広尾にあった「カフェ・デ・プレ」の後に同じくひらまつグループとしてリニューアル後オープンしたのが「カフェ&ビストロ・デ・フレール・プルセル」。当初HPによると「南フランス・モンペリエの双子の三ツ星シェフ、ジャック&ローラン・プルセル兄弟と、今年1月にフランス・リヨンで行われた美食のワールドカップ『ボキューズ・ドール国際料理コンクール』で日本人シェフとして初めて入賞した長谷川幸太郎によるカフェ&ビストロ」と紹介されていましたが、この双子の店、すでに3つ星ではなくなっていたはず。天下のひらまつグループも派手に間違えたものです。
ビストロになっても内装などはほとんど変化なし。カフェ時代と同じクロックムッシュ(1500円)やサンド(1300円)も出していますから、どこが変わったかわかりにくいのです。
カフェ料理とは別仕立てのビストロメニュー、コースは2800円、単品は前菜1500円から2000円、肉料理は2500から3800円までとこの店構えでは高過ぎ。
シェフの生まれ故郷から名付けたセート風サラダ(1700円)は、ムール貝やアンチョビが入ったもの。ニンニクチップがアクセントで高いけどまずまず。ニース風サラダ(1300円)は、茹で玉子、アンチョビ、オリーブをからめた葉物の下にマッシュを敷いていますが野菜の量が少なすぎる。ビストロ料理の定番の和牛のタルタル、驚いたことに型押で成型されています。黄身も乗せていて、これではユッケではないか。量も少なく香辛料が効いていないボケた味でした。これも3800円と高過ぎる。
その他、地鶏のロティ(2800)、仔羊のプロシェットグリル(3600円)、
シャラン産鴨のロティ (3800円)もビストロ価格というよりフレンチ価格といえる値付け。ユッケ、もとい、タルタルステーキで懲りたので、再訪してもこれらビストロ料理は頼んでおりません。至近距離にある「ビストロ・ド・ラ・シテ」で代用すれば充分です。
グラスワインもへたり気味でイマイチ。ひらまつの株主優待は1階で使えない(地下は可)というシステムにも納得いかず、わざわざビストロにリニューアルしたといっても、ワンちゃんの散歩に立ち寄るカフェの位置づけの店レベルと考えた方が無難です。
どこに3つ星の面影があるのか、プルセル
2回も一人で訪問してしまった、山利喜
森下の馬肉屋での待ち合わせ時刻を30分早く間違えたため、時間つぶしに訪問したのが去年の末のことでした。17時30分前だと言うのにカウンター、テーブルとほぼ満席でぎりぎりカウンターに紛れ込むことが出来ました。2階席は予約が出来るようですが、オープンして1時間足らずで店先に行列ができてしまっているのですから驚きです。この行列、馬肉料理を食べた後でも出来ていましたから、相当集客力がある店なのでしょう。
J.C.オカザワに言わせると「東京の3大煮込み」の1店とか。厨房には大きな鍋が2つ置かれておりました。入店したほとんどの客が頼むこの煮込みは550円、煮玉子入りだと600円です。玉子入りを頼んだのですが、残り汁を吸わせて食べるというガーリックトースト(300円)を頼み忘れてしまった。滞在時間わずか30分で、鮪卸「石宮」からの仕入れの証明がある赤身(7切れで1200円)、焼トン2つを食べきりました。
逃したガーリックトーストへの未練からか、今年になってまた無性に行きたくなり再び17時前に森下駅へ。17時のオープン時には10名以上が並んでいたでしょうか。こんな時刻から暇な人がいるものだと自分を棚にあげて感心した次第です。しかしこの居酒屋、男性客だけではなく女性客も結構多いようで、かなり儲かっているからか、至近距離に2号店まで出店しております。
今回は煮込みとガーリックトースト、赤身、焼トン4本に加えて、鶏レバーテリーヌ(750円)、牡蠣湊焼き(900円)、クレソンサラダ(400円)を一人で頼んでしまいました。
煮込みは浅い皿に入っているので量はそれほどありません。600円は決して安いほうではないと思いますが、ガーリックトーストに煮込み汁をしみこませた濃厚味は、正にJ.C.オカザワ好みといえるでしょう。量も多く濃厚な鶏レバーはまずまずでしたが、牡蠣の湊焼きは海苔細切りが多いだけのものでした。クレソンサラダはこの価格なら満足。ビール、神亀、グラスの赤ワインと整合性ないお酒を頼んでの支払いは7360円とかなり売り上げに貢献。
これだけ支払えば、CP良いビストロで充分楽しめると思いますが、たまには下町で一人居酒屋も悪くはないと考えます。
行列ができていたのが不思議、インデアンカレー
筆頭は山本益博氏と犬養裕美子氏でしょうか、大きな力を持つ人たちが闊歩している日本の飲食業界。そしてこの二人ほどではないですが友里より影響力を持つのが自称農産物流通業者の「やまけん」さんです。彼が店のウェブサイトのプロデュースまで買って出て自身のブログでベタ褒め紹介していたのが東京進出してきた「インデアンカレー 丸の内店」です。
関西では何店舗も展開している人気店。一度食べたら病みつきになるほど感動するというカレーに興味を持ち、最初に訪問したのはオープン数月後、昼時だからか10人以上の行列が出来ておりました。やっと順番がきてレジで支払いすると店長が着席する場所を指示してきます。態度がでかいとちょっとムッとしましたが感動カレーの為に我慢しました。しかし出されたカレーを見て、私の期待は萎んだのです。ご飯の割に少ないルーは見るからにスパイスが少ないようで黄色みが強い。一口食べて唖然、無茶甘く感じるのです。暫くして単純な辛さが襲ってきました。かなり小麦粉を使用しているとしか思えないトロミある少なめのルーはご飯の量とのバランスが悪い。いや、甘辛のバランスもかなり崩れていると言えるでしょう。野菜から出る甘みではなく、ジュースやエキスをぶち込んだとしか思えない強い甘み。そして各種スパイスを割愛し、チリペッパーかチリパウダーくらいしか使用していないと思われる単純な辛さ。これで感動する「やまけん」さんはかなり涙もろい方なのでしょうか。付き合わせのキャベツのピクルスも不自然なほど甘いものでした。
このコラムのため今年2月に再訪したのですが、昼時なのに行列が出来ていません。13時前でもお好み焼き屋には行列が出来ていましたから、トキアビルの賞味期限が切れているわけではないでしょう。肝心のルーは以前よりトロミが薄くなり、辛さが強くなったと感じました。相変わらずルーは少なく、「ルー大盛り」でも足りないくらい。キャベツのピクルスも更に甘くなっているようで完食出来ません。
スパイスの風味を感じないこのカレー、ルーは別の場所で大量に造られていると思いますが、調理レベルはそこらの街場のカレーと大差なし。近所でなければ絶賛ブログに釣られてまで訪問する店ではありません。