大阪では珍しくリピートしたくなったビストロ、小藤食堂

友里が大阪出張で定宿(大袈裟か)にしているホテルから至近距離のビストロ。
その日の夕食予定を入れていなかったのでネットでホテル近隣を検索してよさげに思える店を選んだのであります。
ですからもちろん飛び込みに近い入店でありました。

結論から先に言わせていただくと、本場のディープさはないけど大阪としては結構まともな店ではないかなと。
大阪には「ピエモンテ料理だ」、「マルケ料理だ」などと本場郷土料理を自称する店が最近目立つようになりましたが、肝心の本場の地元料理を知る客が大阪にはほとんどいませんから、郷土色強い料理を提供してもウケるはずがない。

本物を知らないんですから、頑張って本物を出す意味がない

からであります。

フレンチ系のビストロも、そのほとんどが友里に言わせると洋食に毛を生やした程度のレベルではないか。そんな物足りない大阪のフレンチ&イタリアン事情でありますが、友里は久々に再訪してみても良いかなという店に大阪でぶち当たったのであります。

ただしドレッシング含め味付けが全体に大阪スタンダードとしては薄味なので、濃い味好きな大阪人には人気がないのではないか。
土曜夜だというのに飛び込みで入れたのはそんな理由かもしれません。料理の値付けも高くはないんですけど・・・

まずはアミューズ盛り合わせ。パテが優しいお味(無理な化粧をしていない)でまずまず。

シビをつかったニース風サラダは、野菜がスプラウトばかりで物足りないけど、味は優しくてこれまた悪くはなかった。
でも野菜をより多く取りたかったのでグリーンサラダを追加(メニューになかったので特注かも)。
ドレッシングはニースより塩濃いめと変化させており、ちょっと芸の細かさを見せられました。

メインはシュークルート。東京でも提供するビストロは限られておりますが、まさかフレンチ不毛(イタリアンも和食も鮨もスパニッシュも不毛ですけど)の地で出会うとは思わなかった。

キャベツはかなりリンゴの酸味を利かせていまして友里の真の好みではないけど、それなりに美味しかった。同行者は素直に美味しいと言っていました。
添えられた肉類(大阪では肉ではなく豚類というのでしょうか)もかなりボリュームがありました。

もう1つのメインは牛グリル。よくあるボルドー風ソースであります。
シュークルートもそうなんですが、シェフはやや甘めの味付けが好みなのか。ボルドーソースも友里にとってやや甘めに感じましたが、大阪と考えれば十分許容範囲との結論に達したのであります。

支払いはワインなどを各自2~3杯飲んで2名で1万4000円弱。東京でも近所にあったら通ってみたいと思ったビストロでありました。
一人調理で料理の種類が少ないので、頻繁に通える店ではないですが・・・

滅多に出ないというシュークルート(さすが大阪)を頼んでしまったので店には友里と特定されるかも。
ほとぼりが冷めるまで再訪できないかもしれません。

 

ブロイラーの気持ちが少しはわかるようになる、祇園さヽ木

相変わらず常連客(リピーター)で連日満席といわれる劇場型創作和食店。
18人を横一列にカウンターに並ばせ18:30より一斉スタートする、別名

ブロイラー飼育型レストラン

とも言われております。
知人に連れられて久々に訪問した友里(この地へ移転して2回目)、長いカウンターの迫力と、特徴ある客層に圧倒されてしまった。
玄関で靴を脱いでカウンターのあるホールへ案内されたのですが、横一線に並ぶ平均年齢の高い男女客を見て、この店の客層が理解できたのであります。

新幹線の最終時刻に間に合うように18:30の一斉スタート制をとっているはずですが、肝心の客は最終新幹線が必用な東京近辺の客はいないのではないか。
あくまで推測でありますが、名古屋や大阪の客が主体と読んだのであります。

その心は彼ら、特に女性の装飾品やバッグと服装のマッチングセンス。
Cブランドの宝飾時計に、オレンジブランドのバッグはオーダーものやエキゾチックレザーといったレアなもの。
ところかどっこい、肝心の服装に高級感が漂ってこないんですね。もしかしたら高額ブランドなのかもしれませんが、何しろセーターなので普段着に見えてしまうんです。客単価3万円前後の高額店ですからちょっと違和感を覚えてしまった。
しかも肘ついて食べるなどマナーもイマイチ。さすが名古屋や大阪と感心したのはいうまでもありません。

それではこの日のブロイラー飼料、もとい一斉スタートコースのスタートです。

まずは先付けとして牡蠣フライや海鼠腸&半生ナマコ。続くカラスミ餅にも言えたことですが、思ったより味付けが濃くない。
次の白子みぞれ椀を食して、今までの「さヽ木=濃い味料理」の先入観は吹っ飛んだのであります。

造りはフグのブツ切り。
フグ刺しは薄いより厚めの方が好きなのですが、このフグは〆てから寝かしが足りないのかコリコリ。関西は東京と違って寝かしによる旨みではなくコリコリ食感を好むようですが友里の嗜好にはあわなかった。

そしてこの時期は珍しいムラサキウニとマグロの握り(佐々木店主の手渡しというパフォーマンス付き)となります。
日頃関西のマグロをバカにしていたのですが、このマグロがかな~り美味しかったことを特記させていただきます。

そしてナメコの茶碗蒸しの後、この劇場最大のパフォーマンス、てんこ盛り食材のご披露タイムとなったのです。
この時期は松葉蟹。何杯重ねているのか数え切れない圧倒数。もちろん店主は客前で蟹の足を出刃包丁で自ら捌くというパフォーマンスも忘れません。

蟹をさして得意としない友里でありますので、この辺りは我慢タイム。
フカヒレの白味噌椀で気を取り直したら、なんとご飯ものはまたまた蟹炒飯が登場してしまった。
蟹好きや滅多に松葉蟹に遭遇しない人には歓喜のコース構成であったのです。

季節の食材を見た目も楽しく客前で披露していく佐々木劇場。
デザート(小豆とバニラアイス、イチゴ)は正直ペケでしたが、年に数回の訪問なら許容範囲かもしれません。

 

 

四川は薬膳料理の本場って本当なの? 趙楊

あれは昨秋でありましたか。バーニーズへ買い物に行った際、トイレのため4階のレストランフロアへ上がった友里、エレベータ前に位置する四川料理店「趙楊」の閉店をはじめて知ったのであります。

失念しましたが都心ではないところでオープンして銀座近く(地番は新橋)へ移転。
そしてこの交詢ビルへと移転を繰り返す毎に料理価格は上がり、それに反比例するかのように客数が減っていった趙楊。出直しの意味なのかまた新橋に戻ってきての再オープンであります。

この店の特徴は、こんな状態でも根強いファンがついているということ。
食べログでは4.26と高得点を維持しているんですね。
わずか8人のレビューしかついていないのですが、その半分がほぼ5点満点を献上。その他も4.5前後の高得点と、性格の悪い友里に言わせるとレビュアーは「サクラ」ばかりじゃないのか?
しかも皆、かなり高いコースを頼んでいるんです。

そこで友里、最高値と思われる薬膳コース(3万円ほど)を予約しての作年末突入でありました。電話問合せの際、スタッフの「薬膳料理の本場は四川です」の言葉を信じたのであります。

普請が高くは見えない新ビルの7階でエレベーターを降りると、細い廊下奥の半個室のような閉鎖空間に案内されて、その3万円コースはスタートしました。

まずは8種の一口前菜盛り。食材の説明は受けたのですが、味が普通だったので記憶に残らなかった。

続くは天然車エビの老酒漬け。
良くある調理でこれまた普通。ここですぐさま疑問が出てきたんですね。「おいおい、これが薬膳というものなのか」。

そして脂抜きのフォアグラ、スッポン、衣笠茸の朝鮮人参スープの登場です。でもスッポンは臭く出汁は濃くてイマイチ。

しかしその後に出た、蕪(冬虫夏草、天麻などを入れた煮物?)で薬膳チックになってきてなんとか挽回。お味もマズマズでありました。

鹿肉とツバメの巣は四川らしく辛さがあってマル。
フカヒレ姿煮(鹿の角を出汁にしているとか)もその味の濃さが一般ウケしそうでまずまず。

鹿のアキレス腱、鮫の頭骨、アガリクスの煮込みも体に良さそうでしたが、似たような煮込み調理の連続にちょっと食傷気味となったのであります。

〆は薬膳ソバ。
うやうやしく説明された真珠の粉は、ガン細胞を減らし白血球を増やすと言われましたが、そのまま信じてよいのか。白血球って増えすぎても良くないのではないか。

前菜を除いて、多くの皿の味のトーンが同じ(煮込みという調理法も同じ)でメリハリがない自称薬膳の本場という四川料理の店「趙楊」。

食材が高いだけのような気もしますが、CPを気にしない人には話のタネに1回の訪問は良いかもしれません。