1日1組、会員制というか一見客は予約できないシステムの焼肉屋ですが、「おとなの週末」に詳しく掲載されていたので取り上げます。高質和牛ヒレ主体の隠れ家焼肉と期待していたのですが、心身ともに疲れ果てて帰路につく結果となりました。
ワインも含めて一人1万6000円前後でお腹一杯高品質な和牛ヒレが食べられるのですが、肝心の味付けやワインがイケません。大きな問題点は2つ。まずこの店にはビールがない。白・赤ワインが飲み放題と言っても日本製の甘い特注ワインだけ。ビールが飲めないだけでなく、酒類が甘いワインだけなんて酒飲みには考えられないことです。そして更に苦痛なのが主人の自慢話。最初から最後までしゃべりっぱなしです。嵐山吉兆や和田金の社長も来店して絶賛したまでは想定内でしたが、日本を動かす政治家、高級官僚、検察庁幹部が贔屓にしている、電子カルテやトレーサビリティ関連で特許を取ったので飲食業は赤字でもいいんだ、と飛躍した時はさすがに引いてしまいました。
まずはその日に使うヒレを丸ごと見せてくれます。4人相手でこの値付けの安さには感心しますが、肝心の調理が単調でまともなお酒もないので有り難味は半減です。
最初はヒレ生肉のタレ漬け込み。かなり大きめの塊を一口で食べろと言われます。確かに癖なくトロミのある味わい。量も半端ではなくこれだけでヒレは充分か。香の物を挟んで次はヒレ焼肉。脂がないので煙が出ないとほとんど生状態で勧められます。これがまた大量。一人分何百グラムもありそうです。素材がいいから塩胡椒をしないと言いながら、甘すぎるタレをつけさせるのはいかがなものか。素材が良いなら甘いタレより塩胡椒だろう。生野菜の後なぜか豚のスペアリブがでて、豆腐、真鯛のニンニク風味の煮付け、ヒレスープ、そして餅米のオジヤで〆て、デザートとなります。肉に脂は不要と言いながら、脂の多い豚のスペアリブを出してくる矛盾を理解できず、口の中が甘ったるくなるだけの2時間余り。本来このヒレの量なら、2倍の請求でも文句が言えないはずですが、まったく酔えず不完全燃焼で店を後にした次第であります。
上流階級と無縁の友里には、常連という日本を動かす人たちの嗜好がまったく理解できません。
牛ヒレや主人の自慢話にも我慢の限界がある、基順館
あの店は今・・・、ラミティエ
前菜とメインのプリフィクスコース(夜)がわずか2100円だった高田馬場のビストロ「ラミティエ」。一般読者への背信行為ともいえる山本益博氏の「値上げアドヴァイス」に耳を貸さなかったシェフでしたが、やはり時代の流れには逆らえなかったのか。2520円に値上げしたとの情報を得て久々に訪問しました。2割の値上げと言ってもその差額はわずか410円。さほど集客に影響がないようで予約は20時前と2回転目と思われる時刻を指定されました。
やや早めに到着して店内を見ると満席ではなく2卓ほど空いています。昔は予約時刻を過ぎても前の客が帰らず外で待たされる羽目になったのですが、今回は早めでもあっさり入れました。おそらく1.5回転営業くらいに抑えているのでしょう。
前菜は白レバー、鶏レバー、エスカルゴ、パテなど9種、メインはシュークルート(2人前)、鴨コンフィ、牛リブロース、牛ほほ肉の赤ワイン煮と定番のビストロ料理などが10種と選択肢は豊富。
ワインの安さも相変わらずです。ローランペリエはボトルで4830円。ノンヴィンテージとはいえ立派なシャンパーニュが小売りに近い値付けです。グラスも570円と普通の店の1/3。スティルワインも南仏ワインを主体に3000円弱から5800円までと安い値付けで提供する良心的な営業です。
料理も変わらずポーション大きく味付けはしっかり目。追加料金も3割くらいありますが、315円以内と控えめなのも嬉しい限り。鶏レバーサラダは3人前かと思うくらいレバーがテンコ盛りで高脂血症の方は要注意。隣客が頼んでいたパテ、分厚すぎて見ているだけでお腹一杯。食の細い方はエスカルゴ(でも結構数は多い)が無難でしょう。メインに頼んだシュークルート、2人前からのオーダーなので、他の料理を追加しようとしたら多すぎるとスタッフに止められました。皿に盛られてきますが、ソーセージ、バラ肉の他、スネ肉が巨大。ジャガイモにキャベツもあり二人では食べきれないほどのボリュームでありました。すべての料理が量多くまずまずの調理で2520円ですから、食材の質に文句は言えません。
5000円超のボトルワインにビールやグラスシャンパーニュを頼んで一人7000円弱は、誰でも満足すると考えます。
客がスシ詰めされる人気店、まつ勘 麻布十番店
銀座「勘八」出身の主人が客を詰め込んで何回転もさせる盛況寿司屋であります。麻布十番駅から徒歩で10分ほど、街場寿司の店構えながら、開店時から客が押し寄せる理由は何なのか。当日の予約ではテーブル席しか割り当てられなかった友里は、前日予約でやっとカウンターに座れました。
このカウンター幅(実際はL字型です)だと高額鮨屋なら10名程度でしょうが、この店は17名詰め込んできます。まさにこれが本当のスシ詰めか。隣客と肩が触れ合うどころか密着して身動きがとれません。
つけ場には4人の職人を配し、親方は中央で何やらタネを触っているだけで握りません。確実に親方一人分の人件費が余計にかかっております。
「勘」の字がつく寿司屋の特徴であるツマミの豊富さはこの店も健在です。
白魚&イクラ、毛蟹、カツオ、アン肝、ツミレ、ホタテ磯辺焼きなどが矢継ぎ早に出てきます。ツマミの皿がいくつか並んでしまうこともあり、その皿の片付けも早過ぎ。客の回転を上げようとする営業努力があまりに露骨でありました。
握りは煮切りを引いていますが酢飯も含めてまったくの平均レベル。コハダ、煮穴子、キス昆布、煮タコなど仕事タネもありますが、サンマの炙りや梅茶碗蒸しなど海鮮系に属する寿司屋と判断しました。塩で食べるアン肝、変な山葵のついた焦げ臭い穴子の白焼き、水っぽい赤身、甘すぎる玉子焼きや生姜など、こりゃ駄目だと思うタネもありましたが、ビールにお酒を飲んで一人1万円かかりません。女性スタッフがつけ爪をし、職人の一人が傷テープ巻いて握っているなど見栄えや衛生上の問題点がありましたが、この価格ならそう文句は言えないか。
早く回転させようと、わんこそばのように仕掛けてくるのが難点ですが、お好みやお任せをカウンターで食べると同じような価格になる「美登利寿司」よりはまともな寿司だと考えます。
ただし最後に大きな問題点を発見しました。友里得意のカードの件であります。この店もカード使用時は5%上乗せするという近張り紙がレジにありました。手数料を客に転嫁する行為は、カード会社との契約違反になるはずです。スシ詰めやツマミの早出しはまだ許せるとしても、この違反行為はすぐさま改めるべきでしょう。