CP良いけど大箱が足を引っ張っているかも、レスパス

今をときめく池尻大橋のフレンチ「オギノ」。予約困難&連日満席のフレンチですが、荻野シェフがこの「レスパス」の支店である「キャス・クルート」(五反田)の雇われシェフだったことを知る人は少ないのではないか。
友里も当時は知らなかったのですが、ランチ時に通りかかってメニュー看板の選択肢多いプリフィクスに釣られてしまったのです。多くの野菜が摂取できるとのキャッチも魅力的で恵比寿の日仏会館にある大箱店で、昼時は結構混んでおりました。

追加料金(420円~840円)がかなり設定されていたのが残念ですが、ニース風サラダ、メインは鶏肉を食し、支払い額を考えると充分満足する料理と感じたのです。

私は知り合い家族との合同会食の店選定を任されるのが苦手です。自分の嗜好が相手家族に合わないのではないかと気にするからですが(割り勘負けさせてはいけないと)、そんな役割が回ってきた時、優先的に思いつくのがこの店であります。

なんたってフレンチの割にはコース料金がリーズナブルだし、料理は重くもなく軽くもない。しかも、こんなことを書くとクレームがつくかもしれませんが、良い(レアや高額)ワインがないんですね。安いワインしか頼めませんから、無理に他家族に気を遣うことなくワイン選びが出来るのです。酒量代は必然的に抑えられて割り勘勝負もなくなります。

夜のプリフィクスコースの選択肢も多い。しかも大箱だからか予約が簡単に入ります。というか結構寂しい雰囲気かもしれません。
前菜はサラダ系の他、シャルキュトリー、フォアグラや牛のカルパッチョといった肉系から、秋刀魚など魚も用意されております。
メインも盛り沢山。スペシャリテのシャラン産鴨のコンフィ、和牛のステーキ(ランプ)や煮込み、仔羊のナヴァランと友里が好きなビストロ料理が主体でいずれも悪くない食後感。ちょっとしたグループの会食ではお任せコース(6000円くらいから)もオススメです。

集客に問題があったのか昨秋からメニュー構成や価格設定を変更し、お買い得感を増したように見える「レスパス」。
プアなワインリストを補うなら、持ち込みを交渉してみてください。ただしグラスもストックワインレベルでありますので、グラスの持ち込も考えた方がよいかもしれません。

特異な常連でもっているだけか、桃花林

昔は帝国、ニューオータニと並んで御三家といわれた高級ホテルのオークラ。バブル時代までは彼女との個人利用の他、ブライダルや社長就任パーティなどバンケットでも一番人気だったと記憶しておりますが、時代の流れとは恐いもの。
最新設備と広い部屋を誇る外資系ホテルが全盛の現在、宿泊代節約のため「オークラに部屋を取ってある」と彼女に切り出したらディナー後に目論んだ秘め事、出来るものも出来なくなってしまうのではないでしょうか。

しかし人気凋落が激しいこのホテルにあって、未だに盛況さを誇っているのがこの広東料理店「桃花林」であります。
「化学調味料」大量使用で足が遠のいていましたが、久々に訪問したのは昨年暮れでありました。簡単に予約出来ると思って当日(土曜)電話したら満席ということで断念。仕方なく1週間後の夜を予約したのですが、驚いたことに予約が一杯で入り口の末席しか用意できないと言うではありませんか。そこで平日昼の集客状況も見てみようとネットから翌週に再度予約を入れておいたのであります

まずは平日の昼、間違えて別館でタクシーを降りてしまった。その別館フロント付近は「これがホテルロビーか」と驚くほど閑散としていて閑古鳥一色。
そして本館もこれまた寂しい限りで、活気というものを感じないホテルになっていました。ところがこの「桃花林」は別世界。店内は満席状態であったのです。

いつも通りアラカルト注文でピータンとフカヒレ姿煮(8190円)を食した友里、化学調味料の添加量が以前より減っているのに気づきました。とは言っても、季節の野菜炒めはどうってことなく、味濃いのに酸が足りない酸辣湯麺といい、いずれも街場の中庸店と大差ない食後感であったのです。

再度の訪問はその週末夜。末席から見渡して、このオークラ(桃花林)を支えている常連たちの雰囲気がやっとわかったのであります。
高い店へ家族(親子三代も)やグループでくる人たちですから富裕であるのは間違いないけど服装があまりに垢抜けない。年配客の中にはバーバリー柄(表生地)を平気でまとう人もいましたから驚きでありました。

鮮魚の蒸し物を注文しようとしたら、アズキハタどころかハタ類がすべて品切れ。18時の段階でないということは、予約コース分しか仕入れていないということか。それともこの日はハタをいれたコースを予約した客がいなかったのか。

クラゲ、蟹入りフカヒレスープ、海老蒸し餃子、エビチリ、牡蠣の黒豆炒めなどいずれも傑出さを感じず、臭みもあってベチャベチャな北京ダック(1つ1470円)と緩すぎの麻婆豆腐、辛みも深みもない担々麺で〆たのであります。

悪くはないけどこの程度の中国料理なら巷にいくらでもあるではないか。なぜ連日満席なのか、バーバリー族の嗜好と動向が理解できない友里でありました。

 

ホテルブッフェでは頭一つ抜けている、サール

お馴染みのバイキングですが、日本で初めてこのシステムを取り入れたのがこの帝国ホテルと聞きました。美味しい料理を好きなだけ食べまくれるとしたら、客にとってこんな有り難いシステムはありませんが、実際の食後感はどうなのか。
普通に考えたら、客に好きなだけ食べられたら儲かるはずがないのですが、そこは造り置きや簡単な調理の料理を多用し、食材の質の良し悪しもわかりにくくして、とにかく客を腹一杯にさせることを目的にしたもの。客さえ入って回転が上がれば、充分利益を上げられるシステムなのであります。アルコール含めた飲料代や特別食材によるオプション料理を設定することにより、更なる利益も狙えることでしょう。

しかし実際には、寿司、中華、鉄板焼、天麩羅など料理の種類は豊富なれど質や調理レベルは街場店以下の店や高額中国料理店でアラカルトを頼んだ方が安く上がるのではないかと思うほどCPの悪い中国バイキング店などが散乱。都内の主だったホテルバイキングを訪問した友里が、再訪するならこの店だけで充分と結論づけたのが、元祖であるこの帝国ホテルのサールであります。

客は正直と言いうか土日は2週間先でないと予約が入らなかった人気店。三代にわたる家族連れや年配グループなどプライベート客(実際は会社経費にしているらしい)が目立ちます。料理は洋食系しかありませんが、種類が多く大食いの人でも全料理を制覇することは不可能でしょう。

冷菜もコールドミート、テリーヌ系、サラダに一口料理と豊富。スープを飲んだらメインへ行く前にお腹がふくれてしまいそうです。
ウリのメイン料理は帝国自慢のローストビーフ(と言っても披露宴で出るものより質は落ちる)ですが、パスタ類、コロッケ、魚などホットディッシュもあり、カレーも2種ありました。デザートもケーキ有りアイス有りとこれまた豊富。

種類が多くても質や調理が支払い額に見合わなければ意味はないのですが、1万円前後を考えると食後感は都内一番のバイキング店であると考えます。
ワインもノンヴィンシャンパンが1万500円からとホテルにしてはそれほど高くはなく、スティルワインも6000円台から用意しているなど思ったより良心的。
年末やクリスマスシーズンは料金が跳ね上がるようですが、週末の家族連れなどには特にオススメであります。