出張での熊本行きを知った読者から「東京の天麩羅に勝るとも劣らない九州一の天麩羅店」と強力に勧めていただいた高額店。博多鮨の実力を思い知らされた直後なだけに、大きな期待を持ってこの4月に訪問してきました。
結論から先に言わせていただくと、東京の高額天麩羅に遙かに劣るともまったく勝らない店でありました。場所は熊本一の繁華街の飲み屋ビル最上階。人の良さそうな主人と女将のわりに無愛想な女性スタッフに違和感を覚えながら、お任せコースがスタートです。
主人と女将が常連客と談笑している中、奥の厨房から女性スタッフが持ってきたのが鯛の真子、玄界灘の鰺(造り)とタケノコの煮物。3皿同時の提供は造り置き見え見えで有り難みなし。出汁は味濃く、鰺の脂も乗りすぎで胸焼けしそうになりました。
続いてゴボウや人参に餅まで入った雑煮とサラダにも仰天。これだけでお腹一杯になってしまう量であります。ツマミは酒飲み用だと主人は力説していたけど、酒がすすまない現実に友里は悩んでしまった。
そして天麩羅のスタートです。薄めの色の天つゆに白味噌出汁(この店だけとか)、パセリ粉、塩、レモンと脇役は豊富でしたが、肝心の天麩羅はポーション、ネタ数とも満足するものではなかった。いやそれ以前の、揚げ技術に大きな問題を感じたのです。
椿油を主体に4種のブレンド油で揚げるという天麩羅、温度が低すぎるのかすべてがベチョベチョでカラッとしておりません。最初に出た海老の足を食べて私の期待は一気にしぼんでしまったのです。すべての揚げ物がネットリしておりり、特にキスは箸で持つと垂れ下がるほどのもの。穴子の時は油の温度を少し上げたようですが、それでも私には物足りない揚げでありました。
高額天麩羅でコース途中に蕎麦が出てきたのにはサプライズ。食してわざわざ天麩羅の途中で出してくるレベルでないと判断させていただきます。
コースの〆を飾るべき掻き揚げがないけど、餅や蕎麦にデザートの西瓜とお汁粉のアシストでお腹は一杯。なぜか別室(茶室)で抹茶を女将から振る舞われて、熊本一、いや多分九州一高い天麩羅体験(2名で2万7000円)は終了しました。
九州一と言われるこの店での経験から私は訴えたい。九州で、高額天麩羅を食べてはいけません。