友里定説の逆は成り立たないことを立証している、六本木与太呂

友里の数ある定説の中で、一番有名(最も力を入れている)なのが

性格の悪い料理人の店に美味いものなし

ここで言う「美味い」の定義は、CPや食後感を含めての総合評価であります。
今はなき恵比寿の迷店、もとい、名店(料理だけ)と言われたフレンチ「レトワール」の三鴨氏の例外(客あしらいなどその性格に難があった)がありますが、それ以外ではほとんど当てはまっていると自負している友里自慢の定説です。
ところがこの逆である

性格の良い料理人の店は美味いものばかり

という定説は成り立たない。その典型例がこの鯛飯&天麩羅の「六本木与太呂」であります。

主人や息子さん、そして女将など店スタッフは皆さん謙虚で愛想が良い。
飲食店としての性格は非の打ち所がないと思うほどなんですが、如何せん肝心の天麩羅が他の有名江戸前天麩羅店とまったく違うのです。

屋号から推測するに大阪天麩羅がベースだからか、衣がカラッとしていないんです。
見た目もちょっと変わっていまして、表面はアメリカンドッグみたいに目が細かくツルツルでかなりの違和感。この店はミシュラン星付き繁盛店なのですが、駅ビルの廉価天麩羅屋でももうちょっとサクサクした衣ではないでしょうか。

まずは穴子の炙りの握り2ヶでスタート。以前は牛の握りでありましたがどちらもイマイチ。
続く鯛の造りはこのコース価格(1万3650円)では限界なのでしょうが「限りなく養殖」に思える質。そして天麩羅のスタートです。

最初に出る海老のすり身を挟んだパンの天麩羅は焦げすぎ。
さい巻き、キスとイマイチで、後に続いた烏賊はネチョネチョでありました。
レンコン、椎茸、シシトウ、玉葱と、はっきり書くとどうってことない揚げ物が続きましたが、茄子だけはカラッと揚がっていて良かった。

東京の高額天麩羅を経験した人なら誰でも「この天麩羅はちょっと・・・・」と感じる質と揚げ技術。しかしその「性格の良さ」から、多くの人がこの問題点を見逃してしまっていると友里は考えるのです。

もう1つのウリである〆の鯛飯。量がたっぷりで食べきれない場合は持ち帰ることが出来るのですが、又々はっきり書かせていただくと鯛の旨みはでていなかった。

実はこの店、京都は祇園で知る人ぞ知る予約を入れるのが最高難度(1年先まで一杯だとか)の人気和食店主人(次男)の実家。
ここまではっきり書いてしまっては、京都の店も友里は完全出禁となってしまうかもしれません。

最後に新しい友里定説です。
フレンチ、イタリアン、江戸前寿司、スパイスカレーに続いて

大阪にまともな天麩羅なし

これ書くと、また大阪出禁が増えるかもしれません。