特異な常連でもっているだけか、桃花林

昔は帝国、ニューオータニと並んで御三家といわれた高級ホテルのオークラ。バブル時代までは彼女との個人利用の他、ブライダルや社長就任パーティなどバンケットでも一番人気だったと記憶しておりますが、時代の流れとは恐いもの。
最新設備と広い部屋を誇る外資系ホテルが全盛の現在、宿泊代節約のため「オークラに部屋を取ってある」と彼女に切り出したらディナー後に目論んだ秘め事、出来るものも出来なくなってしまうのではないでしょうか。

しかし人気凋落が激しいこのホテルにあって、未だに盛況さを誇っているのがこの広東料理店「桃花林」であります。
「化学調味料」大量使用で足が遠のいていましたが、久々に訪問したのは昨年暮れでありました。簡単に予約出来ると思って当日(土曜)電話したら満席ということで断念。仕方なく1週間後の夜を予約したのですが、驚いたことに予約が一杯で入り口の末席しか用意できないと言うではありませんか。そこで平日昼の集客状況も見てみようとネットから翌週に再度予約を入れておいたのであります

まずは平日の昼、間違えて別館でタクシーを降りてしまった。その別館フロント付近は「これがホテルロビーか」と驚くほど閑散としていて閑古鳥一色。
そして本館もこれまた寂しい限りで、活気というものを感じないホテルになっていました。ところがこの「桃花林」は別世界。店内は満席状態であったのです。

いつも通りアラカルト注文でピータンとフカヒレ姿煮(8190円)を食した友里、化学調味料の添加量が以前より減っているのに気づきました。とは言っても、季節の野菜炒めはどうってことなく、味濃いのに酸が足りない酸辣湯麺といい、いずれも街場の中庸店と大差ない食後感であったのです。

再度の訪問はその週末夜。末席から見渡して、このオークラ(桃花林)を支えている常連たちの雰囲気がやっとわかったのであります。
高い店へ家族(親子三代も)やグループでくる人たちですから富裕であるのは間違いないけど服装があまりに垢抜けない。年配客の中にはバーバリー柄(表生地)を平気でまとう人もいましたから驚きでありました。

鮮魚の蒸し物を注文しようとしたら、アズキハタどころかハタ類がすべて品切れ。18時の段階でないということは、予約コース分しか仕入れていないということか。それともこの日はハタをいれたコースを予約した客がいなかったのか。

クラゲ、蟹入りフカヒレスープ、海老蒸し餃子、エビチリ、牡蠣の黒豆炒めなどいずれも傑出さを感じず、臭みもあってベチャベチャな北京ダック(1つ1470円)と緩すぎの麻婆豆腐、辛みも深みもない担々麺で〆たのであります。

悪くはないけどこの程度の中国料理なら巷にいくらでもあるではないか。なぜ連日満席なのか、バーバリー族の嗜好と動向が理解できない友里でありました。