銀座の高額鮨「椿」をご存じでしょうか。カウンターが2つある大箱店で、なぜかオーナーのマダムが挨拶にでてくる変な寿司屋でありましたが、ツマミが充実していたこともあって以前は訪問しておりました。最近は昼の営業も開始し、店前には「お品書き」まで出すなど「イメージダウン」が目につくのですが、一昨年に辞めたその雇われ店長が昨夏にオープンしたのが、この店であります。
カウンター9席、主人と女将だけの小さな店。ただし女将は未だ不慣れで段取りはよくありません。
出身店と同じくこの店はツマミが充実しております。ツマミだけで10種以上はでてきますから、酒飲みには有り難いけど、その後の握りを充分に堪能できなくなる可能性もありますので食べ過ぎには要注意です。
白身や鮪の刺身の質はまずまず。傑出していませんが悪くもない。途中にはさむ「椿」でも定番だった「山葵明太子」や「温かいアン肝」でお酒が更にすすんでしまいます。しかしオペレーション(ちょっと大袈裟ですけど)が悪いので、タイムリーにお酒が提供されないのが残念。その他の定番であるシシャモの燻製や魚の煮付けもでてきて握りへと突入します。刺身以外は、漬ける、煮る、炙る、〆るなど一手間かけたツマミはそれなりに満足しますが、玉だけはイマイチ。ネバネバしていて甘いだけなので改善を提案したい。
握りは「椿」の時と同じく酢飯は可もなく不可もなし。塩は利いておりますが酢の風味をそれほど感じません。小振りな握りでタネとそれなりに調和しておりました。生姜が自分には辛すぎて好みでないところも変わっておりません。コハダの〆がちょっと弱く、サヨリは昆布が強すぎてオボロが甘過ぎ、穴子は炙り過ぎか熱すぎでツメも緩い、とすべての握りが満足する訳ではありません。しかしこの店の請求額を考えると文句を言う客は少ないのではないか。
再度の訪問でオミヤの太巻きを頼んで、お酒も充分いただいての支払いが2万数千円。安めの値付けだけで人気の「鮨 太一」と大差ない支払い額に私は驚いたのです。ツマミ、握りと勝るとも劣らない出来ではないか。現状は知名度ないのか空いていて予約がとりやすい。主人や女将には悪いですが、今の集客状態のままでいてくれと常連客は考えていることでしょう。