白金の地に小さなピザ屋がオープンしたのは1999年。元電通マンがナポリピザの日本人チャンプを招聘してオープンした店は、当時は珍しかった「ピッツェリア」。未だピザーラなど宅配ピザが主体だっただけに、ナポリからタイルを持ってきて造ったというピザ窯と合わせて本場に近いピッツァの出現が結構な話題となりました。友里もオープン直後は何回か訪問を切り返しておりました。
かなり儲かったのでしょうか、株式会社グラナダと会社組織になって支店を増やし続けただけではなく、イタリアやスペインのミシュラン星付き店とも提携して多店舗展開を始めたのは記憶に新しい。最盛期はパリの3つ星フレンチ「アストランス」出身の岸田氏をシェフに迎えた「カンテサンス」の日本初の3つ星取得だったでしょうか。
しかし良いことばかりは続きません。多店舗展開が急すぎたようで、代表取締役の下山雄司氏(楽天の三木谷会長の義弟)はその後の伸び悩みに頭を痛めているのではないでしょうか。
イタリア星付き店の提携店は規模縮小、肝心の「カンテサンス」はシェフ独立でグラナダグループを離脱、スペインの3つ星提携店「サン パウ」もオープン直後から集客に苦しみ、多角化を狙った蕎麦屋など和食系も決して順調とは言えない状態が続いております。そんな中、このグループでは一番まともと思っていたピッツェリアを訪ねたのは昨秋でありました。
初めての訪問だったこの銀座のピザ店、結論から述べさせていただくと限りなくファミレスに近い食後感でペケ。バイトに近い調理人が業務用の半完成品を使用しているかのような料理の数々でありました。
カプレーゼや蛸ポテト、バーニャカウダなど1000円台後半の値付けながら凡庸の一言。特にバーニャカウダはあまりに緩すぎでありました。
旬の時期だったフレッシュポルチーニと茸の炭火焼き(1890円)、味塩使用かと見紛う後味でして、椎茸など茸の割に肝心のポルチーニが少なくしかも質が悪い。
ではメインのピザはどうかというと、これまたひどい食後感なのです。ポルチーニのほか、数種のピザを頼みましたが、いずれも湿っていて食感が悪い。これでは宅配のサルヴァトーレとそう変わらないではないか。昔の記憶は良いことだけしか残っていないといいますが、1軒だけだった白金のイゾラとはまったく別物の店と感じて店を後にしたのです。