酒類は高いが料理はまずまずのスパニッシュ、フェルミンチョ

都内で美味しいスパニッシュの店をご存じでしょうか。
白金や恵比寿などには「バル」というカウンター形式の店がありまして、一人でも入店出来る、ポーションが小さく値付けも安い、など使い勝手は良いのですが、料理自体にそれほどのポテンシャルがあるとは思えない。
かといって、親子関係をはっきり開示せず互いの店を雑誌の取材で推奨しあっているスペイン人親子の店も、その店主の性格を考えると行く気になりません。

バルセロナやマドリッド、ドノスティアといった有名どころばかりではなく、ロサス、ブルゴス、サンルカール ラ マヨールといった知名度の低い地を訪問した経験をもつ友里(と言っても全部で数回の訪問)、スペインはイタリアに勝るとも劣らない地元密着の郷土色ある料理があると思っているのですが、日本、いや東京都心にはそんなディープな店は見当たりません。

サングリアとオムレツ、アヒージョ、パエジャさえ出していれば良いと思っているのでしょうが、せめてゆっくりテーブルに座れてそこそこ美味しい料理を出す店はないのか。
そんな友里が今秋、知人カップルとの会食で西麻布近辺を検索して見つけたのがこの「フェルミンチョ」でありました。

 

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場所は西麻布1丁目のちょっと入った路地。待ち合わせ時刻にドアを開けて友里は焦ったのであります。なんと、「客がいない」ではありませんか。当然ながら活気もない。閑古鳥一色の店内に驚きながら、段差のあるホールの奥の席に案内されて「店選択をしくじったか」と後悔したのであります。

チープ感漂うビニール掛けのメニューにも意気消沈。料理の種類は多いけど単価は1000円以上と値付けは結構高いと感じながら、これが最初で最後の訪問になるかと、目についた料理を片っ端から頼みまくりました。

まずはチョリソ(1700円)。これは可もなく不可もなかったのですが、続くイベリコ・ベジョータの生ハム(2980円)は量もありかなり美味しい。

 

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農園サラダ(1380円)は普通味でしたが、ブラウンマッシュルームと小エビのアヒージョ(1580円)は具が盛り上がるほど大量で味も濃いめでグッド。塩タラとパプリカを入れたバスク風オムレツ(1080円)はちょっと柔らかすぎで好みではなかったけど、水タコのガリシア風(2480円)はカイエンペッパーが利いていて悪くはなかった。具の量もタップリです。

 

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そしてイベリコベジョータのロースのグリル(3200円)を挟んで、生まれたはじめて食べた鰻のパエジャ(6400円)で〆としたのであります。

 

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酒類はカヴァ、スティルワイン、シェリーと値付けは安くなく、しかも楽しみにしていたシェリーの種類も多くはなかったのが残念。
かなり食べて安くはないお酒をたらふく飲んだからか一人当たりの支払いが1万円台半ば。スパニッシュの割に結構な客単価となってしまった。
ディープな料理はないですが、空いていてゆっくり食べられるスペイン風料理店。食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつければ客単価を下げられますから、急な外食の時にはオススメできると思います。

フルオーダーのハンバーガー、THE COUNTER(オアフ島)

侵略、もとい開拓されたアメリカに郷土料理があるとは思えませんが(インディアンには郷土料理があるかもしれません)、不味いと言われるアメリカ料理の中で友里が認める、行くたびに食べる料理はステーキとハンバーガーのみ。

肉を焼くだけ、もしくは野菜を挟んでケチャップとマスタードをつけてパンで挟むだけと、調理とは言えない代物かもしれませんが、肉自体は脂まみれの和牛と違って旨みがあって美味しいだけに、苦手な人は珍しいのではないか。

そんな老若男女に好かれる(当たり外れの少ない)ハンバーガーでありますが、オアフ島のカハラモールに美味しい店があると教えられて初めて訪問したのが、この「THE COUNTER」であります。

 

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この店の最大の特徴は、何種も用意されているバンズ(パン)やパティ(肉)だけではなく、トッピングやソースまで自分でチョイスできるということ。
ハンバーガー、サンドイッチ、サラダ仕立ての3カテゴリーに大きく分けられ、店の定番メニュー(バンズ、パティ、トッピングやソースが決まっているもの)がいつくも用意されている上に、それぞれを客が好きに選べるフルオーダーシステムもあるのです。

店内は簡素なカフェのような普請でありますが、カウンターに座っていたジモティーらしき一人客達が食べていたものを見てビックリ。
サンドイッチやハンバーガーではなく、ボウル盛られた野菜サラダみたいなものを食べていたのであります。着席してメニューを見て理解。パンや肉の種類(牛以外にもチキン、ツナの他にバイソンまであった)の選択の所に「サラダ仕立て」(パン不含)があったのです。
春先から減量に励んでいた友里は、当然ながらジモティーたちが頼んでいたこのサラダ仕立てのフルオーダーに挑戦したのであります。

肉は牛、チーズはチェダー、ソースは何が良いかわからなかったのでローストガーリック、マスタード、サルサの3種を選び、ピクルスやアーティチョーク、シュークルートの追加に加えてハラペーニョまでオーダー。
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待つこと20分くらいだったか。確かにやってきたボウルにはレタスを中心としたサラダ仕立てでありましたが、肝心のパテが野菜に埋まってしまっていて自分は何を食べているのかサッパリわからない。少なくともハンバーガーではないわけでして、これならサラダとハンバーガーを別々に頼んで食べた方が満足したのではないか。

やはりハンバーガーはバンズとともに口の周りがケチャップやマスタードまみれになってかぶりつかなければ食べた気がしないというのが、今回の結論となったのであります。

同行者は定番の「カウンターバーガー」という、店の名を冠するフルオーダーではない定番人気バーガーを頼んでいましたが、そちらの方が美味しそうに言えたのは言うまでもありません。
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何事もバランスが大事。パティやバンズ、そしてトッピングにソースと、それぞれ互いに相性があるだけに、自分の好みだけを選んだ寄せ集めは必ずしも美味しいものではないと悟って店を後にしたのであります。

毎回同じ内容の料理だけどつい通ってしまう、かわむら

日本一というか、ステーキハウスとしては世界屈指の客単価を誇ると思われる銀座の「かわむら」。
しかも千客万来と言いましょうか、予約困難で訪問すること自体が至難の業と言われるくらいですから、他の飲食店経営者はまことに羨ましい限りではないか。

最近は似たような店(「銀座ひらやま」など)が注目を浴びて人気になっておりますが、この店の予約は更に難度が上がっているようでして、最近は好みの時間帯だと4ヶ月以上待たされると漏れ聞きました。かくいう友里も、一時期離れていた時期もありましたが、年に数回は訪問している身であります。

季節によってはアワビや白トリュフなどの食材も揃えているようですが、国内黒毛和牛(産地は特定していない)のヒレをベースにした肉尽くしコースがメインでありまして、食材の季節感は原則ないのが特徴か。
よく言えば安定しているとも言えますが、この友里もほぼ毎回同じ料理内容をリピートしているのであります。
今回はその毎回同じように頼むコース内容を披露させていただきます。

まずは魚系の前菜でスタート。サーモンがベースでありますが、ホタテやヒラメなど白身の刺身も用意されています。特注という「ベルーガ」を付け合わせとして頼む客(一瓶単位)も多い。

続くはヒレ肉のタタキ。そしてタルタルステーキへと続きます。
この店のタルタルステーキはトマトの微塵切りを入れているのが特徴か。最近は欧米でしかなかなか食べられない料理でありますが、その欧米でも見られない調理(味つけ)でありますので、訪問時にはぜひ試していただきたい一品です。
コンソメスープも安定していて(かなり濃厚です)サラダもドレッシングに変化がないけど毎回食べきってしまうのがいつものお約束。そしてメインのステーキの登場です。

近火の弱めの火入れでありまして、塩胡椒の前振りは一切なし。
店主の言によりますと、塩胡椒して焼いてしまっては雑味がでるだけだとか。確かにこのかわむらステーキ、味わいすっきりで特に女性にはお腹がもたれないと評判が良いもの。
友里も昔は、前菜からの肉尽くし(更にハンバーグまで食べていました)の後にステーキを200g食べきっていたのですが、最近はダイエットを心がけているので(歳のせいで食欲が落ちたとアンチは言うでしょうが)100gに抑えております。
そして〆のデザートは同じく自家製のプリン。

数ヶ月に1回とはいえ、こうも毎回食べる料理が固定しているのはこの「かわむら」のみ。
季節感がない店と言ってしまえばそれまでですが、換言すれば季節の変化に頼らず通える店ということかもしれません。

キャビアにボルドーの古めの赤ワインなどを頼むと客単価が10万円前後になる可能性がある肉を主体としたコース仕立てでありますが、一度訪問をパスしたら再訪が難しくなるだけに、友里は今後も年に数回は通い続けることでありましょう。