炭火焼きでなくても美味しいじゃないか、ルースクリス

アメリカのシングルマザーが売りに出されていたステーキハウスを借金して購入し、アメリカを代表するチェーン店にしたという正にアメリカンドリームの日本支店。
牛は赤身が多い海外産牛が好きな友里、以前からこの店に注目していたのですが、知り合いから炭火焼きではなくバターかけ過ぎのベチャベチャだと聞いて訪問を控えていたのです。今回10名ほどの宴会をすることになり、客単価が1万円台の店を探した結果、この未訪問店を選んだのであります。

外から見えるところと違って、奥のホールは結構客が入っておりました。店全体としては4割くらいの客入り。男性客の比率が多くほとんどが接待のようでした。

前菜が固定されて肉の種類(和牛フィレ、アメリカ牛のNYストリップやフィレ)などが選べるコース(1万5000円まで)がありますが、せっかくなら色々なアメリカ的前菜とアメリカ牛を食べようとアラカルトを我々は選択したのです。

シュリンプカクテル(2100円)は大海老が4尾。そこらのステーキハウスより質良く悪くはない。ルースのチョップサラダ(1700円)は3人前と言われましたが、レタス、ほうれん草、ラッディキオ、チコリ、レッドオニオン、マッシュルームなどがてんこ盛り。

そしてフィレ(310g 7500円)の登場です。当初は310gなど食べられるはずがなく、230gのプティ・フィレ(5500円)で充分かと思ったのですが、その心配は無用。自称大食いの私だけではなく他の同席者も完食してしまったことから、この赤身牛が胃にもたれないということがわかりました。

思ったよりバターが強くなく、ミディアムを指定したけどジューシーで表面は結構焦げ目もありました。あの蒸し焼きのトレーダーヴィックスのアンガス牛とは雲泥の食後感。USDAプライムビーフ自体の旨さに加えて火入れの技術も予想外に良いと感じたのであります。

文句をつけるならワインの値付けの高さか。ノンヴィンシャンパンが11400円からとバカ高く、スティルもカリフォルニアワインは1万円以上が主体でそれ以下はチリやアルゼンチン製しかない。
フランスワインに至っては17万円(DRCグランゼシェゾー)までありましたが、こんな店で高額ブルゴーニュを頼む成金がそう多いとは思えません。安いワインを頼みましたが一人辺りの支払いは2万円を軽く突破してしまったのであります。

アメリカステーキ屋らしく、カリフォルニアワインをリーズナブルな価格で提供すれば、もっと客は増えると考えます。

 

関西の寿司屋は小料理がメイン、もり川

関西の自称江戸前寿司(特に寿司屋での修業歴ない若手の店)は自己流の「なんちゃって江戸前」だと主張し続ける友里に、関西の食べ仲間から「これが関西スタイルの寿司屋だ」と連れて行かれたのが京都の「もり川」であります。
場所は上賀茂と京都駅からちょっと離れた閑静な住宅地域。足の便が悪いからか、京都で名店?と言われた「松鮨」(友里は未訪問)の流れを汲むといわれながらこの日の客は我々3名のみ。普段から盛況ではない寿司屋と読みました。

最近の江戸前鮨(東京)は数ヶ月先まで予約が入らない店もありますから、「食べたい時に食べに行ける」という寿司屋本来の営業形態の店(しかも若手の店ではない)が京都をはじめ関西にあるのは皮肉なことであります。

さてこの日は関西スタイルということでアテ(ツマミ)からお任せでありました。寿司屋のツマミというと一口タイプが一般的でありますが、この店は1皿1皿が小料理ほどのボリューム。
ポン酢のノレソレの次はフグのぶつ切り。食感もありフグを食べたと実感する量にまずまず満足。タコと唐墨大根は普通でしたが、ずわい蟹、穴子の白焼きとそこそこのボリュームの皿が続きます。

そしてこの時期(3月)の京都訪問がなかったからかはじめて食したのが「子持ちモロコ」であります。年末から年初にかけてモロコ焼きを出す和食店は東京にもありますが、本来この時期の「子持ち」が美味しいとのこと。確かに面白いお味でありました。

アテはまだまだ続きます。フグの白子焼き、白魚の天麩羅、合鴨ロース、トリガイ炙りとアテは全部で10皿にも及んだのであります。高額和食のように高質なタネではないけど、ボリュームや支払額を考えると充分満足するレベルであると考えます。

そして握りは一度に6ヶでてきて、追加のトコブシ、キス、鰺でこの日の関西寿司は終了したのであります。
正直なところアテと違い握りはイマイチ。最初は何の握りかわからなかった松鮨伝来の伝説握り「川千鳥」(かわちどり)はなんとカスゴにオボロかませ千枚漬けをかぶせたもの。簡単に評すれば、敢えてこれを食べに行くような伝説ものではない。

でもこれだけのアテと握りにビールと日本酒での支払いが1万6000円チョイはお買い得ではないか。ネットで確認すると客単価は1万円前後。かなり食べ過ぎて客単価を引き上げたようですが、いつでも行きたいときに飛び込める寿司屋。変ななんちゃって江戸前鮨に拘わらず関西ではこの手の寿司屋が無難でありましょう。

バルを自称するにはあまりに高すぎる、ミヤカワ

オープン当初から人気を維持しているスペイン料理店。9年ぶりの再訪となった「バルレストランテ ミヤカワ」、食後感は「スパニッシュの割には高すぎる」と、以前の評価と変わりませんでした。

ドアを開けた瞬間、友里は腰を抜かしそうになったのです。目の前で出迎えてくれたマダム、何か荷物を抱えているなと思ったその腕の中、なんと赤ん坊ではありませんか。
うるさいBGMの中、赤ちゃんを抱えてコート預かりや会計業務をしていたのですからその驚きは半端ではありません。
東京ミッドタウンに出した支店も順調と聞いておりますから、夜に赤ちゃん抱えて店に出続ける必要があるのでしょうか。

まずは1000円前後のタパスからオーダー。スタッフから「タパスは2人前あるから2名なら3種とメインは魚か肉、それにパエジャで充分」と言われましたが、実際のタパスは思ったより量が少なく、我々は更に3皿追加したのであります。

イベリコベジョータ(3780円)はチョリソとロースハムもついた盛り合わせ。でも生ハムは美味しくなくその他も凡庸。
鰯の酢漬け(840円)も酢が強すぎて鰯の味を感じない。スペシャリテという縞鰺のプディング(1050円)、リエットみたにパンにつけて食べるのですが、マヨが効き過ぎではないか。

甘エビの土鍋焼き(1260円)はハズレがないガーリック味で悪くはなかった。トルティージャ(オムレツ840円)は造り置きの再加熱なのかヌルくてイマイチ。スペイン風サラダ(1470円)はガスパッチョ風味でなんとか許容範囲。そしてメインであります。

肉好きの友里ですが、今回はオススメの鱸の岩塩包み焼(2940円)をチョイス。3種のソース(トマト、パルメザンとバジル、ニンニクマヨネーズ)添えでしたが、魚自体は塩とレモン風味なだけで旨みなくイマイチ。
そして〆の牡蠣と葱、茸のパエジャ(3780円)は、牡蠣はたっぷりで高いけど悪くはなかった。

本場のバルと比べてタパスはじめ料理の値付けが高いのに大きな不満。今回は料理代だけで1万円代半ば、ワインも高く(1万円前後が主体)、支払いはなんと2名で4万円超えと、近辺の高額店(イタリアン)に匹敵する支払額に唖然。
グラスワイン(シェリー含む)も値付けが高いのは、ボトルワインを頼まない女性客が多いからでしょうか。これならバル白金や恵比寿バルへ行った方が遙かに満足する(支払いも安い)というものです。