地鶏を使っているとは思えなかった超人気鳥鍋屋、鳥栄

後輩から予約困難な超人気店だと教えられた鳥鍋屋。
夏はエアコンがないので予約を入れやすいと聞きまして、その後輩と二人で暑い夜に行きまして、タイトルの通り「どこへ出しても恥ずかしくない過大評価店」との結論に達したのであります。

鳥栄

 

まずこの店へ行くなら連れより先に行くことをオススメします。予約時刻に遅れなかったのですが、2階へ案内されると後輩が到着済み。
ところが年下の分際で上座というのか窓際にちゃっかり座っているんですね。
謙虚で寛大と言われる友里ですから、まあ仕方ないかとそのまま下座に座ったのが間違いでありました。

早速炭台と鍋が運ばれてくるのですが、なにせエアコンがないですから窓は開けっ放し。
その日は風が強かったのか、室内にかなり吹き込んでくるんですね。もうおわかりだと思いますかが、下座の友里、当然風下でもありますから風のおかげで灰まみれになってしまった。
連れとの訪問時刻競争に負けることも想定して、この店へ行くならかなりラフですぐ洗濯できる服で行くことをオススメします。

風下は炭だらけになるので注意

 

さて肝心の料理。7000円のコース一本でありまして、まずはしょぼい盛りつけの鶏肉の登場です。股、胸、血肝、砂肝といずれも少量。まあこの皿はいわゆる前座だと思っていたのですが・・・

前座と思った鶏肉

 

味醂入りだと言われたスープで加熱して股や胸を食べた第一印象は「何だこりゃ、地鶏にしては柔らかすぎてしかも旨みがないじゃないか」。限りなくブロイラーに近いと感じる食感と味だったのであります。

あっという間に前座と思われた一皿目を食べ終わると鍋のスープを飲むことを勧められます。そこで一口飲んだ友里、あまりの塩が強いのと鶏の出汁が出ていないことから「何かも間違いか」と思ってしまった。

そして前座の後の真打ちの鶏肉を待っていた我々の前に現れたのはなんとつくねの皿。まあこの後に真打ちが来るのかとつくねを鍋で加熱して食べはじめたのですが、骨を入れていないのか、単なるフニャフニャのミンチ。しかも旨みも乏しいですから最悪でありました。

何の変哲もなかった鶏ミンチ

 

さすがに疑問に思って年配の女性スタッフに鶏の種類を聞いたところ、「千葉と東京の卵を産んでいない地鶏」との返答。世には地鶏の良さを持たない地鶏も存在すると、この歳ではじめて知ったのであります。

驚いたのはつくねを食べ終わった直後。真打ちを待っていた我々の目の間に登場したのは白飯。なんと鶏肉は前座とミンチで終了してしまったのであります。

スープをご飯にかけてお腹を満たそうとしましたが、旨みがないスープなだけに1杯で断念。帰宅してレトルトの麻婆豆腐とカレーでやっと満腹になりました。

ド素人評価の食べログでは4.00と高評価の「鳥栄」でありますが、完璧な過大評価店。
7000円の請求は、この鶏と量ではあまりに高いのではないか。
この店の鶏が真の地鶏の味だとすり込まれたらその後の食人生を踏み間違えます。
レトロな建屋に引っかかって訪問してはいけません。

 

これが日本最高峰の天然鮎とはとても思えない、比良山荘

夏は鮎、冬は熊の料理で有名な「比良山荘」。
友里も関西在住の知人などからその名声を聞いておりまして、一度は訪問したいと思っておりました。

あれは初夏のことでしたか。関西の食べ仲間との食事の時、偶然この比良山荘の話がでたのですが、その仲間だけではなく店主も同意見だったのが

比良山荘の鮎は過大評価。天然鮎の良さを感じない(早い話がなんちゃって天然)

というもの。
ところが食べログでは4.37(この原稿を書いている時点)と高得点でレビューはみな絶賛の嵐。しかもあの山本益博氏もちょくマガ(角川グループのメルマガ。ただし7月にスタートしてわずか2ヶ月で休刊宣言)で絶賛していたので友里的にはおいしいネタだと早速予約を入れたのはいうまでもありません。

お盆休みのラッシュを避けて京都駅から大原経由のタクシーに1時間(料金は8000円ほど)は乗ったでしょうか。TV電波も届かないと聞く、かなりの山中にこの料亭形式の店はありました。

比良山荘

折角の遠出なので予約したのは鮎が一番多く出る鮎尽くし(2万1000円)コース。
まずは天然鰻のスープでスタート。
新銀杏や岩茸が入ったスープを一口飲んだ友里、味(塩も)濃すぎるアタックに思わず「ここまで来たかいがあった」とほくそ笑んだのであります。推測がまず間違いなく過大評価であるとの確信に変わった瞬間でありました。

八寸らしきものは鮎のなれ寿司(酸っぱいだけで深みなし)、松茸らしきものの和え物、黒豆、川エビ、川ゴリ、茗荷寿司とイマイチ。最悪だったのはスッポンの煮凝りでして、造り置きで時間が経ちすぎていたのか溶けておりました。

鯉のあらいは普通ながら、鮎のきずしは生臭くてバツ。そしていよいよ鮎の塩焼きが登場です。

鮎 一皿目

連れの「天然ですか」という鋭い問いかけに、女将は最初肯定する雰囲気を出していましたが最終的には

川の鮎です

と珍妙な回答になった問題の鮎。見た目は琵琶湖の稚鮎に見紛うほど小さなものでして、香りどころか苦みもまったく感じない。

鮎 取り分け

頭からかぶりつけと言われたので頭をかじって胴部の中身をのぞき込んだら、身が薄すぎるというかほとんど皮だけではないか。

中身がスカスカの鮎

食べログレビューでは「食べやすい、何匹でも食べあられる」と肯定的に書いておりましたが、こんなやせ細った鮎なら当然のことであります。身がなく、香りも味のクセもないんですから。
鮎は合計で一人7尾でてきましたが、すべてが同じレベルありました。

琵琶湖の天然といわれた鰻もまったくの普通味。
そして月(月の輪熊)とスッポンの鍋もあまりに出汁が甘過ぎでして、さすが近江の地方料理と感心したのであります。

鮎ご飯もこの鮎ですから風味が出ていないのは当たり前。自称鯉こくは逆に薄すぎで、友里の経験では味噌汁と大差ないもの。
シャンパンをボトルで頼んだからか2名で6万円突破となりました。

まともな天然鮎を京都で食べた人はごまかせないと思うので、この店を絶賛する人は単なる経験不足(天然鮎知らず)であると考えます。

 

代替わりする度に食後感が落ちている、ポン多 本家

友里の初訪問は40年以上前の学生の時でしたか。当時は平屋みたいな古い建屋であったと記憶しておりまして、かなりの高齢女性の仕切りの元、年配夫婦が実務を担当する家族経営でありました。

トンカツの価格は現在と大差なかったのではないでしょうか。
当時は明細を出さない(メニューにも価格表示がない)不明朗会計でしたが、支払額から逆算して2500円くらいだと推測しておりました。

この御徒町にはこの店の他、御三家と呼ばれていたトンカツ屋が2軒あったのですが、現在のように高ブランド化された豚がなかったこともあり、ロース専門の「ぽん多」が一番と友里は結構通っていたのであります。
いつの間にか大女将は居なくなったようで代替り。でもまだまだまともなトンカツ屋だったんですね。

転機となったのは現在の建屋に建て替えたころでしょうか。しばらく閉店していたあと(湯島でひっそりやっていたとの噂あります)、この新建屋を訪問して友里は腰を抜かそうになったのです。

主人は更に代替わりしていましたが、入口ドアが重厚で2階まである立派な建屋。
そしてそのオヤジが1階で厨房のモニターを見ながら2階の客をカメラで監視していたのであります。カメラで監視するトンカツ屋オヤジ、世界広といえども「ぽん多本家」だけだったことでしょう。

現在はもう監視していないと思いますが、またまた代替わりしたとのこと。
マスヒロさんが取り上げていたこともあり、友里は超久々にこの夏再訪したのであります。
身内含め4名での訪問だったので、メニューに載っているものを次々に注文。

赤貝刺身(2625円)は量が多いというかデカいけど臭みがあってイマイチ。
キスフライ(3尾で3675円)は身が厚かったけどチト火が入りすぎか。でも結果的にはこれがこの日一番の料理でありました。

サラダは自家製のマヨネーズがしつこすぎ。各フライ(含むカツレツ)にはキャベツ以外にも野菜が多めについてきますから、わざわざ頼む必要はないでしょう。

タンシチュー(4200円)は肉が多かったけどソースが甘過ぎで、これまたしつこすぎありました。ではビーフシチュー(4200円)はどうかといいますと、こちらの方が甘くなくワインなどアルコールが進むのではないか。
しかし、有名な洋食店と違ってツメはかなり緩かった。そしていよいよメインのカツレツ(2625円)の登場です。

カツレツ

 

低温でじっくり揚げる白い衣のトンカツのはずでしたが、実物はかなり火が入っています。脂が少ないのは有り難いけど、肝心の肉の味も薄い。
ただし柔らかいので素人中心の食べログレビュアーや年配客などには受けるかもしれません。実際のところ、周りの客は地元の年配客が主体でありました。

頼みすぎた感もありますが4名で3万円に肉薄する支払い。
これならタクシー乗ってわざわざ訪問せず、近所のブランド豚を扱っているトンカツ屋にした方が安くて満足したとあらためて後悔したのであります。