夏は鮎、冬は熊の料理で有名な「比良山荘」。
友里も関西在住の知人などからその名声を聞いておりまして、一度は訪問したいと思っておりました。
あれは初夏のことでしたか。関西の食べ仲間との食事の時、偶然この比良山荘の話がでたのですが、その仲間だけではなく店主も同意見だったのが
比良山荘の鮎は過大評価。天然鮎の良さを感じない(早い話がなんちゃって天然)
というもの。
ところが食べログでは4.37(この原稿を書いている時点)と高得点でレビューはみな絶賛の嵐。しかもあの山本益博氏もちょくマガ(角川グループのメルマガ。ただし7月にスタートしてわずか2ヶ月で休刊宣言)で絶賛していたので友里的にはおいしいネタだと早速予約を入れたのはいうまでもありません。
お盆休みのラッシュを避けて京都駅から大原経由のタクシーに1時間(料金は8000円ほど)は乗ったでしょうか。TV電波も届かないと聞く、かなりの山中にこの料亭形式の店はありました。
折角の遠出なので予約したのは鮎が一番多く出る鮎尽くし(2万1000円)コース。
まずは天然鰻のスープでスタート。
新銀杏や岩茸が入ったスープを一口飲んだ友里、味(塩も)濃すぎるアタックに思わず「ここまで来たかいがあった」とほくそ笑んだのであります。推測がまず間違いなく過大評価であるとの確信に変わった瞬間でありました。
八寸らしきものは鮎のなれ寿司(酸っぱいだけで深みなし)、松茸らしきものの和え物、黒豆、川エビ、川ゴリ、茗荷寿司とイマイチ。最悪だったのはスッポンの煮凝りでして、造り置きで時間が経ちすぎていたのか溶けておりました。
鯉のあらいは普通ながら、鮎のきずしは生臭くてバツ。そしていよいよ鮎の塩焼きが登場です。
連れの「天然ですか」という鋭い問いかけに、女将は最初肯定する雰囲気を出していましたが最終的には
川の鮎です
と珍妙な回答になった問題の鮎。見た目は琵琶湖の稚鮎に見紛うほど小さなものでして、香りどころか苦みもまったく感じない。
頭からかぶりつけと言われたので頭をかじって胴部の中身をのぞき込んだら、身が薄すぎるというかほとんど皮だけではないか。
食べログレビューでは「食べやすい、何匹でも食べあられる」と肯定的に書いておりましたが、こんなやせ細った鮎なら当然のことであります。身がなく、香りも味のクセもないんですから。
鮎は合計で一人7尾でてきましたが、すべてが同じレベルありました。
琵琶湖の天然といわれた鰻もまったくの普通味。
そして月(月の輪熊)とスッポンの鍋もあまりに出汁が甘過ぎでして、さすが近江の地方料理と感心したのであります。
鮎ご飯もこの鮎ですから風味が出ていないのは当たり前。自称鯉こくは逆に薄すぎで、友里の経験では味噌汁と大差ないもの。
シャンパンをボトルで頼んだからか2名で6万円突破となりました。
まともな天然鮎を京都で食べた人はごまかせないと思うので、この店を絶賛する人は単なる経験不足(天然鮎知らず)であると考えます。