再訪で食後感がポジティヴに急変、トロワフレージュ

「あら皮」、「ドン・ナチュール」でフロアサービスを担当していた人がオープンした店。昔は過食のオコチャマ・来栖けいと仲が良かったはずですが、今は袂を分かってしまったとも漏れ聞いております。

最初の訪問はオープン1年経った昨年の夏。前菜や魚系は悪くなかったけど、メインの肉が脂強すぎて(短角牛まで)最終的な食後感は可もなく不可もなしでありました。
でも肉好きの編集者たちと1年ぶりに再訪して食後感が一変したのであります。

この店の特徴は牛肉の種類の豊富さ。黒毛和牛に限定せず短角牛も用意しています。
いや和牛にも限定せずこの日はフランス産のオーブラック牛までありました。また部位も1種に限定せずヒレやサーロインなどを用意。
炭焼きで最低単位(200g以上)なら何種も出してくれる融通性も魅力です。

よってこの店の上手な使い方はなるべく多くの人数での訪問で何種もの肉や部位の食べ比べでありましょうか。今回は4名での訪問でしたので、赤身好きの友里たちは黒毛和牛ヒレ、オーブラック、短角牛(部位失念)と3種を焼いてもらうことができました。

肉や部位を指定してのお任せコース、まずはトリ貝の本山葵クリーム添え。

トリ貝

 

わざわざクリームで山葵をのばす必要性があるのか疑問でちょっと山葵がクリーム負けしておりましたがまずまず満足。

続くはカツオの一口揚げ物。

 

カツオ

 

懐かしいブール・ブランソース(バターと白ワインベースのソース)と有馬山椒の取り合わせは面白かったけど、ちょっとカツオの生臭さを感じてしまった。

二本足を好んで食べない友里でありますが、次に出た鴨(フォアグラクリーム)は悪くはなかった。

 

そして時鮭の登場です。

時鮭

 

これはポーションも十分で、あら皮、ドン・ナチュールでもおなじみの薫香をまとわせたもの。かなり美味しかった。

箸休めの位置付けで疑問だったのが蓴菜(じゅんさい)のトマトソルベ乗せ。蓴菜が良かっただけに、トマトソルベは余計ではないか。

蓴菜のトマトソルベ

 

そして本日のメイン、牛ステーキ3種であります。

牛ステーキ3種

 

黒毛和牛も良かったけど、歳とった短角牛(8歳だとか)も肉らしい味で、オーブラックも和牛とは違ったうま味があって美味しかった。ここのところ変な鉄板系のステーキが続いただけに、久々のヒットとなった「トロワフレーシュ」の再訪であったのです。

4名でビールの他、白赤ワインを3本(1万円チョイ)での支払いが一人当たり3万数千円でありますから、CPも悪くはないと考えます。

銀座の「かわむら」(予約が超困難でワインをボトルで頼むと最低でも10万円近くになるステーキハウス)で業界人然と高額&高質なコース(キャビアや魚介から肉まで)を食べるのも良いですが、豪快に炭火焼きを食べることができる「トロワフレーシュ」は、柔らかさやサシの多さではなく、牛本来の食感と旨みを経験してみたい人限定でオススメであります。
肉は柔らかい方がおいしい、サシが入った方がおいしいと思っている方にはオススメできません。
そして赤身肉に美味しさを感じましたら、次は海外でぜひ赤身種の牛を試してみてください。

 

超盛況なステーキ店だけど・・・BRYANT & COOPER

アメリカ、特に地方都市に美味い料理なしは定説であります。
ニューヨークの3つ星の自称フレンチや自称イタリアンでさえ、単なるアメリカ風アレンジ料理としか思えないものが過半でありますから(ニューヨークの寿司なんて大金払って日本在住人が食べるものではありません)、地方のフレンチやイタリアンなんて食べられるものではありません。
それでは日本人はアメリカの地方で何を食べるべきなのか。答えは(内陸でも)前菜は生牡蠣にメインはステーキしかないと言っても過言ではないでしょう。

従ってアメリカ訪問時にステーキを食べる率はかなり高くなるのですが、そのアメリカでもステーキは当たり外れがあるというのは、この店評価コラムで取り上げた「ANCLE JACK」で評した通り。
今回のマンハッタン滞在はわずか2晩でありましたが、客をアテンドしての滞在だったのでハズレの店はなるべく避けたいと事前にかなり勉強をしていたのであります。

そこで見つけたのが、昨年訪問したという「やまけん」さんのレポート。
生産者だけではなく店にまで癒着する自称農産物流通業者の「やまけん」さんが「ピーター・ルーガーより美味しいかも」みたいなことを書いていたので友里が飛びついたのは言うまでもありません。

場所はロングアイランドの奥深く。なんとマンハッタン中心地から車で1時間近くかかってしまったステーキハウスでありました。
付近はそこそこ高級な住宅街があるということで、客層は年配客が多かったですが超満席。何回転もするテーブルもありました。

ブライアン&クーパー

総勢7名の友里一行がまず頼んだのはトマト&オニオン。調理なしでスライスしただけのお皿。塩胡椒もしてありませんでした。とにかくアメリカサイズでありますから、一対食べるだけで十分。

トマト&オニオン

 

そして海老と生牡蠣の盛り合わせプラッター(海老と牡蠣の個数は指定しました)の登場です。

海老と生牡蠣の盛り合わせプラッター

この手の調理の海老はどこで食べても同じ。まずはレモンで食べ、飽きてきたら味濃いチリソースやタバスコの力を借りれば、よほどの質悪でないかぎり食べきることができます。
でも生牡蠣はお味がダイレクトに伝わってきてしまいます。銘柄牡蠣のブルーポイントとのことでしたが、鮮度の問題か味はイマイチ。これなら昼間にマンハッタンのオイスターバーで食べておけば良かった。

そしてメインの第一陣として登場してきたのが「STEAK FOR FOUR」。

ポーターハウス 4人前

 

ポーターハウスの4人前のはずでしたが、2人前のポーターハウスが2つ出てきただけでした。そしてお次はリブの3人前。

リブ 3人前

いずれも1ヶ月近くドライエイジングさせているとのことでしたが、牛本来のうま味がイマイチでジューシーさにも欠けるもの。「ピーター・ルーガーの方が美味いはず」との結論に達したのであります。

店内は最後まで大盛況でしたが、いかんせん遠いのに加えてステーキ自体がイマイチ。
来年の訪問では浮気をせず、素直にピーター・ルーガーを予約することにしましまた。

まるで蒸し肉のような食感でペケ、ANCLE JACK

今年6月にニューヨークを訪問時、57丁目辺りを散歩していて見つけたステーキハウス。
ブルックリンの有名ステーキハウス(ピーター・ルーガー)と違って着飾った客が中に入りきれない光景を見て、友里は「この店は美味しいのではないか」と思い込んでしまった。
マンハッタンのセレブが通う隠れたステーキの名店と勝手に決めつけてしまったのであります。

この10月、仕事で東海岸(バージニア州リッチモンド)を訪問した帰りにニューヨークに寄ることになったので真っ先に予約を入れたのは言うまでもありません。

アンクル ジャック

 

1階はバーもあるカジュアルラインでして外にセレブ客は溢れていなかったけどかなりの盛況。
でも友里たちはカード会社(アメックス)から予約したからかこの賑やかな1階を通り越し、2階へ案内されたのであります。
そこは1階と違って静かなフォーマルゾーン。各テーブルにはクロスが敷いてありテーブルは満席ではない。
夕食が早いマンハッタンの19時でこの状況ではこれ以上の客入りは期待薄。嫌な予感が奔った瞬間でありました。

本命のステーキの前にまずは前菜をとメニューを見たら、この店にはアメリカ人がお好きな生牡蠣の用意がないんですね。勿論生の貝(クラムなど)も見当たらなかった。
そこで我々が最初に頼んだのは火を入れたシュリンプカクテル。海老は小さくはなかったけどわずか3尾のみとビックリ。2人だけでしたが数も中途半端で物足りなかった。

シュリンプカクテル

 

お次はツナのタルタル。アメリカでこの手の魚料理に期待できるはずがなく、鮪の味を感じないもの。どうひいき目に見ても可もなく不可もなしでありました。

ツナのタルタル

 

魚介と牛肉だけでは体に悪いと食物繊維の摂取として頼んだのは大味なシーザーサラダ。

シーザーサラダ

アメリカ料理店でいつも感じるのですが、この手の店で美味しサラダにあたった試しがありません。そしてこの晩主役のポーターハウスの登場となりました。

ポーターハウス

 

まずはよく聞く「ポーターハウス」と「Tボーン」の違いを説明しましょう。友里もつい最近知ったことなのですが…。
ポーターハウスもTボーンも、骨の左右にヒレとサーロインがあるのは同じ。1粒で2度美味しいと言いますか、まったく趣向の違う肉を食べることができるので、2人以上でアメリカのステーキハウスを訪問する時はこれを頼むのがベストであります。ヒレ部分が全体の3割以上なのがポーターハウスでありまして、3割以下の場合は単にTボーンステーキと言うそうです。グラム単価が高いヒレが多いポーターハウスの方が、高級感はあるようです。

両部位の肉(骨付き)の重さは600g以上あるでしょうか。男性スタッフに切り分けて貰った肉片を一口食べて、入店直後の予感が当たったことに気付いてしまった。

取り分けた肉

ここの肉は蒸したような食感でグリル感に乏しいもの。肉自体もドライエイジングを謳っておりましたが、味わいは薄かったのであります。これならブルックリンのピータールーガーの方がはるかに美味しい。
友里の再訪はあり得ません。