、この日は満席(何回転も)ながら行列は発生していませんでした。でも昔の料理は健在。ハンバーグもありますが、メインはやっぱりステーキとし、ツマミからオーダーを開始したのです。

チョリソー(680円)は6本。わかりやすい味(旨味調味料)ですが、懐かしく美味しい。タコス(680円)は3枚でトマトも挟んでケチャップベースのソースをかけて食べると旨いのなんの。(マスヒロさん風)
エンチラ(680円)はトルティーヤのソース煮ですが、このソースが甘くてイマイチ。ただしタバスコやハラペーニョ(追加)を入れることによりそれなりに美味しく食べきる事が出来ました。

そしてステーキに突入です。リブロースと称するこのステーキ、220グラム1700円、300グラム2300円、450グラム2850円と、安い店だとわかっていても嬉しい値付けの安さ。脂分がほとんどないので多めのグラムでも充分食べきれることでしょう。この価格ですから、普段よりは強めの火入れ指定をオススメします。
友里が頼んだミディアムの300グラム、店推奨通りバターを鉄板と肉の間に入れ、醤油と擂りニンニクをかけて食べたら良き独身時代を思い出し思わず笑顔になってしまった。普段はアンガス牛が一番だ、神戸牛なんかダメだと注文つける友里ですが、産地不詳のこのステーキがホント美味しく感じたのです。

ワインも当時のまま。冷やたシグロ(2200円)やカベルネメドック(2800円)をがぶ飲みし、大変満足した時を過ごしたのであります。かなり食べ飲んでの支払いが一人7000円。
普通の大食い・酒飲みなら5000円前後で終わる街場の優良店であります。