寿司屋というより握りも出す高額居酒屋、やま中本店

博多在住と思われる自己顕示欲強すぎる自称セレブ夫婦がブログで絶賛していた博多の高額寿司店。(http://gourmand-fk.tea-nifty.com/shokutaku/)
友里が完璧にダメ出しした「ドミニク ブシェ」を絶賛していた味のわからないこの夫婦を再検証しようと関連会社の連中を伴って1月下旬に訪問したのであります。

タクシーから降りて店前に立った友里、その威圧感に圧倒されてしまった。重厚な分厚いドアでしかも自動ドアでありまして、開くと目の前にレセプションがあったのです。
日本広しといえど、高額寿司屋でも受付と受付嬢を配した店はこの「やま中」だけではないか。
しかも天井がグランメゾンもビックリの高さでありまして、カウンターも長い横一列で豪華。これは支払い(3人分)が桁外れになると覚悟した瞬間でありました。

気後れしそうな自分に鞭打ってまずはフグ刺しからスタート。ここで驚いたのが近海天然だというフグ切り身の色。飴色ではなく赤っぽいんですね。ちょっと不気味でありましたがお味は傑出していなかったけど添えられたアン肝は美味しかった。
済州島産だという鯖は〆が予想外に浅かったけど悪くはなかった。

そして味音痴のセレブ夫妻がベタ褒めしていたモロッコ産の鮪にチャレンジしたのであります。
予想通りと言ってしまえばそれまでですが、中トロ、赤身とも味が薄いというか風味に乏しくてダメ。
天然という白子焼きでいくらか挽回して、友里はカウンターに並べられた大皿料理(おばんざいみたい)に注目したのであります。

寿司屋におばんざい?
店主が「うちは高額居酒屋です」と言っていたように、この店は価格を無視したら鮨ネタよりおばんざい料理がオススメなのではないか。
鰤大根、鯨の竜田揚げや唐揚げ、タコの煮込み、渡り蟹、鮑の自然薯掛けなどお江戸の高級鮨ではお目にかかれないものを友里は頼み続けたのであります。
いずれも高額和食と考えたら味濃すぎでありますが、居酒屋料理としては(支払額を無視すれば)許容範囲内ではないか。寿司屋だとの先入観を捨てることが前提でありますが。

恐ろしや博多在住のセレブ夫妻。
お江戸にもしょっちゅう出張ってきて高いだけの店(ロブションなど)を絶賛しておりますが、彼らは寿司屋と居酒屋の区別もつかないのだとわかったのであります。

夫妻がこの店の寿司タネにあうといっていたモエ エ シャンドンのロゼ。
「ロゼに美味いものなし」という定説を信じる友里でありますが、もしやと思って頼んでみたのですが、当然ながら料理にはまったく合わなかったことを最後に付け加えさせていただきます。

ふんだんにお金使っての贅沢三昧をブログで自慢しているセレブ夫妻でありますが、料理だけではなく、ワインもまったくのド素人だと確認した博多の高額居酒屋、もとい高額寿司店。
費用対効果の問題(一人当たり3万円を軽く突破)がありますが、接待ではハッタリが効きますから、友里も関連会社ではなく博多の上得意先限定としてこれからも利用できるかなと考えて店を後にしたのであります。

キノコ鍋にしてはCPが悪すぎる、御膳房 銀座店

前々から気になっていた雲南料理店。本場中国訪問の経験がない友里でありますから雲南料理のなんたるかがまったくわからないのでありますが、普段チェックしているブログに載っていたキノコ鍋に釣られて訪問したのは今年の初めでありました。

接待での訪問だったので六本木にある本店ではなく銀座店をチョイス。
そして当日にその場所が銀座1丁目の銀座トレシャスというビル11階とはじめて知って思い出したのであります。

なんだ、オープン直後の昼に飛び込んだパッとしないキノコ鍋屋ではないか!

あれは4年前でしたか。
当時「天香回味」のキノコ火鍋に嵌まっておりまして、似たような鍋を出すこの店を見つけて一人で飛び込んでいたのです。
ほとんど記憶が残っていなかったのは、高い割に(昼で5000円前後だったか?)期待ハズレで美味しくなかったからだと思いだしたのであります。
しかし4年経っても閉店せず続いていますから食後感が向上していると思い直してでかけていったのですが・・・
結果は当初と変わらないものとなってしまったのであります。

5名での訪問でしたが迷わずアラカルトを注文。
まずは麻婆豆腐(2500円)。四川のものと違って色は黄色く辛くない。
雲南風豆腐煮込み(2800円)も食した記録があるのですが、味はまったく記憶になし。その他雲南ハムの春巻き(2500円)も食べたのですが、これまた記憶に残るものではなかった。

そしてメインの雲南キノコ鍋(薬膳スープを選択。具のキノコなしの出汁だけで1万1980円)と10種のキノコ盛り合わせ(9680円)の登場です。

薬膳と言いますと友里はスープカレーを思い出すのですが、この店の薬膳はスパイス感や他店の火鍋のような辛さをまったく感じない甘ったるいもの。
キノコの量も総額(スープ入れて2万円突破)にしては量が少なすぎると感じたのであります。
そしてイマイチな10年ものの紹興酒(4880円)をメインに飲んでの支払いが一人あたり2万円前後と脅威の支払額に腰を抜かして店を後にしたのであります。

これだけの支払いであまりの食後感に疑問を持った友里、己の体調に問題があったかもと1ヶ月後に再度検証するため再訪したのはいうまでもありません。
今回は3名での訪問でありましたが、イマイチな10年紹興酒に懲りて20年紹興酒(それでもイマイチなお味だった)を頼んだのがいけなかったのか、なんと支払額は一人あたり2万円台半ばに近づいてしまった。

勿論お味は前回と同じで、雲南キノコ鍋だけではなく他のアラカルト料理も傑出さを感じないというかいずれも特徴がなくイマイチ。
天香回味では飲み放題をつけても一人1万円で終わってしまうだけに(しかもより満足する)、あまりにCPが悪すぎるのではないか。
タダ飯でない限り、友里の再訪はあり得ません。

 

食材、調理と可もなく不可もなしの洋食店、乃呂

どんな店に行っても、そしてどんな料理を食べても絶賛の言葉しか述べない自称フードコラムニストの門上武司さん。
彼は大阪ガスの援助を受けているのでその訪問先はガス厨房を設置する店に限定していると聞きますが、
ガス調理さえしていれば、造る料理すべてが美味しくなるものなのか。
そこには食材の質や料理人の腕の差がでないものなのか。

関西の料理店や関西人の舌に疑問を持つ友里は、関西の飲食業界で大きな力をもつこのコラムニストのウオッチを続けておりまして、彼のヨイショブログで昨秋気になって訪問したのが心斎橋近辺にあるこの「乃呂」でありました。
わざわざ大阪まで行ってなぜ洋食店を訪問するのか。その理由は「洋食でハズしても大きな損害がない」と考えたから。

育った食環境の影響なのかどんなものを食べても美味しく感じてしまう魔法の舌をもつ門上さんを検証するため、友里は彼の絶賛店を訪問して何回も痛い目にあっておりました。
このブログネタの為でなければ彼のオススメ店には自腹で行きたくないのでありますが、洋食はよほどの事がない限り不味くて食べられないということがない、そして比較的単価の安い料理であります。
自爆覚悟で飛び込んでも大きな損害を被らないと判断しての訪問であったのです。

初訪問は昨秋のこと。1階のカウンターではなく2階のテーブル席でアラカルトを身内と食べまくったのであります。

まずは生牡蠣(3ヶ1680円)。三陸産とのことでしたがこれは美味しかった。
でも牛肉のカルパッチョ(1260円)にはビックリ。なんと加熱しているではありませんか。ローストビーフの薄切りみたいなものでしてこれなら提供しない方が良いのではないか。
野菜サラダ(Lで1575円)は野菜の量と種類が多くてCP悪くなくまずまず。

ウリのタルタルステーキはポテトサラダを混ぜているオリジナルレシピとのことでしたが、ポテサラのおかげで緩い味付けになっていてイマイチ。
本場のタルタルを知らない大阪人にしか通用しない代物でありました。

門上さんが秀逸なドゥミグラスソースと絶賛していたビーフシチューとタンシチュー(いずれも3150円)でありますが、友里に言わせるとツメが緩い。
まったく秀逸とは思えませんが、かろうじて許容範囲に踏みとどまったのであります。

もう1つのウリであるハンバーグ(1890円)は、どっぷりソースに浸かった煮込みとも思えるもの。
玉葱の添加が多かったですが、味的には東京のそこらの街場洋食店と大差なし。
〆に頼んだドライカレーもまったくスパイス感がなかったのであります。

今年になって1階のカウンターでも食べましたが、東京人としましてはこの支払額(一人あたり1万数千円)での再訪は厳しい。

はっきり言わせていただくと、東京で石投げれば当たるレベルの高額洋食店。
3月10日発売の新書「堕落のグルメ」(角川SSC新書)でも関西飲食店のレベルの低さを述べているのですが、洋食の分野でもそれを再確認した2回の訪問でありました。