関東は濃い味で関西は薄味
和食に関してよくこう言われておりますが、友里は前々から大きな疑問を抱いておりました。
確かに東京の和食、江戸料理はもとより京料理の看板を上げている店でも味付けは濃い。それは間違いないのですが
その本場京都の和食店も今ではほとんどの店が味が濃過ぎるのではないか
いや正確に言いますと、「味濃い創作料理のオンパレード」なのであります。
食べログから引用しますと、和食ランキングトップの「未在」は吉兆出身ですから提供されるのは創業者・湯木貞一氏の創作料理がベース。はっきり言うと味がかなり濃い。
その他3つ星の嵐山吉兆、菊乃井など老舗から「祇園さヽ木」、「緒方」、「啐啄 つか本」など人気店も、友里に言わせるとすべて味が濃い創作料理店。はっきり言って伝統的な京料理(実際の定義はないらしい)とはかけ離れたものであります。
それでは友里は何が言いたいのか。それは東京和食も味濃いけど、
京都人はじめ関西人自体が「実は濃い味好き」ではないか
そうでなければ、大阪ルーツといえど東京育ちの友里が味濃すぎと感じる上述の有名店に関西人が嬉々として通い続ける理由がないからであります。
そんな濃い味好きの京都はじめ関西人には注目されないながら、京都の有名店を訪問した経験から友里(西麻布の「すゑとみ」主人も)が「理想の京料理」と通い続けるのがこの「御料理はやし」であります。
食べログ評価で点数はわずか3.50でランキングはなんと259位(原稿を書いている時点)。ミーハーが多いレビュアーが評価しないのは理解できますが、友里の知る限り外食好きの関西人たちも寄りつかない(未訪問も多い)隠れたお店。
最近になってなぜ寄りつかないのか、その理由がやっとわかったのであります。
この店の料理は派手さやサプライズが皆無でしかも「薄味」。(塩は強いですが)
たとえば今時前述の店ではお目にかからないこの時期が旬の「グジの蕪蒸し」。地味な見かけの料理でして派手さやサプライズで客を釣りたがる店は決して手を出しません。(価格の割に手間かかるし)
東京で一番と友里が思っている和食の店主も
このような料理では客を呼べない
と言っておりました。
でも食べ終わると本当にほっこりするというか滋味深い料理なんですね。
今年になっての訪問で、しみじみ「はやし」の蕪蒸しは最高だとあらためて思った次第であります。
和食の華であるお椀や炊き合わせも上述の店と違って素晴らしい。コラムネタの為、未訪問の店に行かなければならないので京都ではリピートを極力しない友里ですが、季節ごとに訪問している理由がご理解いただけると思います。
またこの店は写真撮影だけではなくワインを飲むこと自体が御法度。勿論飲料の持ち込みも原則禁止です。
関西人は持ち込み(特にワイン)に命を賭けていると聞きますから、最初からこの店に行く気がしないのでしょう。
でも友里はそんな関西人に言いたい。
料理よりワイン持ち込みを優先していたら、創作和食にしか舌が反応しなくなるぞ
和食はワインではなく料理(しかも滋味深いながら薄味、塩強いけど)が主役であると考えます。
最後にちょっと登場いただいた「霞町 すゑとみ」の補足。
ここ数年訪問していないのですが、たまによその店で遭遇します。たとえば銀座の鮨屋
きよ田
末富氏はこの「きよ田」を鮨屋として一番評価しているそうです。
その末富氏が自店の常連客に「京都の和食を教えてくれ」と言われて答えるのがこの
御料理はやし
だとか。でも残念ながら、訪問した常連客の半分以上が
味薄くて美味しくなかった
と感じると漏れ聞きました。「すゑとみ」と「はやし」の味付けがまったく異なるということでしょうか。
自分の好みとつくる料理は傾向が異なる
東京の客も「濃い味好き」が過半だという証左であります。