プラザ・アテネのアラン・デュカスで経験を積み、後にオテル・ドゥ・クリヨンで2つ星をとったシェフ、ジャン=フランソワ・ピエージュが2008年に独立してオープンしたブラッスリー(地上階)。
1階(日本では2階)にあるレストランは現在2つ星をとっていると聞いております。
最近のパリには星付きレストランの廉価版という中途半端な位置付けばかりで美味しいビストロがないと嘆いていた友里でしたが、「人気で予約困難なブラッスリーがある」と聞きまして飛びついたのはいうまでもありません。
場所はサン・ドミニック通りにあるホテルの地上階。
タクシー降りて「おっ、凄く賑わっているではないか」と中に入ろうとしたら店内に大画面のTVが設置されているんですね。よく見るとそこはスポーツバーのようなところでありまして、肝心のブラッスリーはその横にひっそりとドアを構えておりました。
外観は目立たないのですが、中に入ったらその大箱さにビックリ。でも空席の方が多かったのであります。(20時過ぎでした)
カード会社からの予約でありましたが、友里たちは下に見られたのか、ドアを開けるたびに寒風に晒される入り口付近のテーブルに案内されてしまった。
席を変えるように注文をつけたけど、タカピーな受付嬢が「今夜は満席」と却下。この時点で友里の食事前の先入観は最低レベルになったのであります。
フランスなど欧米は早い話「言ったもん勝ち」。3つ星でも高級ホテルでも気に入らずクレームつけると要求が通ることがほとんど。しかも今回は寒風という負のオマケがありましたから。
それでは料理のコメントに移りましょう。
サーモン(22ユーロ)は単にサーモンの薄切りを並べただけに近いもの。何の変哲もないサーモンでありました。
スペシャリテという烏賊のカルボナーラ(14ユーロ)。
何かと言いますと、烏賊をパスタのように細切り(早い話が烏賊素麺)にしてカルボナーラにしたもの。卵黄以外にチーズやベーコンが振りかかっていましたが、どうって事ないではないか。
これならローマの本物カルボナーラの方がはるかに美味しい。黒胡椒も利いていなかったし。
メインはなぜかビッグバーガーに鶏、仔羊、仔牛、鴨と食材は揃っていましたが、単純な火入れ調理のような気がしたので、食材重視で「プライムアンガス」(47ユーロ)をオーダー。
でも出てきたものはホント焼いただけのもの。まあ、ビストロのビフテックと思えば良いのですが、前菜のサーモンと同じく単なる食材主体のも。お味は可もなく不可もなしでありました。
この日の救いは同行者の頼んだ仔羊(31ユーロ)。チョップ以外にもコリアンダーペーストのミンチもあり、これはまずまずの食後感であったのです。
アラカルトだと2皿で軽く60ユーロは行ってしまう高額ビストロ(ブラッスリー)。
予想通り最後まで満席にならなかったこともありまして、再訪はないと心に決めて店を後にしたのであります。