銀座「勘八」出身の主人が客を詰め込んで何回転もさせる盛況寿司屋であります。麻布十番駅から徒歩で10分ほど、街場寿司の店構えながら、開店時から客が押し寄せる理由は何なのか。当日の予約ではテーブル席しか割り当てられなかった友里は、前日予約でやっとカウンターに座れました。
このカウンター幅(実際はL字型です)だと高額鮨屋なら10名程度でしょうが、この店は17名詰め込んできます。まさにこれが本当のスシ詰めか。隣客と肩が触れ合うどころか密着して身動きがとれません。
つけ場には4人の職人を配し、親方は中央で何やらタネを触っているだけで握りません。確実に親方一人分の人件費が余計にかかっております。
「勘」の字がつく寿司屋の特徴であるツマミの豊富さはこの店も健在です。
白魚&イクラ、毛蟹、カツオ、アン肝、ツミレ、ホタテ磯辺焼きなどが矢継ぎ早に出てきます。ツマミの皿がいくつか並んでしまうこともあり、その皿の片付けも早過ぎ。客の回転を上げようとする営業努力があまりに露骨でありました。
握りは煮切りを引いていますが酢飯も含めてまったくの平均レベル。コハダ、煮穴子、キス昆布、煮タコなど仕事タネもありますが、サンマの炙りや梅茶碗蒸しなど海鮮系に属する寿司屋と判断しました。塩で食べるアン肝、変な山葵のついた焦げ臭い穴子の白焼き、水っぽい赤身、甘すぎる玉子焼きや生姜など、こりゃ駄目だと思うタネもありましたが、ビールにお酒を飲んで一人1万円かかりません。女性スタッフがつけ爪をし、職人の一人が傷テープ巻いて握っているなど見栄えや衛生上の問題点がありましたが、この価格ならそう文句は言えないか。
早く回転させようと、わんこそばのように仕掛けてくるのが難点ですが、お好みやお任せをカウンターで食べると同じような価格になる「美登利寿司」よりはまともな寿司だと考えます。
ただし最後に大きな問題点を発見しました。友里得意のカードの件であります。この店もカード使用時は5%上乗せするという近張り紙がレジにありました。手数料を客に転嫁する行為は、カード会社との契約違反になるはずです。スシ詰めやツマミの早出しはまだ許せるとしても、この違反行為はすぐさま改めるべきでしょう。