銀座とはいえCP悪過ぎの洋食、みかわや

銀座三越新館の建設前から抱いていたこの洋食店の印象、それは「料理の出来の割にはあまりに価格が高すぎる」というもの。
一軒家風の洒落た空間でありましたが、肝心の料理が価格負けしていたのです。新館建設で休業となっていたようですが、更にゴージャスな内装になってから友里が初めて訪問したのはこの3月でありました。

身内と銀座へ出てきてどこかで食べて帰ろうと考えて思いついたのですが、予約をしようと電話してビックリ。予約で満席だけど、18:30までなら用意できるので今すぐ来いとのこと。
17時前でのやりとりだっただけに、「なんだ、この店は通し営業だったのか」と理解したのであります。

こんな高い洋食店、CP悪すぎて訪問する酔狂な客は少ないと見くびっていたのですが、三越など銀座のデパートに買い出しにきたお上り客、もとい、富裕客が押し寄せているということなのか。
これは話のタネになると予定を切り上げてすぐさま店へ駆けつけたのはいうまでもありません。

まずはアミューズなのか頼みもしないのに出てきたチーズ2片。そこらのスーパーで売っているようなレベルのハードタイプでありまして、はっきり言って美味しくない。

そして2人前はあると言われたオードゥブル(4500円)の登場です。
若干の季節野菜の上に、海老、鴨肉、サーモンなど7種ほどのツマミがありましたが、一人当たり2000円超えはちょっと高すぎるのではないか。味的にはまったくどうってことないものでありましたので。

サラド(1200円)と称するものはチコリ、紫キャベツ、トマトなどにポテサラが盛られた野菜サラダ。
いきなりステーキと違って鮮度は良かったですが量から考えると1000円以下でも十分利益を上げられるのではないか。
グリーンアスパラ(1200円)も可もなく不可もなしのレベルでありました。

メインは揚げ物と煮込みを選択。まずはビーフカツレット(4800円)。
白い皿にこぢんまりと盛られた牛カツ、揚げたポテトや温野菜が添えてありますがこの肉質やポーションではこれまた高いのではないか。
悪くはなかったけど、まともなフレンチでも立派にメインを張れる価格であるだけにビックリ。

そして店のスタッフが進めてくれたタンシチュー(5500円)の登場です。
ガルニは牛カツとまったく同じ。揚げ物と煮込みで少しは添え物を変えたらどうなのか。普通価格の洋食店ではないのですから。
肝心のお味でありますが、タンは3切れと量はまずながら、市井の洋食屋と同じでツメが緩くてはっきり言って価格の割には美味しくなかった。

下から2番目の赤ワイン(値付けが高いのでそれでも7500円もした)を頼んだことも後押ししての支払いが一人当たり1万5000円強。
これならちょっとタクシー飛ばしてスカツリー近くの「吾妻」へいった方が、落ち着いて質も調理も良い料理を同じ支払いで食べられたと後悔して店を後にしたのであります。

 

 

肝心の焼き鳥は凡庸で酒類があまりに高すぎる、心香

食べログで目黒の予約困難焼き鳥店「鳥しき」についで2番の高評価だった「やきとり心香」。
訪問当時(今年の1月)は4.2を超えていましたが、この原稿を書いている段階でも4.15で第3位と評価がほとんど変わっておりません。
でも友里はこの初訪問で「まったく焼き鳥の体をなしていない」と再訪不可の結論に達したのであります。

一軒家を改修した隠れ家的な焼き鳥店。西麻布1丁目のわかりにくい地にありますから「立地の妙」による上げ底高評価は予想できたのですが、ここまで食後感が悪いとは想定の範囲外でありました。
HPでは1日1回転でお任せコース6000円のみ(一品料理やご飯もの、デザートは別料金)と謳っておりますが、赤ワインをボトルで頼んだだけで4万円近く(2名で)も請求されるとは夢にも思わなかった。それではその自称拘りの焼き鳥コースのスタートです。

最初のレバパテは甘いだけ。空豆(3ヶ パルミジャーノ掛け)は皮ごと食べられるとのことでしたが、皮が固すぎて食べるのに閉口。
友里が得意でない軟骨は肉がついていて、続く皮と共にまずまず。しかしまともだったのはここまででして、後は凡庸か疑問の料理のオンパレードとなったのであります。

つくねは出汁浸し(しかも甘過ぎ)でイマイチ。クレソンサラダも普通でして、野菜4種(トマト、タラの芽、ブラウンマッシュルーム、金針菜)はよくこんな小さいものを集めたなと感心するもの。
もちろん質的にもダメ出しです。

ポンジリも普通味で、もも肉はなんと西京焼きでの提供。質が良いものなら素直な焼き鳥で出せば良いではないか。ねぎまはタレが濃すぎで、揚げが固すぎで味がしない。

ハツ、レバ、フォアグラの3種を刺した串はブリオッシュと共に提供されましたが、これも企画倒れの一品でまったく美味しくない。
そして何の変哲もない鳥スープでコースは終了となってしまったのであります。記憶漏れの串がいくつかあったかもしれませんが、これがお任せコースの全容ならあまりに量が少なすぎる。
満腹にはほど遠かったので串の追加とご飯ものを即注文したのはいうまでもありません。

フリソデも旨みに乏しく、胸肉はパサパサ。セセリは焦げすぎで苦いだけだった。
ご飯もの(別料金)はというと、塩そぼろ丼はスープを掛けられるけど生臭くてペケ。親子丼もあまりに生っぽくて友里の嗜好には合わなかった。

デザートはハツモトとチョコをパッシート(イタリアの甘口食後酒)で提供されましたが、ハツモトとタレのチョコ味がまったくのミスマッチ。正直気持ちが悪くなってしまいました。

味(質も)が悪くても安ければまだ我慢出来るのですが、ニュージーランドに滞在していたという店主のすすめで頼んだニュージー赤ワインが高すぎたのか、2名での支払いがなんと3万7000円超え。
東京第一位のあの「鳥しき」なら2回は行ける支払額だけに、怖いもの見たさの方以外にはオススメできない焼き鳥屋であります。

話のタネに1回の訪問で十分、中村玄

今回は食べログではなくヨイショ系店紹介雑誌「東京カレンダー」の鍋特集で釣られてしまった自称心中国料理店。
恵比寿駅近くのアパートみたいなビル一室にあると聞いて嫌な予感がしたのですが、辛いもの好き、鍋好きの嗜好とミーハー心を抑えることが出来ず、友里は足を踏み入れてしまったのであります。

チープなドアを開けて中に入ってビックリ。店内は油のミストで充満していて目がしみそう。
えらい店に踏み込んでしまったと後悔した瞬間でありました。

若い男女が大騒ぎしているテーブル席を横目にカウンター座ってまたもや唖然。隣に座る常連客らしきグループの一人がタバコを吸っているではありませんか。
食べログやぐるなびの店データでは、カウンターは禁煙となっていただけにこの特別扱いはいかがなものか。
拙著「堕落のグルメ」(角川SSC新書)でも述べておりますが、常連客のワガママが店をダメにするという典型例でありましょうか。

この店のウリである「麻辣香鍋」(1800円)の前にまずは1品料理を2皿オーダーしました。
ハネ付き焼餃子(6ヶで600円)は、そのうち2ヶが辛い餃子が混じっているとのこと。ロシアンルーレットのようなお遊び企画でありますが、見ただけでそれとわかるものでして(色目が違う)、しかもそんなに辛くはない。
これならもっと餃子自体を美味しく工夫しろと友里は訴えたい。

続くは黄金マーボ豆腐(1200円)。確かに本格的な四川風マーボと違って色が薄い(黄色っぽい)ですが、花椒の他に生姜の変な辛さがミスマッチの代物。
ツメが緩く辛いだけで旨みは皆無に近かった。店の説明では黄色豆板醤というものを使っているとのことでしたが、普通の豆板醤でよいからもっとまともなものを提供していただきたかった。

そしていよいよ本日のメイン、麻辣香鍋の登場です。
食べログによりますと、10種以上の旬野菜の素揚げ(東カレでは20種以上になっていた)とお好みの材料をたっぷりの朝天唐辛子とオリジナル火鍋醤で一揆に炒めた汁なし火鍋とのことでしたが、鶏モモとキノコをトッピングしたにもかかわらず、唐辛子の辛さだけでオリジナルという火鍋醤の実力を感じることは出来なかった。
味にまったく深みがないんですね。後から知ったのですが、食べログのレビューでは「一度行けば充分かも。」とありましたが、まったくその通り。
いや一度だけの訪問で十分というより、飽きが来てしまって自称火鍋(実際は単なる炒め物を鍋に入れただけ)をその夜すべて食べきるのが苦痛でありました。

隣のカウンター喫煙客の火鍋は最初から麺がはいっていたので店のスタッフに確認したのですが「麺類は最後の〆での追加注文」とのこと。
なぜ隣客の炒め物には最初から麺がはいっていたのか。禁煙場所での喫煙許可(灰皿を出していた)といい、廉価な店でのあからさまな常連特別待遇はいかがなものか。
居酒屋レベルでソワニエ扱いされて何が嬉しいのか、友里一行には理解しがたい居酒屋風自称中国料理店でありました。