単なる養殖魚の専門店、近大マグロ 銀座店

この店の正式名は「近畿大学水産研究所 銀座店」。ご存じ、鮪の完全養殖化に成功した近大の提携店(通称近大マグロ)であります。

今年はじめ、鮪がウリの近くの紹介制高額鮨屋でこの店の話題が出たので気になっていた店でありました。高質な天然生鮪を仕入れているこの店の主が若い衆たちに

支払いを持つから勉強のため食べに行ってこい

と言ったのに、「わざわざ食べに行く店ではないです」と断わられたとの笑い話に友里が即興味を抱いたのは言うまでもありません。
絶好のネタになると判断しての訪問でありました。

大阪駅の再開発ビルでオープンした一号店は連日満席で行列のはずだとの話を聞いて、友里たちは17時半前に店に突入したのですが、拍子抜けしてしまった。
店入り口には客殺到を予想して整理券発券機まで備えているのに、行列がゼロどころかホール内は空席の方が多かった。
さすが東京人、大阪と違って見る目(食べる舌)があるではないかと嬉しく感じた瞬間であります。

まずは勝手にでてくるお通しの大根と鶏の治部煮。後で明細を確認したら、400円の請求でありました。
お味(質も)は当然ながらそこらの居酒屋レベル。

そして本日のメイン、刺身の盛り合わせの登場です。
この通称近大マグロ店、養殖マグロがウリのはずですが、マグロ単体の刺身がないんですね。
カンパチ、シマアジ、鯛と他の3種との抱き合わせで、赤身と中トロが手出てくるだけなのです。
推測するに、マグロの生産がそんなに多くないのではないか。金額は一人分(各魚1切れずつ)で900円。わずか5片のお値段ですからそんなに安くはありません。

まずは白身と鯛を一口食べて友里はその独特の匂いと味に閉口してしまったのであります。

あまりに養殖臭がキツすぎる

そしてカンパチ、シマアジ、マグロといずれもどこに出しても恥ずかしくないほど典型的な養殖ものの嫌な後味と匂いなのであります。勿論添えられている山葵も、添加物てんこ盛りの「混ぜ山葵」でありました。

う~ん、マグロだけではなくすべての魚が養殖(しかも質が悪い)だったのか。
特にマグロ以外の魚、同じ匂い(養殖臭ですね)と後味でして、目を瞑って食べたら、鯛やシマアジ、カンパチの区別がつかないほどで低質であったのです。

その他の料理、例えばシマアジと茗荷の海苔巻き(880円)や太刀魚の蒲鉾(650円)もはっきりいって居酒屋好き以外は食べられたものではないレベル。
野菜補給のため頼んだバーニャカウダは味噌ベースでこれまた無茶苦茶なお味でありました。
入店時に「2時間限定」と言われましたが、長居は無用とすぐさま店を出たのはいうまでもありません。

質の悪い養殖魚をバイトレベルの調理で提供する居酒屋料理店。
肝心の養殖マグロが思うように注文できないだけに、大阪人以外は近寄る必要のない店だと友里は考えます。

 

居酒屋料理が豊富な牛鍋店、今福

「行列のできる法律相談所」にこの友里を読んでくれたアンジャッシュの渡部建氏。
彼がヨイショ系雑誌「東京カレンダー」の鍋万歳特集でいの一番に紹介していのが、色々な形態の肉料理店を展開するヤザワミートグループに属する、このすき焼きとしゃぶしゃぶをメインにしている今福でありました。
当然ながら
渡部氏が東カレで絶賛していた「すき焼き」を予約したのは言うまでもありません。

この店、白金高輪駅近くの路地に位置する隠れ家風な佇まいでありまして、高額店を連想させましたが、ドアを開けて中に入ると雰囲気は一変。
店内は明るく厨房はオープンスタイル、各テーブルの席間も詰め込み式で居酒屋に毛を生やしただけのイメージであったのです。

客層はその軽装さからご近所主体と判断。大騒ぎの女子会のグループもありまして、東カレにあった「(ヤザワミートの)数多ある店舗の中でも最高のグレードを誇る」という形容は持ち上げすぎではないか。
メニューもすき焼きやしゃぶしゃぶ以外に、牛タン、メンチカツ、自家製コンビーフ、ユッケ、ジャガ芋とベーコンの煮っころがし、など居酒屋料理が豊富でありまして、正確には好き焼き&しゃぶしゃぶを出す高額居酒屋であると判断します。

居酒屋風は別に構わないのですが、この店の最大の問題点はトイレの配置。なんと1階にはトイレがなく2階まで階段を上がらなければならないのです。
連れが杖を必要とする年寄りの身内だっただけに、友里は食事中気が気でなかったのですが、何とか食事中もよおさず店を後にすることが出来たのが幸いでありました。

それでは肝心の料理に触れていきましょう。
まずは先付けのアスパラのムースキャビア乗せと、アサリと山クラゲの山椒和え。予想通り、キャビア含めて特徴的な味や香りには乏しかった。

彩り野菜のサラダ(1000円)は野菜の種類が豊富でしたが、昆布がアクセントという和風もどきのドレッシングがイマイチでして、飽きがきて食べきるのが一苦労。
和牛ユッケ(2000円)は味付けが甘過ぎでしかもちょっと値付けが高いのではないか。そしてこの日の主役、すき焼きの登場です。

極上牛サーロインと銘打ったこのすき焼き、肉の量が120g(肉が2枚)、180g(3枚)で8400円と1万500円となっておりました。(消費税増税前)

店のスタッフが最初に肉を焼きだしたので関西風かと思ったのですが、直後に割り下を投入。何のことはない、しょっぱい関東風の味付けであったのです。
大食いの友里、当然ながら肉3枚のすき焼きにしたのですが、野菜の量が少なく(しかしなぜかトマトがあった)しょっぱいだけの味付けに飽きがきたので七味を要求してすべての肉を食べきることが出来ました。

この日は訳あって禁酒の最中でありまして、2名で酒なしでの支払いが2万4000円ほど。
ワイン含めた酒類の値付けも安くは感じなかっただけに、同じ隠れ家風なら赤坂の「よしはし」とそうは支払額が変わらないのではないか。
接待ではなく、富裕なご近所客の贅沢な外食のみにオススメの店であります。

行列に並んでまで立ち食いする店ではない、いきなりステーキ

昨年末にオープンした立ち食いステーキ店。
特徴ある店名は、前菜を頼まずささっと300g以上のステーキを立ち食いして次の1軒へ行ける店とのコンセプトから考えついたとか。

リブロース1g5円(サーロインは1g6円)の量り売り(300g以上)と見た目は安く感じますが、1500円のステーキを狭いスペースで隣客と肩触れあいながらの立ち食いですからそれほど割安感があるとは思えません。
オーストラリアの特選牛使用との触れ込みでもありますが、「オージーやニュージーの牛肉に旨みあるものなし」の定説を信じる友里、雑誌の取材を兼ねて今年1月に検証のため訪問したのであります。

火曜と週初めだったからか18時で店前に行列はなく即入店。かなりの待ち時間を覚悟してきただけに一気に拍子抜けしてしまった。

店内はガラガラでしたがなぜかスタッフが立つ場所を指定するんですね。
当然ながらコートを掛けるところはなく客は鞄や衣類をカウンター下の棚に押し込むことになります。
加えて店内は油のミストが充満していますから汚れや匂いが染みついても平気な衣装で訪問しなければなりません。環境的にもガード下の立ち食いと大差ないのであります。

いくら「いきなり」と言っても前戯なしは失礼かと250円のミックスサラダを頼んだのですが、ドレッシングは添加物を強く感じ肝心の野菜は造り置きもあって鮮度も質も悪い。
同行したライターはほとんど箸をつけておりませんでした。

それでは肝心のステーキはどうかと言いますと、リブロース300gにサーロインを200g食べての結論は、事前の予想通り旨みが薄いというか牛肉らしい味がしない。
店にあるステーキソースは緩すぎて不味いとネットにあったので、持ち込んだNYの名店ピーター・ルーガーのソースと最近嵌まっているデスソース、そして店に追加で頼んだすりニンニクの助けを借りて、総量500gのステーキを食べきることが出来たのです。

味がないからリブロースとサーロインの部位の違いはブラインドでわかる人はいないのではないか。
こんな環境で一人前2000円近く投入するくらいなら、1000円追加しても市井のメキシコ料理店などで座ってステーキを食べた方が食後感は良いと考えます。(最近はデニーズでも、アンガス牛ステーキを1000円台で提供しています)

ガーリックライスはあるけど白飯は1時間かかるとの説明にもビックリ。推測するに、この店では米を炊いておらずガーリックライスは造り置きでありましょう。
そして帰り際に友里はこの店のあざとい行為(はっきり言って行列偽装)を目にしたのであります。

19時頃になっておりましたが店内は1/3ほどの席が空いたまま。満席にはほど遠い状態なのですが、店前には長い行列が出来ていてビックリ。客の入店を制限していたのです。
入店時に立ち席を指示していた理由がわかった次第であります。おそらく満席にしたら客寄せ効果がある行列が出来ないと判断したのでありましょう。

行列を無理に造っている味の薄いステーキ店。わざわざ偽装行列に並んでまで訪問する必要はないと友里は考えます。