パリでもメジャーでない料理人の銀座進出は荷が重い、ブシェ

正直な話友里、この店名を冠しているシェフ、ドミニク・ブシェの存在を知らなかった。
彼(ブシェ)のプロファイルでは、ロブションの右腕、クリヨンの元総料理長がウリとなっているようです。
でもこの程度の経歴で日本に鳴り物入りで進出できるんだったら東京は外人シェフの店ばかりになってしまうはずですが、実際のところ外人というかフランス人シェフの店で集客が順調な店がそんなにあるとは思えません。

「ドミニク・ブシェ トーキョー」、場所は銀座清月堂ビルの地下2階と立地が悪く、エアコンがうまくコントロールできていないのか10月中旬で外気は寒かったのにホールは暑すぎ。
もしかして更年期障害になってしまったのかと心配したほどでありました。

ついでにサービスについて苦言を呈させていただくと、テーブルウオッチングがなっていない。何度ワイングラスが空になってワイン注ぎを催促したことか。

雰囲気や値付けはグランメゾンを狙っていると思いますが、料理は限りなくビストロに近いもの。
我々はコースではなくアラカルトを選択しました。

まずはアミューズの海老のベニエ。まったくの普通味でして、ベニエ(ビールを使った衣)には思えなかった。

前菜は季節の野菜のエチュベ、トリュフの香り(2500円)。
2回目の連れからトリュフオイルが強いとの忠告でオイルをやめてくれと頼んだら、ただの野菜エチュベが出てきてしまった。
狙いはオイルの排除だけではなく安いとはいえ秋トリュフでも振りかけてくるかなと期待したのですが、ただの野菜のエチュベであったのです。これで2500円は高すぎではないでしょうか。

メインは気になったものをハーフポーションで2皿オーダー。まずは伝統料理と謳った仔羊の7時間煮 ジャガ芋のピュレ DB風(フルで5400円)。
食べた瞬間、同時に頼んだ牛テールの煮込みかと思ってしまった。
長時間の煮込みすぎで羊の食感が崩れており、煮込みのストックのベースは推測するに牛を使っているかの味わいであったからであります。

そして驚いたのは突き合わせ。ジャガ芋のピュレは想定内でしたが、もう1つの添え物が前菜とまったく同じエチュベだったのです。

そして牛テールの煮込み「2000円ミレニアムカップ」ジャガ芋のピュレ(フルで5500円)。
見た目も仔羊とまったく変わらず味のトーンも同じでありました。
そして添え物2皿も仔羊煮込みとまったく同じ。

友里はなんとエチュベを3皿連続(ジャガ芋ピュレを2皿連続)で食べる羽目になってしまったのです。
こんなこと、オーダーを受けたメートルは事前にわかることですから、添え物が被るから前菜を変えた方が良いと進言するか、厨房が添え物を変更するという配慮をするのがこの手の高額店(でも料理はビストロレベル)の常識ではないか。

料理のトーンは同じで在庫食材の種類が少なく異なる添え物が提供できない。(引き出しもないのでしょう)
そしてテーブルウオッチングもないほどサービスもプアなドミニク・ブシェ。

結論は、話のタネに1回だけもあり得ない、近づいてはいけない高額店であります。