段取りよい調理でストレスフリーのイタリアン、メッシタ

ダンチュウのパスタ特集で知った目黒は元競馬近くのカウンターイタリアン。
瞬間湯沸かし器と言われたシェフがやっていた六本木「アモーレ」(既に閉店)で修業した女性シェフの店であります。

わずか12席でありますがスペースが狭いため隣客とは接触状態。しかし問題なのはブロイラーになったかのような圧迫感ではなくこの店は喫煙を許しているということ。
本場イタリアは完全禁煙なだけに、女性シェフが喫煙者であるため喫煙に寛容なのだと友里は読みました。

最初の訪問では近くに喫煙者が居たので食後感はあまり良くなかったのですが再訪時は運良く喫煙者なし。じっくり料理を楽しむことが出来まして、同じ一人調理のカウンターイタリアンでも「ヴィノテカ・キムラ」と違って皿出し、調理レベル、料理のバリエーションとすべてに上回っているとの結論に達したのであります。

まずはウリのハムカツ(990円)。厚切りハムと鶉玉子のフリットですが、わかりやすい味(濃いめ)でこの雰囲気なら悪くはない。

ハムカツ

トリッパ(1250円)はちょっと量が少ないのが難点か。

トリッパ

アーティチョークの玉子焼き(980円)、ルッコラサラダ(600円)とこの価格なら文句が言えない前菜の後頼んだのが、ダンチュウにもあったミートソース(980円)。

ミートソース

この価格にしてはパスタの量が多いけど肝心のラグー部分が少なすぎるのではないか。もう少し値上げしてでもミートソースを増やすことを提案させていただきます。

料理に合わせてワインも値付けの安いワインが主体で有り難い。その中で高めのワインを頼んでの支払いが一人7000円チョイ(メインなし)。喫煙者のおかげで可もなく不可もなしの食後感であったのです。

しかし数ヶ月後の再訪で印象は激変。
その第一の理由は前述の通り喫煙者がいなかったことですが、前回の訪問(木曜)では売り切れだったブッラータ(プーリア産チーズ)の存在も大きかった。

ブッラータ&トマト

週一金曜の入荷というこのチーズ(1400円)、見た目はモッツァレラに似ているのですが、同じ水牛チーズでもコクがあって美味しい。添えられたフルーツトマトにも良く合いました。これ狙いなら週末に訪問しなければならないでしょう。

ロワール産アスパラ(中太1200円)、量が多かったシャンピニオンサラダ(1000円)も悪くはなく、パスタはウニ(2400円)を選択。

ウニパスタ

結構なお値段でしてこれは価格を考えると次回はパスかも。

蛤のクスクス(1500円)は盛り付けがイマイチながらお味はまずまず。

蛤のクスクス(ピンぼけ)

 

そして赤身主体の赤牛のロースト(2980円)で〆としたのであります。

赤牛のロースト

シェフの段取りが良すぎるので皿出しは早すぎ。最初に全部頼むと一気に出てきて皿が溢れますから、2~3皿ずつ分けて頼むのがベスト。
小山薫堂さんオススメの「ヴィノテカ・キムラ」(古川橋近辺)と違って料理の種類が多く、味付けにバリエーションがある、使い勝手の良いご近所イタリアンでありました。

夜景をウリにする店に美味いものなしを再確認、オレゴン バー&グリル

友里の本業である零細会社の年度末〆で訪問したビル高層階にあるダイニングレストラン。夜景の他に一応「肉」もウリにしているということで、肉好き社員のための訪問でありました。

場所はゆりかもめ新橋駅に隣接する汐留シティセンタービル42階。連絡橋から2階にたどり着いた友里一行、フロアがゴーストタウン化しているのに驚いたのであります。
まるで地方の商店街のように18時前だというのにシャッターだらけ。中にはつい数日前に閉めたばかりで後片付けをしている店もありました。

再開発ビルのシャッターフロア

 

友里の定説に「再開発ビルに入店して成功した店少なし」があります。
古くはアークヒルズから、六本木&表参道ヒルズ、そして交詢ビルを挙げるまでもなく、最初の目論見と違って刀折れ矢尽きて閉店していった店を挙げるには枚挙に暇がない。
よほどの立地条件でない限り、ビル内の勤め人以外の客が流れ込むことがないからであります。

ところがこの42階のダイニング、かなりの大箱なんですがその夜は盛況で8割方席は埋まっておりましたから友里は驚いたのであります。

オレゴン バー&グリル

 

内装は一見豪華に見えますが、コートはテーブル横にあるコート掛けに客が自分で掛けなければならないなどチープ感たっぷり。
キャパが大きい割にホールスタッフを節約しているようで、当意即妙なサービスどころかテーブルウオッチングなく空いたワイングラスは放置プレイ。
ボトルをテーブルへ持ってこさせ自分で注がざるを得なかった。スタッフの慇懃無礼な態度も食後感を低める結果となったのであります。

さて肝心の料理、アメリカ風無国籍料理と読んだので無難なものを選びました。
まずはグリル野菜のバーニャカウダ(1800円)。場所代が入っているからか高い割には茄子、パプリカ、アスパラなど野菜の総量が少ない。

バーニャカウダ

バーニャカウダもクリーム強すぎで業務用の出来合と大差ないのではないか。オーガニックという野菜自体も普通でありました。

ボストンクラムチャウダー(1000円)は値段の割に海老など具が多かったけど味はかなり甘め。

クラムチャウダー

 

そしてメインのアンガスサーロイン炭火焼(10オンスで6000円)の登場です。

アンガスサーロインの炭火焼き

10オンス(280gチョイ)という割に見た目の肉厚は薄くて貧弱。皿も加熱していないので肉は直ぐ冷めてしまった。
そして肝心の肉味ですが、東麻布の「ワカヌイ」よりチョイ上な程度。お約束のベイクドポテトも用意がなく、これではウリにしているアンガス牛が泣くというものです。

ワインは店名どおりオレゴン産が多かったけど、ステーキにアメリカの甘いピノ・ノワールのワインが合うとは思えない。
値付けも高く持ち込みは実質不可能(持ち込み料が1本5000円と高すぎ)なだけに、わざわざ42階まで出張って食べるステーキ店ではないと友里は考えます。

最後にこの夜は天気が悪く夜景もほとんど見えなかったことを付け加えさせていただきます。

 

 

 

富裕な年配客にだけおススメの高額洋食店、サロン・ド・グー

視聴率最悪でわずか半年で打ち切りとなったアイアンシェフの審議委員だけではなく、最近はお住まい拝見番組にまで露出しまくっている幻冬舎社長の見城徹氏。
出版社の編集者や経営者は表に出ず黒子に徹するものと思っていたのですが、生来の自己顕示欲を抑えきれないところは勤務していた角川書店譲りなのかもしれません。

しかし、自身の会社が出版する雑誌「ゲーテ」で己を「賢人」と称させて平気な神経。
幻冬舎にはヒラメ社員(上しか見ないゴマすり社員)しかいないと言ってしまえばそれまでですが、問題はその「ゲーテ」で小山薫堂さんや秋元康さんの2賢人と共にこの「サロン・ド・グー」を生涯レストランの1店として大推薦していることであります。

サロン ド グー

なぜ友里は問題にするのか。それはこのお店、

見城さん本人と家庭教師のトライの平田会長が関与しているから

これは業界一部で結構知られている事実であります。
自分が関与していると公表しての生涯レストランとしてのオススメなら未だ許せますが、そんなことは一言も書かないでの大推薦。
普通の感覚の編集者なら

これって社会常識として拙いんじゃないでしょうか

と上申すると思うのですが、幻冬舎のコンプライアンスはまったくの別もののようであります。

さてこの「ゲーテ3月号」を見て友里は2ヶ月でこのみっせを2回も訪問してしまいました。
それはなぜか。結論から先に言わせていただくと

塩使いが優しいので、フレンチに慣れていない年配客(男女問わず)にはオススメ

とダメ出しではなかったから。ただし客単価が軽く2万円を突破してしまいますので、富裕客限定という条件をつけなければなりません。

前身である六本木にあった「まっくろう」と同じく、フォークやナイフの他に箸まで用意されております。
秋元康さんなど賢人達の箸使いは怪しいのですが、この店は個室対応。隣客の声は聞こえますが、

箸使い下手などマナーの悪さを他の客に見られない

ので自称賢人や成金客も安心して入店できるのです。

さて肝心の料理へのコメント、スペースの関係で人気やウリの皿に限定します。
キャビアのジュレはキャビアの存在が心許ないけどクリーム強く本物のフレンチを知らない年寄りにはウケそう。

キャビアのジュレ

 

ウリのトリュフのタルトは当然ながらオイルの助けを借りている一品ですが、拘りを持たないフレンチ初心者には美味しく感じることでありましょう。

トリュフのタルト

 

カツカレーは辛さとスパイシーさで人気とのこと。最近スパイスに凝っている友里はこの辛さとスパイシーさはチリペッパーとカルダモンと分析しましたが、この飛び抜けたスパイス感がなぜ本物を知らない年配客にウケるのか不思議であります。

カツカレー

 

その他、ハンバーグ、オムライス、シャリアピンステーキなどの洋食群は、傑出さはないですが塩が強くなくいずれも老人には悪くはない料理。

ハンバーグ 温玉乗せ

オムライス

シャリアピンステーキ

 

小皿料理なので前菜4~5皿に、メインと〆のご飯ものをとると料理は1万円台後半。
ワインはブルゴーニュが高くて若い物ばかりですが、ボルドーは古めで値付けの良いものもありました。

客単価はワインを飲むと軽く3万円を超えますが、支払額を気にしない年配富裕層や経費持ちの接待にはある意味使い勝手が良い店であると友里は考えます。