関西の寿司屋は小料理がメイン、もり川

関西の自称江戸前寿司(特に寿司屋での修業歴ない若手の店)は自己流の「なんちゃって江戸前」だと主張し続ける友里に、関西の食べ仲間から「これが関西スタイルの寿司屋だ」と連れて行かれたのが京都の「もり川」であります。
場所は上賀茂と京都駅からちょっと離れた閑静な住宅地域。足の便が悪いからか、京都で名店?と言われた「松鮨」(友里は未訪問)の流れを汲むといわれながらこの日の客は我々3名のみ。普段から盛況ではない寿司屋と読みました。

最近の江戸前鮨(東京)は数ヶ月先まで予約が入らない店もありますから、「食べたい時に食べに行ける」という寿司屋本来の営業形態の店(しかも若手の店ではない)が京都をはじめ関西にあるのは皮肉なことであります。

さてこの日は関西スタイルということでアテ(ツマミ)からお任せでありました。寿司屋のツマミというと一口タイプが一般的でありますが、この店は1皿1皿が小料理ほどのボリューム。
ポン酢のノレソレの次はフグのぶつ切り。食感もありフグを食べたと実感する量にまずまず満足。タコと唐墨大根は普通でしたが、ずわい蟹、穴子の白焼きとそこそこのボリュームの皿が続きます。

そしてこの時期(3月)の京都訪問がなかったからかはじめて食したのが「子持ちモロコ」であります。年末から年初にかけてモロコ焼きを出す和食店は東京にもありますが、本来この時期の「子持ち」が美味しいとのこと。確かに面白いお味でありました。

アテはまだまだ続きます。フグの白子焼き、白魚の天麩羅、合鴨ロース、トリガイ炙りとアテは全部で10皿にも及んだのであります。高額和食のように高質なタネではないけど、ボリュームや支払額を考えると充分満足するレベルであると考えます。

そして握りは一度に6ヶでてきて、追加のトコブシ、キス、鰺でこの日の関西寿司は終了したのであります。
正直なところアテと違い握りはイマイチ。最初は何の握りかわからなかった松鮨伝来の伝説握り「川千鳥」(かわちどり)はなんとカスゴにオボロかませ千枚漬けをかぶせたもの。簡単に評すれば、敢えてこれを食べに行くような伝説ものではない。

でもこれだけのアテと握りにビールと日本酒での支払いが1万6000円チョイはお買い得ではないか。ネットで確認すると客単価は1万円前後。かなり食べ過ぎて客単価を引き上げたようですが、いつでも行きたいときに飛び込める寿司屋。変ななんちゃって江戸前鮨に拘わらず関西ではこの手の寿司屋が無難でありましょう。