恵比寿にCPの良い和食店があると後輩から誘われて夜訪問したのが「食彩 かどた」。5250円でコースを提供していると聞いて私は驚いたのです。夜の和食店、居酒屋レベルの価格で満足できる料理が提供できるものなのか。
狭い階段を降りて店内に入った私の心配はいくらか和らぎました。カウンター8席とテーブル4卓に対して、厨房スタッフが主人を含めて5名に外回りが1名とスタッフが予想外に多い。手抜き料理ではないかもしれないと思い直したのです。
コースは雲子の柚子釜でスタート。柚子か小さいけどミシュラン2つ星「青草徐{」の温いものと違って熱々で価格を考えれば許容範囲。粟麩を棒状にした「粟麩ソバ」、見た目は饂飩で甘めの餡がかかっております。この段階で「東京風味付け」の和食だとわかりました。
丸鍋はスッポン肉が一欠片に葱が一本。味醂を入れているのか甘い醤油味。肝心のスッポンはちょっと生臭かったのが残念。
造りはヒラメの薄造りに鮪、炙り鰆、ホタテとアイテムは豊富です。J.C.オカザワなら血相を変えて抗議する「混ぜ山葵」でしたが、何しろ5250円和食。脂が強い養殖ものにはこの手の山葵で充分で文句を言うものではないでしょう。
続く小鯛の塩焼きは結構美味く、〆鯖の蕪和えは価格を考えると許容範囲内。続く金目鯛の白菜蒸しも私には甘めに感じましたが、海老芋の油揚げとトロロ鍋はこの日一番満足した1品でした。そしてちりめんじゃこ飯でコースは〆となりました。
コースだけでも結構ボリュームがありましたが、アラカルト対応もしているので、試しに野菜の炊合せ(1050円)を追加。大根、茄子、油揚げ、海老芋などてんこ盛りで凄いボリュームです。これまた甘い出汁ですがCPは恐ろしく良いのではないでしょうか。2名で食べきるのが大変でした。
生ビール630円、日本酒も735円?1155円と高くはない値付け。料理が安くしても酒類を高くする店が多いだけに、良心的な経営と考えます。
5000円コースだけではなくアラカルトも豊富でボリュームあって安い。しかも酒類も高くないとなれば、多少味付けが濃く甘くても文句を言えるものではありません。家庭料理の延長線上ではありますが、和食の入門店として使い勝手とCPのよい店と考えます。