ウリの焼き物は化学調味料を抜くことが出来ない、赤坂離宮 銀座店

山本益博氏が絶賛していた「香宮」(西麻布)の鳩の丸揚げ。
前から気になっておりまして、ぶっ飛びスープと鮮魚の姿蒸しを加えたコース(当然ながら化学調味料なし)を、連れを通して料理長に直にリクエストして訪問を楽しみにしていたのであります。

ところがその前日、予約を入れた連れから緊急の電話がかかってきたのです。
なんと

料理長が腸閉塞で緊急入院してしまったので料理を提供できないと言ってきた

そこで急遽関連店の赤坂離宮(銀座)で同じ内容の料理を提供して貰うことになったのであります。(香宮は赤坂離宮の譚さんがプロデュースしています)

まずは突き出しの位置付けのザーサイ、これは美味しかった。複雑な味がしたのでMSGの含入が疑われますけど。
そしてすぐに出てきてしまった乳鳩の丸揚げ。

鳩の丸揚げ

 

実は前日の夕方にもう一度店から連れに電話確認がありまして、この鳩の丸揚げと前菜の焼き物はMSGを抜けないとのこと。
この先入観もありまして、鳩の丸揚げを一口食べてMSGがてんこ盛りを確認。これなら

マスヒロさんが美味しいと言うはず

だと納得したのであります。

続くは前菜の盛り合わせ。

前菜盛り合わせ

これまた先入観もありますが、豚バラのクリスピー、焼き叉焼は塩も強かったけどMSGもばっちりでビールをおかわりしてしまった。
この赤坂離宮、焼き物が美味しいと評判のはずですが、その美味しさは

化学調味料が下支え

していたのであります。

そして本日の超メインのぶっ飛びスープの登場です。

ぶっ飛びスープ

鹿のアキレス、干し鮑、鼈のエンペラ、カジキマグロの浮き袋、フカヒレ、ナマコ、金華ハム、貝柱などが入っておりましてお味は急ごしらえの割にはまずまずか。
店にもよりますが調理に時間がかかるので何日も前に予約しなければならないこのぶっ飛びスープ、腸閉塞前に仕込んでいたのかどうかわかりませんが、提供場所が変わったこともあり期待したほど複雑さはなく、単純な美味しさであったのです。値段も違いましたが、香港で食べたもの(6人前で10万円以上)の濃厚さには敵わなかった。

そして赤ハタの姿蒸し。

赤ハタの姿蒸し

本体が見えないほどネギがてんこ盛り。取り分けてもらい食すると、MSGなしですが中国醤油がかなり強いのか、濃い味(塩気も)に仕上がっておりました。
中国料理では好きな調理ですが、本場香港の高額店などにはかなわないレベルでありました。

そしてこれまた得意でない食材の和牛サーロインの煎り焼き。でもミックスペッパーが効いていたので、なんとか和牛を食べることが出来たのです。

和牛サーロイン

 

〆のご飯は、二種の腸詰め入り土鍋炊き込みご飯。
当然腸詰めを炊き込んでいるのかと思っていたのですが、腸詰めは別添えで出てきてしまった。土鍋の白飯にその腸詰めを乗せるだけの料理なんですね。

腸詰め&土鍋ご飯

うーん、この腸詰めにもMSGが入っていると感じるのは友里だけでありましょうか。

シャンパンに超熟の紹興酒なども頼んだからか一人当たりの支払いが5万円弱。
かなり豪勢な食事会となりましたが、本場香港とはかなり食後感が劣ると感じた広東料理でありました。

欧州在住の日本人には許容範囲内か、OKUDA

海外で和食を食べるなど時間と予算の無駄だと思っている友里。
何が楽しくて条件(食材や水など環境)の悪い料理を食べるのかと、フランスならフレンチ、イタリアならイタリアン、アメリカではステーキに絞って食べ歩いていたのですが、今回のパリ訪問でネタ不足解消のため出来たての「OKUDA」を予約して行ってしまったのであります。

まずは八寸。

八寸

外国人(正確には友里の方がパリでは外国人か)が喜びそうな派手な盛り付け。中身はタコの小豆煮、アン肝(でも蒲鉾みたいな練り物だった)、蟹の茶碗蒸し、ほうれん草のお浸し、無花果の白ごま和えなど。

お椀と共に和食コースの華である八寸でありますが、アン肝が“なんちゃって”であり、タコの小豆煮も味の染み込みが緩いなど、東京では完成度で問題提起されるかも。
外国人、もとい、現地人にはこの程度で十分なのかもしれませんが…。

そしてお椀。ホタテの真丈でありまして、結構でかいホタテの角切りが入っておりました。これも現地人にはウケそうですが吸い地はかなりカツオが強かった。

そして驚いたのがイギリス産の山葵。

イギリス産山葵

味は日本産とそれほど差がないのですが食感はトロロみたいでありましてちょっと違和感。
その山葵と共に食べた造りは、カレイ、ヤリイカ、伊勢エビ。
いずれも現地調達だそうで先入観から微妙な食後感となりました。産地を聞かなければ良かったかも。

焼き物は葉っぱ乗せすぎのスズキの胡麻焼き。添えられたアヴォカドやサツマイモも現地産のようでちょっと微妙でした。

スズキ

カウンターには2組の現地人らしきカップルがいたのですが、彼らに出たのはいかにも味が濃そうなスズキの味噌幽庵焼きでありました。現地人と日本人で区別しているようです。

そしてその区別は次の肉料理でありました。友里たちにはリムーザン牛ヒレの幽庵焼きでしたが、隣の現地人たちにはオーストラリアワギュー サーロインが出ていたのであります。

リムーザン牛のヒレ

 

そして〆のご飯ものは唯一日本から持ってきたという鰻の丼。

鰻の丼

 
牛ヒレ、鰻と一応炭火焼きなんですが、換気の問題からか炭の火力が弱いのではないか。炭火焼きの良さがでていないというのか、残念ながら2つとも柔らかくてベチャベチャ、蒸したような食感だったのです。

パリは換気が難しいとのこと。野田岩パリ店の鰻が焼いているとは思えない食感(冷凍をチン?)だった理由がわかった次第であります。

最後にデザートが出てのコースのお値段はランチで180ユーロ。邦貨に換算して2万5000円弱でありますから、こう言っては何ですが結構高いのではないか。
料理的には食べログでほぼ最高評価の「神保町 傳」よりはマシでありますが、日本人としてわざわざパリで行くべき店かと聞かれたら、敢えて行く必要はないと答えざるを得ないと考えます。

パリでの滞在が長く和食が恋しくなった時、夜は高い(250ユーロ なんと3万数千円)ですからランチに限定で訪問可かもとの結論で〆とさせていただきます。

 

パリでもメジャーでない料理人の銀座進出は荷が重い、ブシェ

正直な話友里、この店名を冠しているシェフ、ドミニク・ブシェの存在を知らなかった。
彼(ブシェ)のプロファイルでは、ロブションの右腕、クリヨンの元総料理長がウリとなっているようです。
でもこの程度の経歴で日本に鳴り物入りで進出できるんだったら東京は外人シェフの店ばかりになってしまうはずですが、実際のところ外人というかフランス人シェフの店で集客が順調な店がそんなにあるとは思えません。

「ドミニク・ブシェ トーキョー」、場所は銀座清月堂ビルの地下2階と立地が悪く、エアコンがうまくコントロールできていないのか10月中旬で外気は寒かったのにホールは暑すぎ。
もしかして更年期障害になってしまったのかと心配したほどでありました。

ついでにサービスについて苦言を呈させていただくと、テーブルウオッチングがなっていない。何度ワイングラスが空になってワイン注ぎを催促したことか。

雰囲気や値付けはグランメゾンを狙っていると思いますが、料理は限りなくビストロに近いもの。
我々はコースではなくアラカルトを選択しました。

まずはアミューズの海老のベニエ。まったくの普通味でして、ベニエ(ビールを使った衣)には思えなかった。

前菜は季節の野菜のエチュベ、トリュフの香り(2500円)。
2回目の連れからトリュフオイルが強いとの忠告でオイルをやめてくれと頼んだら、ただの野菜エチュベが出てきてしまった。
狙いはオイルの排除だけではなく安いとはいえ秋トリュフでも振りかけてくるかなと期待したのですが、ただの野菜のエチュベであったのです。これで2500円は高すぎではないでしょうか。

メインは気になったものをハーフポーションで2皿オーダー。まずは伝統料理と謳った仔羊の7時間煮 ジャガ芋のピュレ DB風(フルで5400円)。
食べた瞬間、同時に頼んだ牛テールの煮込みかと思ってしまった。
長時間の煮込みすぎで羊の食感が崩れており、煮込みのストックのベースは推測するに牛を使っているかの味わいであったからであります。

そして驚いたのは突き合わせ。ジャガ芋のピュレは想定内でしたが、もう1つの添え物が前菜とまったく同じエチュベだったのです。

そして牛テールの煮込み「2000円ミレニアムカップ」ジャガ芋のピュレ(フルで5500円)。
見た目も仔羊とまったく変わらず味のトーンも同じでありました。
そして添え物2皿も仔羊煮込みとまったく同じ。

友里はなんとエチュベを3皿連続(ジャガ芋ピュレを2皿連続)で食べる羽目になってしまったのです。
こんなこと、オーダーを受けたメートルは事前にわかることですから、添え物が被るから前菜を変えた方が良いと進言するか、厨房が添え物を変更するという配慮をするのがこの手の高額店(でも料理はビストロレベル)の常識ではないか。

料理のトーンは同じで在庫食材の種類が少なく異なる添え物が提供できない。(引き出しもないのでしょう)
そしてテーブルウオッチングもないほどサービスもプアなドミニク・ブシェ。

結論は、話のタネに1回だけもあり得ない、近づいてはいけない高額店であります。