本店と同じく肉自体がイマイチなステーキ、ウルフギャング六本木

世界一とも言われるステーキハウス「ピーター・ルーガー」で長年ヘッドウェイターをやっていた人が独立してマンハッタンに出したステーキハウスの海外初出店。
でも実態は「カプリチョーザ」や「巨牛荘」など廉価店を多店舗展開しているWDIの経営ですから単なる提携店であります。

ピザーラを展開するフォーシーズもロブションと提携したように、廉価なものを扱っていると高額店に手を出したくなるもの。
WDIは同じニューヨークのイタリアン「イル・ムリーノ」や「グランドセントラル オイスターバー」とも提携していますが、ド素人相手の食べログでも評価が芳しくないのは周知の事実であります。

以前ニューヨーク本店で食した友里、ピーター・ルーガ-には遙かに劣る食後感だったとの記憶から2月のオープン直後に訪問しまして、本店以上の悪い食後感を確認してきたのであります。

まず料理価格が高すぎる。
日本のステーキ業界に合わせているのでしょうが和牛ではなくアメリカ牛です。関税入れても本店の倍の値付けはいかがなものか。しかも本店以上に料理がイマイチだった。

シュリンプカクテル(2800円)は大海老ながらわずか4尾。しかも生臭くてひどい代物でありました。
鮪のタルタル(2500円)はアボカド含め量が少なく肝心の鮪の味がしない。
ただし突き出しの位置付けか、最初に出てきたポテトチップ、これがこの日一番まともなものでありました。

生牡蠣(6ヶ2500円)も古いのか臭みがありましてWDI系列のオイスターバーの方が未だマシか。
ウルフギャングサラダ(1800円)なるものはエビ、トマト、ベーコンなどの細切れがレタスに乗っているだけ。追加の300円を払ってフル-チーズドレッシングにしましたが、ドレッシングというよりチーズをボロボロと削って掛けただけ。レタスのブツ切りを使ったアイスバーグサラダと違ってレタス数枚の上に細切れがのっているだけなんですね。

そして本日のメイン、サーロインとフィレの両方が楽しめるというステーキ フォ ツー(1万5000円)の登場です。
この店はピーター・ルーガ-と同じくドライエイジングがウリのなのですが、単品のフィレはエイジングしていないとのこと。仕方なくサーロイン抱き合わせのこのTボーンを頼んだのであります。

アメリカの倍はするステーキ(現地では2人前で7~8000円)ですが、エイジングを感じないというか、肉本来の味が薄くてまるでニュージーランド産の牛みたい。
骨をはずして550gあるとのことですが、こんな淡泊な味では飽きが来るのでニンニク(生スライス)と醤油を持ってきてもらって完食したのであります。

ライスは普通盛りが700円と高いのは量がメチャクチャ多いから。ハーフでも2名で多すぎて残してしまった。
食べ残すほどの量を出してまで数百円の売り上げ増を目指したいのかWDI。中途半端な高額店に手を出さず、廉価店だけに止まっておくべきだったと友里は考えます。

同じアメリカ牛ステーキなら、ライバルの会社がやっている「ルース クリス」がオススメです。

1つ1つの料理は悪くないけど友里と相性が悪い、レ セゾン

ド素人相手の口コミサイトだけではなく、同業者である料理人からの評判も高いと言われている帝国ホテルのフレンチ。
東京、いや日本でトップに位置する料理を出すとの賞賛も聞きますが、友里とは相性があまり良くないのではないか。今まで4~5回訪問しましたが、完璧に満足したのは1回だけ。
後は掲題のごとく、1つ1つの料理には納得するけどトータル的な満足感はイマイチだったのであります。

この原因は何なのか。それはシェフがコース料理に重きを置いているからだと考えるのです。
アラカルトも用意されていますが、種類が少ないというかコースの中に設定されているものと被るんですね。
パリの3つ星でも用意があれば前菜&メインの2皿のオーダーとするアラカルト主義の友里でも、これではコースに追い込まれてしまうのであります。

今回は満を持してシェフが店に出ている日を確認しての訪問でしたが、結果は今までの再確認となってしまった。
1口アミューズ(鮪のタルタルやフォアグラなど)はまずまず。というかポーション小さくよく味わえない。まあアミューズなんてこんなものでよいかなと。

黒トリュフ入りの半熟玉子の後に出てきたのが、毛蟹と黒大根のナチュラル仕立てというもの。
毛蟹を3種の調理法で供するものでして、蟹身のソーセージ、タルタルにしたものを黒大根で挟んだもの、そしてフラン(トンカ豆という甘い香り付き)と、非常の手を掛けているのは理解できるのですが、こんな種々の調理を出してくるとガニェール料理を思い出して盛り下がってしまったのです。
大食いの友里としては、しっかり大きなポーションで1種の調理を美味しく食べたかった。

続くは南瓜のニョッキ黒トリュフ掛け。これは良かったけど皿が温かったのが残念。そしてここからが友里には疑問の調理が続いたのであります。

魚の1皿目は金目鯛。ソースは貝の風味を持たせたバターふんだんのソース。これは単品としてはかなり美味しかった。
続く2皿目はオマールブルーの3調理。オマールの質は良いのですが、リソレはソースがクリームベース。ソーテルヌとフヌイユの香り付けを加えておりますが、見た目とトーンが前皿と大差なし。
もう1つが天麩羅みたいなもので、3皿目がフォアグラを混ぜたフランでこれまたクリーム?かバターのスープ仕立てのようになっておりました。

ここまでは我慢の友里、最後のプーラルド(高質のブレス産若鶏)に期待したのですが、これまた濃厚クリームソース(シュプレムソース)に浮かんで登場してきてしまったのです。
そしてトドメは鶏料理の2皿目。ポトフ風と聞いたので普通のブイヨンベースだと思ったら、なんとこれまたクリーム系のスープに浸かっておりました。

ニョッキの後に5皿がバターorクリーム系の調理というシェフの偏り、もとい拘り。
一皿一皿は美味しかったのですが、友里にはこのコース構成がまったく理解できなかった。
次回訪問するなら、トーンが重ならないように、アラカルトにすると誓って店を後にした友里でありました。

喫煙者にも優しい高額和食店、そうかわ

昨年半ばからはじめたフェイスブックの友達から教えられたお店。
銀座ナインという廉価店が集合する建屋(高速道路の高架下)の地下に位置するだけに、環境や店構えから高額店には見えませんが、客単価2万円超えの、どこに出しても恥ずかしくない高額和食店であります。
いや正確に言わせていただくと、「高額居酒屋」と称する方が妥当かもしれません。環境や店構えと支払額にかなりの乖離があるので接待には向いていないと思ったのですが、2回の訪問はいずれもその接待で行ってしまいました。

まずは昨夏の初訪問。テーブル席もありますが我々はカウンターの最奥に着席。
ここで目の前に備えられた灰皿を見て、友里は椅子から転げ落ちそうになったのです。紫煙に晒される高額店だったとは想定外。一気に萎えてしまったのは言うまでもありません。

入店時刻が18時と早かったからか、店内は同伴カップルや銀座のママさんとお店の女性のミーティングディナーなど銀座色がたっぷりの中、お任せコースがスタートしました。
先付けは唐墨大根、シメジ、きんぴらと普通味。続くは湯葉の餡かけ。喫煙者向けなのか濃いめの味付けを確認しました。

時期的には早かった岩手産の松茸フライはまずまず。そしてこの店のウリなのか今冬の訪問でも出てきた塩水ウニ。網ですくって食べるパフォーマンス付きであります。
お椀は海老真丈の枝豆すり流し。この手のお椀では出汁の実力はわからず次回の訪問まで評価は持ち越しとなりました。

続くは夏フグの昆布〆。フグ自体は夏でも味が劣るものではないと聞いておりまして、この時期としては珍しく接待客ウケすのではないか。そして量が多すぎたフグの唐揚げの登場です。
はっきり言えばここまでは居酒屋料理の高級バージョンの連続。店構えや環境から接待に向いていないと思いましたが、雰囲気に拘らない接待相手にはかえってウケるのではないかと考えを改めたのです。

鱧ソーメンに土瓶蒸しが続いて最後の〆はこの店のウリである鯛飯でありました。
2名でも4名でも5合炊くというこの鯛飯、ご飯の量が多いのに味はかなり薄いからか2名や3名では食べきれるものではない。肝心の鯛の身の量(頭もついているのですが)が少なすぎるのではないか。
かくしてその残りはオミヤとして接待客に持たせることが出来るのがせめてもの救い。

そして紹介なしの初訪問だったので現金で決済しようとした友里に女将は意外な対応。なんと、名刺を渡しての後請求(いわゆる掛け)だというのです。掛けどころかカード決済も嫌がる高額店が多いというのにこのアバウトな請求方法に友里は驚きました。

今冬の二回目の訪問でも決済は会社への請求書送付→振り込みでありました。
そしてもう1つ残っていた確認事項がお椀の吸い地。椀タネはズワイ蟹で、吸い地はかなり鰹が強めと感じた次第であります。
夏だけではなく冬もブツ切り刺身、中骨焼きなどフグが登場。キンキの煮付けもついてやはり〆は薄味鯛飯での客単価2万数千円の高額和食、喫煙者の接待にはオススメと考えます。