史上最悪の過大評価店ではないか、アルケッチャーノ

今年の新規開拓の第一目標だった山形の人気イタリアン。本日でひとまずお休みをいただきますのでトリとして掲載する為5月半ばに15時間滞在という弾丸ツアーで庄内へ行ってきました。

予想はしておりましたが、これほど突っ込みどころ満載の料理を出してくるとは思わなかった。過大評価の一言では片付けられない「なんちゃってイタリアン」の王様であります。
料理だけではなくその建屋にも唖然。一軒家風とは聞いていたけどドライブインを居抜きで使っているとは思わなかった。

アルケッチャーノ

それでは1万円超の驚嘆のお任せコースのスタートです。

まずは黒鯛のカルパッチョ。わずか2片の少なさにも驚きましたが、申し訳程度の塩とオイルが振りかかっているだけ。
祇園さヽ木の主人が「塩とオイルをちゃちゃっと振りかけただけの料理やでー」と言っていたという常連客の言葉通りでありました。この2片のカルパッチョ、友里ブログに写真を載せたら、「食べ残しかと思った」との感想をいただいてしまいました。

黒鯛のカルパッチョ

次はツブ貝とメロン子です。スプーンに乗ったこの一口料理、堅いウリを駒切れにしたようなのがメロン子(間引いたメロン)だとか。
「美山荘」の摘み草料理も原価がかかっていないことで有名ですが、この「間引き料理」も原価なんてないのではないか。地元では漬け物にするくらいしか使い道はないはずです。

ツブ貝とメロン子

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そしてまた石鯛のカルパッチョが登場。細いアスパラの輪切りに山アスパラ(細すぎてスプラウトかと思った)も何本か乗っていましたが、唯一の調理である塩とオイルがこれまた緩すぎ。
そして笑ってしまったのが能登の岩牡蠣(パール柑乗せ)です。この店、山形県の地産地消を謳っていたはずなのに能都産?
いや能登ならまだしもこの日一番印象に残ったこのパール柑は熊本産。しかもこの熊本名産品、出荷は3月までと言われています。酸味がなく甘いだけのこのパール柑、訪問した5月14日までどうやって保管していたのか。

岩牡蠣とパール柑

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その後も塩が緩く素人並みの調理の皿が続きます。海苔味と雲丹のカッペリーニのあとに出たのがバーニャカウダ。多くの野菜を期待しましたが、ウルイとカタクリが1枚ずつ皿に乗っているだけ。肝心のバーニャカウダもホタルイカベースの自己流で緩すぎでした。

バーニャカウダ

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月山ダケのフリットにあった生ハムは生臭く、自家製リコッタチーズを使った一品は味がしない。牛頬肉の煮込みも緩すぎで素人家庭料理以下のレベルではないか。
「イタリアンではなく奥田料理だ」と自信過剰のシェフですが、単なる田舎素人料理の連続に我々の怒りは増していったのです。
味が緩すぎてワインに合わないと言っても「シンプルな調理が特徴」とまったく取り合わないスタッフ。我々は卓上の塩や胡椒をかけまくって味なし手抜き料理に対応したのです。

こんな田舎素人料理を食べに遠方から来る客も可哀想ですが、もっと悲惨なのはその知名度に釣られて全国から集まる厨房スタッフ達。

こんな料理をイタリアンだと信じて修業を続けたら、その後の料理人人生を棒に振ってしまうと私は考えます。

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ランチ族の評価を信じてはいけない、ひろ作

食べログで4点を超える高評価店であるこの「ひろ作」でありますが、レビューを良く見るとほとんどがランチ客の投稿ではありませんか。
昼夜同価格で同レベルの料理を出している店ではなく、昼が2300円定食なのに夜は2万5000円コースとまったく異なる営業形態なのであります。高得点はランチ評価だけで稼ぎ出しているだけに大きな期待はもたなかったのですが、一人当たり3万円台後半の請求額を見て私は怒りを通り越して己のアホさ加減(こんな店を選んだこと)に呆れてしまったのです。

電話予約で3万円は超えるとの確認はありましたが、料理内容が価格より遙かに劣るとの確認はなかった。4月下旬、扉を開けた我々はカウンターにいた同伴カップルのみの寂しい店内をみて覚悟を決めました。

松露の白和えはしょっぱいだけ。貝寄せと称するトリガイとウニ(明礬が強い)は酸味が強すぎ。温野菜はウニソースでしたが、これまたしょっぱさだけが目立ちました。
蛤の飯蒸しは甘く濃い味付けにキレのない花山椒が乗っています。甘鯛の素麺椀は椀タネにやはり塩が目立ちましたがなんとか許容範囲。でも深みのない出汁なんですね。

鯛と鮪の造り、普通レベルの鯛に脂強すぎでバランス悪い鮪の2種。
鯛白子は酒盗酢で調理されており濃い味で食欲ではなく酒だけが進む一品。京都の筍と称するものは、鮑とコシアブラが添えられていましたが、バターのような風味でとても和食の出来とは思えません。

そしてメインはフォアグラのシャブシャブです。確かもう1種、鍋物を選択できたはずですが、ネタ的に面白そうなので選びました。
成形されていると思われるフォアグラの薄切りを花山椒が入った出汁にくぐらすのですが、何しろキレのない花山椒でフォアグラ自体も良くないから美味くない。その出汁も臭さが目立つだけでした。

ネットでは評判の蕎麦も汁が甘いだけで何の変哲もない代物です。最後に食べた宮崎のマンゴーがこの日唯一美味しかった。
2名でビールに冷酒は3合だけでの支払いが8万円弱。近くの京味に匹敵する請求額の自己流過大評価和食、あまりにCP悪すぎですが、半額になっても再訪はあり得ません。昼と夜の価格差が10倍の異常な経営方針、昼の人気に釣られて夜に訪問してはいけません。

清正もビックリのCP悪い高額店、天ぷ羅政

出張での熊本行きを知った読者から「東京の天麩羅に勝るとも劣らない九州一の天麩羅店」と強力に勧めていただいた高額店。博多鮨の実力を思い知らされた直後なだけに、大きな期待を持ってこの4月に訪問してきました。

結論から先に言わせていただくと、東京の高額天麩羅に遙かに劣るともまったく勝らない店でありました。場所は熊本一の繁華街の飲み屋ビル最上階。人の良さそうな主人と女将のわりに無愛想な女性スタッフに違和感を覚えながら、お任せコースがスタートです。

主人と女将が常連客と談笑している中、奥の厨房から女性スタッフが持ってきたのが鯛の真子、玄界灘の鰺(造り)とタケノコの煮物。3皿同時の提供は造り置き見え見えで有り難みなし。出汁は味濃く、鰺の脂も乗りすぎで胸焼けしそうになりました。
続いてゴボウや人参に餅まで入った雑煮とサラダにも仰天。これだけでお腹一杯になってしまう量であります。ツマミは酒飲み用だと主人は力説していたけど、酒がすすまない現実に友里は悩んでしまった。

そして天麩羅のスタートです。薄めの色の天つゆに白味噌出汁(この店だけとか)、パセリ粉、塩、レモンと脇役は豊富でしたが、肝心の天麩羅はポーション、ネタ数とも満足するものではなかった。いやそれ以前の、揚げ技術に大きな問題を感じたのです。
椿油を主体に4種のブレンド油で揚げるという天麩羅、温度が低すぎるのかすべてがベチョベチョでカラッとしておりません。最初に出た海老の足を食べて私の期待は一気にしぼんでしまったのです。すべての揚げ物がネットリしておりり、特にキスは箸で持つと垂れ下がるほどのもの。穴子の時は油の温度を少し上げたようですが、それでも私には物足りない揚げでありました。

高額天麩羅でコース途中に蕎麦が出てきたのにはサプライズ。食してわざわざ天麩羅の途中で出してくるレベルでないと判断させていただきます。
コースの〆を飾るべき掻き揚げがないけど、餅や蕎麦にデザートの西瓜とお汁粉のアシストでお腹は一杯。なぜか別室(茶室)で抹茶を女将から振る舞われて、熊本一、いや多分九州一高い天麩羅体験(2名で2万7000円)は終了しました。

九州一と言われるこの店での経験から私は訴えたい。九州で、高額天麩羅を食べてはいけません。

天ぷ羅 政