唯一ウリのカレーもイマイチの廉価洋食店、紅花別館

今は知る人も少なくなったロッキー青木。若くして渡米し、アマレスや冒険家としてその名を馳せたと聞きましたが、アメリカを中心に多店舗展開するパフォーマンス鉄板焼き「BENIHANA OF TOKTO」の創業者長男としての客寄せパンダでも有名でありました。
でもアメリカで一度も行っていないのに、鉄板焼きではなく「カレー」の取材でこの系列店へ行くとは思わなかった。

厨房スタッフにいたスリランカ人が「賄い料理」として造ったのがはじまりといわれるこのスリランカカレー、スパイスが効いて辛いとの情報に友里すぐさま突入したのであります。

ランチにカレー所望と言って通されたのが1階鉄板焼きカウンター。驚いたのはその鉄板に造り置きされたカレーが入った壺が所狭しと並べられていたのであります。
座るとすぐに目の前に壺を置かれ、ご飯とサラダが運ばれます。カレーはサラサラで鶏肉は多く、玉葱、ピーマン、マッシュルーム、ジャガイモなどが入っておりました。

でも肝心のお味はスパイスの複雑さがなく単にチョイ辛いだけ。よく言えばマイルド、はっきり言うとスパイスが緩過ぎでありました。友里的には期待外れに終わったのであります。
客のほとんどは男性客で12時近くにはほぼ満席の人気店。でも1575円の価格を考えるとよい商売しているなと感じて店を後にしたのであります。

ランチのカレーがあまりに期待はずれだったので、再度訪問してそのカレーや自称洋食を試してみようと夜に再チャレンジ。
2階が洋食フロアなのですが、昼と違って客は半分も入っておりません。しかもそのわずかの客はほとんどカレーしか頼んでいないのであります。
値付けは高くない洋食群なのですが、人気がないのがすぐわかりました。

ボルシチがなんと180円。安いはずで味はビーツ主体で色は赤いだけではっきり言って人生最悪のボルシチでした。
茄子とモッツァレラのオーブン焼き(価格忘れ)は緩すぎ。
8時間煮込んでいるというタンシチュー(1200円)は甘すぎてまったく深みなし。8時間もかけてここまでツメないようにするのは逆に至難の業ではないか。

薬膳カレー(夜限定)は辛いけどスパイスの複雑さなし。ココットカレーは更にそこから辛さをとったようなお味でありました。

はっきり言ってこれらの洋食、安かろう悪かろうで家庭料理と大差ない調理レベルでありました。いやもしかしたら、一般家庭の方が美味しいかもしれません。
カレーも含めて友里の再訪はないでしょう。

 

近所にあれば居酒屋使い出来るお好焼屋、やいやい

あれは夏真っ盛りであったでしょうか。年寄りの身内とどこか昼食を取るところはないかと麻布十番を放浪して見つけたお好み焼き店。
大阪風お好み焼きとの看板に年寄りが釣られて思わず入ってしまいました。
ところが店内は閑古鳥一色。日曜昼の麻布十番は人出が多いのにこの閑散さをみて嫌な予感がしたのであります。

限りなく発泡酒に近いと感じたドライの生(590円)を飲みながら、まずは男前キャベツ(280円)。「とりあえずツマミ」の1種でしょうが、ゆず風味の量もそこそこで悪くはない。
山芋のうま辛キムチ(380円)も居酒屋と考えれば許容範囲か。時期限定だった鉄板麻婆豆腐(480円)もこの価格なら文句を言えません。

お好み焼きとしてまずは定番の豚・ネギ(900円)をオーダー。生地は山芋入りなのか塊感がなくバラバラしていましたが具も多くて美味しかった。
そしてこの店のウリ、山芋焼き(海鮮ミックス2200円)で〆たのであります。この山芋焼はスタッフが客前(テーブル)の鉄板で調理してくれます。
生地は山芋だけとのことで、海鮮の具は多く値段を考えなければ悪くはなかった。
昼だからそれほど飲まなかったけど2名で7000円超えといつものように客単価向上に貢献してしまったのであります。

夜に本格的に食べてみようと訪問したのは1ヶ月後。ランチ時より客は居ましたが、やはり満席ではなかった。
今回のスタートに選んだ男前もやし(280円)は意外に薄味。山芋キムチのあと鉄板バーニャカウダ(480円)に挑戦です。パプリカや茄子、ズッキーニが入っておりこの価格ならまずまず。
夏野菜の漬け物(480)やアンチョビキャベツ(380円)といった居酒屋料理の後、お好み焼きは豚じゃが(880円)を選択、ジャガイモ好きの友里は量もあり満足しました。
わかりやすい味の豚キムチ炒め(640円)を挟んでのこの日の山芋焼は具沢山乗せ(2500円)をチョイス。海鮮ミックスに豚を加えた豪華版でこれまた価格を考えなければ悪くはなかった。

違う焼き物もと頼んだネギ焼き(豚キムチ1180円)はネギが太すぎでイマイチと感じ、最後の〆で食べた健康野菜の山芋焼き(1480円)で再び満足して店を後にしたのであります。
わかりやすい味の料理でお酒が進みまして、薄い生ビールに富乃宝山(640円)を飲み過ぎたのか2名での支払いが跳ね上がり2万円弱。
ウリの山芋焼きが高いのが気になりますが、料理の種類も多く近所にあったら便利なお好み焼きメインの居酒屋であります。

 

高級食材の羅列に弱い純粋無垢な客専門、小熊飯店

西麻布でミシュラン星付き中国料理店「メゾン ド ウメモト」をやっていた梅本氏が突然店を閉めて海外へ放浪の旅(あくまで噂)に出てしまったのは2年前だったか。

10代で和食の道に入りながら、和食は覚えることが多すぎて20代半ばには独立できないと素早く見切りをつけ、中国料理店へ修行のし直し。
予定通り独立(あくまで自称)して中国料理店のシェフになったのに、その城をあっけなく捨て去ったのですから驚いた人は多かったのではないか。

次に現れる時はどんな変身をとげているかと期待していたら、千駄ヶ谷に1日4名限定の店をオープンしたと聞いて友里、すぐさま訪問したのはいうまでもありません。

店はコンクリート打ちっ放し(地下)の内装と、中国料理とは乖離する雰囲気だったのですが、料理は価格を除いてサプライズなしに淡々と終わってしまったのであります。

2万5000円コース1本勝負。ただし税・サは含入しております。
ワインは値付けが高い(NVシャンパンが1万5000円超)ので、我々は一見お買い得に見える紹興酒飲み放題(ビールやウーロン茶、ミネラルも)を選んだのであります。紹興酒のランクによって飲み放題価格は異なりますが、選んだのは20年陳甕出し(一人4725円)でした。

前菜は7種。名古屋コーチン、高知赤ピーマン、秋田空豆、28日熟成のピータンなど産地や調理法を強調しているけど造り置きですべて可も無く不可もなし。
8時間蒸したとの大仰な説明があったフランス鴨、金華ハム、台湾筍のスープも悪くはないけど傑出さを感じない。
同伴者からは「きょうびラーメンでもそのくらい煮込んでいる」との意見もありました。

3日かけたと説明された青鮫、毛鹿鮫、吉切鮫のフカヒレ姿煮。ポーションはあったけど、深みは感じず本場香港の名店には敵わないレベル。反して唐津の黒鮑は塩が強かったけどまずまずか。

アグー豚や米沢牛タンと頬肉の煮込みもこれまた普通味で、宮崎フルーツトマトと玉子の炒めも甘過ぎで友里の嗜好にはあわなかった。

最後は佐賀天然スッポンスープ蕎麦か十六穀米と大根ピクルスの炒めで〆となったのですが、コース自体は前店と食後感が変わらず世界放浪の効果がでていないと感じたのであります。

20年もの紹興酒もヘタっていて美味くない。
支払額は一人3万円弱もあり、高級食材名や産地名という上辺の言葉だけで満足してしまう純粋無垢な人を除いては、オススメできない店というのが、友里の結論であります。