予約が楽に入る使い勝手の良いイタリアン、アンビグラム

皆さんは店選びの際、何を一番の条件にするでしょうか。
和食だ、鮨だ、フレンチだとジャンルを優先するのは当たり前ですが、普通の人なら「食べログなど口コミで評価が高い店」、「予約が取りにくい人気店」、「オシャレで雰囲気の良い店」、「店主やマダムがフレンドリーで居心地の良い店」などをまず考えるのではないでしょうか。

友里も商売上の問題(副業のレストラン辛口評論家)から、人気店や予約困難店、過大評価店を狙い撃って店訪問を繰り返してきました。デビューして10年あまりですね。
しかし最近はこのような店選択の方針転向をはかっているのであります。

一番の理由は、人気店や予約困難店が必ずしもCPが良くなく、美味しい料理を提供していないと言うこと。
いやはっきり言いますと、CPの良さや美味しい料理と縁遠い店が多いのではないか。
味のわからない食べログレビュアーや自称外食好きが増殖しすぎた結果、世に過大評価店や予約困難店が増殖しすぎてしまったと友里は考えます。

誕生日や結婚記念日ならまだしも、普通の外食を数ヶ月前から計画するなんてバカらしいではありませんか。
しかもやっと訪問出来たと思ったら、美味しくない、CP悪すぎる、では余りに悲しい。
そこで最近は、予約が比較的簡単な店、つまり読者も苦労せず訪問出来る店を主体に店選びをしているのであります。

前置きが長くなりましたが、そんな友里が最近通っているイタリアン(と言っても数ヶ月に1回)がこの天現寺近くにある「アンビグラム」であります。

料理は地域限定ではないですが郷土色が出ているというか、近くの「アッピア」と違ってそれなりに本場イタリアンに近いレベル。
前菜からパスタ、そしてメインとモロに外した経験がないのですが、この店、基本的にいつでも予約が入るんですね。例えば週末の飛び込みに近い場合でも。
その使い勝手の良さに、急に外食がしたくなった時、イタリアンが食べたくなった時、などに便利に利用させてもらっているのです。

では友里は何を頼んでいるのか。
前菜では定番のトリッパやメニューにはないグリーンサラダ。サラダと言っても野菜を主体にした前菜盛り合わせのようなお任せであります。
昔は好きなカポナータがあったと記憶していますが、最近のメニューでは見当たらないのが残念。

パスタはラグー系が好きなのですが、この11月は2回とも白トリュフのタヤリンをオーダー。
今年は訳あって本場アルバへ行けなかったので思い切って大量に振りかけてもらいました。

メインは何といっても詰め物が一番。あればの話ですが、鶉などの詰め物があったらぜひ頼んでいただきたい。
またこの時期なら、鹿などジビエものや、仔牛のバローロ煮込みも良いのではないではないでしょうか。

影響力のない友里なので大丈夫だと思いますが、このコラムで取り上げて予約を入れにくくならないことを祈るばかりであります。

中国人とお上りさんのメッカ、ミッシェルズ(オアフ島)

ワイキキで(正確にはワイキキとカハラの間に位置)サンセットを絡めた夜景が抜群と評判のフレンチ「ミッシェルズ」。
友里もかなり昔に訪問した記憶がありましたが、こと料理に関してはまったく印象に残っていなかった。
ではなぜ再訪したのか。今回のオアフ島で合流した一家に8歳未満の幼児がいたので洒落たディナー場所として選ばざるを得なかった。
本当は一昨週に取り上げた「ラ・メール」にしたかったのですが、幼児の持ち込み、もとい、同行が不可と断られたからであります。

 

料理よりもサンセットを見ることが第一と考えての予約時刻は18時。
雑居ビル内のプアな入り口から入ってレセプションを抜けると、目の前にはワイキキの海岸が広がっておりました。
席は上席というのでしょうか、大勢だけど海岸側と絶好のポジション。着席してまもなくサンセットがはじまりましたから、まさにジャストタイミングでありました。

 

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でも席に座ってホールの周りをみてビックリ。
覚悟はしていましたが、まともな客、もとい、「ラ・メール」のような落ち着いた雰囲気の客が皆無ではありませんか。

通訳(ガイドかも)連れた中国人団体や、本国ではフレンチにまったく馴染みがないと思われる日本人団体客などが所狭しと並べられた長テーブルに群がっているのであります。
その煩さは半端なものではありません。これじゃ幼児の持ち込みがオッケーなのも当たり前。マナーが幼児以下の大人客(特に中国人)が多かったのであります。

 

当初から料理自体に期待していなかっただけに、友里が頼んだのは無難な3皿。まずはタルタルステーキです。

 

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アメリカの店ではよく見られる、テーブル脇でスタッフが調理するパフォーマンススタイル。ほとんど料理人が関与しませんから、真の意味での料理と言えないのではないか。換言すると、(料理人の)当たり外れが少ない料理でもあるのです。

ケイパー、ウスターソース(さすがハワイ!)、タバスコ、アンチョビペーストなどを目の前でこねくり回す女性スタッフ。食べてみるとウスターソースのお味が強すぎでありました。これなら先週掲載した「ハイズ」の方がはるかにマシ。

つづくシーザーサラダも同じ女性が混ぜ合わしていまして、まさに八面六臂の活躍。お味はレモンが強すぎて同じくイマイチでありました。

 

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メインは、アメリカでは牛より高価と言われるバイソン。でも期待した割にソースが甘すぎるなどオコチャマ味付けでこれまた満足することは出来なかったのであります。

 

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連れたちが頼んだ〆のデザート。

 

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まあ、人のこと言えませんが廻りの客層を見れば、美味しい料理を提供する店に見えるはずがない雰囲気。

幼児連れ、中国人連れ、もしくはサンセットのみの夜景限定での訪問にのみ、オススメの店であります。

 

 

ビル建て替えでの休業が残念、レカン

読者から、ビル建て直し(ミキモトビル)のため来年はじめからしばらく休業に入ると聞いた銀座のグランメゾン「レカン」。

10年ほど足が遠のいていた友里ですが、数年前に合コン、もとい、女性を含めた会食で久々に訪問してから料理の美味しさを再認識して再訪を繰り返しておりました。(と言っても、年に2回ほどの訪問でしたが)
あと2ヶ月で休業となる前に料理を確認しなければならないと急いで予約して訪問したのは11月の終わりでありました。

当日は、名残を惜しむ常連客でホールは満席だと思っていたのですが、空席がいくつか目立つなどまったくの拍子抜け。
スタッフに確認しますと、これでも休業宣言で予約が増えているとのことでしたから、友里の高評価はまったく功を奏することなくいつでも予約がオッケーのグランメゾンに甘んじていたようであります。それでは当日の料理を振り返りましょう。

まずはアミューズ2皿。記憶が定かではないのですが、ホタテ(ソルベ乗せ)と栗のスープだったかなと。アミューズとしては結構存在感があり悪くはなかった。

そして友里が前菜で頼んだ1品目は厚岸の牡蠣。

 

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フレンチでも最近は生状態での提供が多いのですが、しっかり加熱調理したものはやはり美味しい。やはりフレンチは手をかけなければとあらためて思った次第であります。

 
続いて頼んだのは、昨年も頼んで満足した秋野菜とトリュフのエミルション。

 

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ソテーやグリルしたと思われる秋野菜に秋トリュフを乗せたものですが、これが毎回美味しいんですね。今回も非常に満足したのであります。

 

メインはこの店ではたまに用意されているヴェッシー調理。

 

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豚の膀胱を風船のように膨らませて中に食材を入れて密封して加熱する手間のかかる調理でして、現在は調理用バルーンや真空調理で代替される古典フレンチの手法であります。
東京では西麻布の「ブルギニオン」くらいしか他に見かけない調理なんですが、鶏料理に適用したらは特に美味しい。
今回はあまり得意ではない小鳩でありましたが、もしフランス産の若鶏を使ったこの調理を見かけたらぜひ試していただきたい一品であります。

 

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友里はこのメインで終了となりましたが、連れが頼んだのはこれまた古典のクレープシュゼット。これも最近のフレンチでは、グランメゾンといえどもほとんど見かけなくなったテーブル脇でやるパフォーマンス。
美味しいかどうかは別にして、女性にはウケるデザートであると考えます。

 

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いつもは値付けが比較的安いと思われるボルドー古酒を、この日はお世話になった夫妻の接待だったのでブルゴーニュに変更。
やはりブルゴーニュは美味しいと、料理、ワイン、そして同伴者との会話などすべてに満足して店を後にしたのであります。

数年後に竣工となる新ビルでも地下になると漏れ聞く「レカン」。
1階に出店して欲しかったですが、料理とワインのクオリティが変わらないなら、ぜひオープン直後に駆けつけてみたいものであります。