「俺のフレンチ」へ行ったからにはこの店へも突入しなければと予約を入れて訪問したのは9月はじめ。何日も前に既に確認済みでしたが、「俺のフレンチ」と違ってこの日も行列は出来ていなかった。それどころか18時直前にフリの二人連れが即入店するのを目撃してしまったのであります。
この店で驚いたのは予約席。3名以上だとテーブル席(4人掛けが2卓)ですが、2名だと立ち飲み客と同じカウンターに簡易椅子が用意されているだけ。しかもその予約席は2組分だけですから、座って食べるといっても、隣客は立ち食いしているのです。
背後には立ち飲み客用のテーブルも迫っており、配膳でスタッフが通る度に客は背中が接触してしまいます。立っていても座っていても、食環境は最悪に近い。
この状態から最初で最後の訪問と判断した友里、出来る限り多くの料理を試そうと隣の予約客(若い女性2名)に声をかけてシェア(支払は友里)を申し込んだのであります。
頼まなくても出るアミューズのパルメジャーノ(300円)は量が多くてこれではアミューズにならない。
パルマ産生ハム24ヶ月(650円)は質はともかく量はすごい。
俺ん家のサラダ(580円)もボウルに山盛りでアンチョビとニンニクのドレッシングの味が強すぎて、4名でも食べきるのが大変。
瓶ごとの提供だというので、ラベルで産地などがわかるはずだと迷わず頼んだキャビア(3800円)、なんと50g瓶なのですが、予想通りアメリカ産に加えて「ヘラチョウザメ」であることがわかってしまった。
高級品として世界のセレブが食する本物のキャビアは「チョウザメ」の卵でありまして、この「ヘラチョウザメ」とは同じチョウザメ目でありますが「科」がちがう別物。
仕入れはおそらく2000円前後であると推測します。当然ながら本物キャビアとはまったく違うのですが、塩味の調味料替わりに、後から頼んだピザやリゾットなどに掛けたら味が引き締まり重宝しました。
トリュフとフォアグラの目玉焼き(580円)はフォアグラの旨みのなさをトリュフオイルの強い香りが補っております。
トリュフとポルチーニのピザ(980円)はポルチーニがどこにあるかわからず塩が足りなかったがポーションだけはデカかった。
トリュフとフォアグラのリゾット(1100円)はブラックペッパーが効き過ぎで、トリュフオイルが目立たなかった。
その他鴨とフォアグラのパイ包み(980円)、牛バラの赤ワイン煮込みソースパッパルデッレ(890円)、フレッシュトマトのボロネーズ(780円)と、食材の質や味付けを犠牲にしてポーションだけを求めるならば、誰でも満足するかもしれません。
キャビアは別物、トリュフはオイル添加、そしてフォアグラは単価が安い大物(実際のところ、フォアグラ自体の価格は高くなく、真の意味で高級食材ではない)と安い価格で提供できる仕掛けはあるのですが、これだけ食べても一人当たり6000円は居酒屋使いのイタリアンと考えれば再訪なしを条件に、話のタネに1回はオススメです。