チョイ飲み、チョイ食べの限定利用がベスト、銀座しまだ

友里とちょっと因縁があった3つ星和食の「幸村」。新橋の有名店「京味」で客同士として遭遇した縁もあり、批判されただけで友里を出禁にしてしまう狭量な「カンテサンス」と違って今のところ出入りは自由であります。
その「幸村」出身の料理人が銀座で立ち飲み屋(正確には立ち食い屋)をオープンして人気と聞いて訪問したのは今年の夏でありました。

17時オープンで原則来た順にカウンターに立つこというシステムですが、1卓のテーブル席(4名)は2時間単位で予約が可能と言うことで、食べ仲間と訪問したのであります。

8名ほどの行列を横目に、オープンと同時にいち早く入店できる優越感はありましたが、なにせテーブルが狭く料理はカウンター越しに客が自ら受け取らなければならない不自由さ。
数10分並んだとしても、立ち食いの方が楽であったと即座に感じたのであります。

まずは生ビール(500円)。焼酎は500円、ハイボール700円、グラスワイン900円と、立ち飲みとしてはそれほど安くない酒類の値付けでありました。
料理は500円均一の小鉢料理の他、800円から上は6000円のバチコ蕎麦まで種類は多い。店内に1枚しかないメニュー黒板を入店順に客が回し読みしてオーダーを入れていきます。せわしない気もしますが、追加注文が出来ますから、とりあえず500円の小鉢料理だけでのスタートも良いかもしれません。

小鉢では、マッシュみたいに伸ばしたポテサラはイマイチながら、小芋、出汁巻き玉子、お浸しなどは味濃いけど量を考えれば500円は悪くない。
4人でウリのトリュフコロッケ、鱧・松茸鍋、生ハムなどを食べ、酒類はビール以外に焼酎で節約を図ったのですが、〆に6000円のバチコ蕎麦が利いたのか支払額は一人9000円になってしまった。

最終評価はカウンターを検証してからと再訪したのは11月。念のためオープン30分前に行きましたが順位は2番目と余裕でありました。
今回は2名でノンヴィンシャンパン(8000円)を頼み、旬の牡蠣フライ(800円)、香箱蟹(1600円)、牛すじ大根(800円)に、ほとんどの客が頼んでいる唐墨蕎麦(1600円)を頼んでの支払いがやはり一人当たり1万円弱。
いつものようにしっかり飲んで食べてしまうと、立ち飲みとは思えない客単価になることを確認したのであります。

俺のフレンチや俺のイタリアンと比べて5割以上の予算はかかるのではないか。思いのほか高くつく立ち飲み(正確には立ち食い)和食。
ネットやマスコミで話題の割に行列がそれほど発生していない理由が2回の訪問でわかったのであります。
チョイ飲み、チョイ食べ限定の店であると考えます。

 

 

ビール好きは客単価が高騰する、カイザーホフ

この11月に出張(本業)でドイツ訪問を控えていた友里、準備運動として夏頃からドイツビアホールを意識的に訪問しておりました。 あれは2年前、生まれて初めてのドイツ訪問(デュッセルドルフ)で、ミシュラン星付き店の料理が口に合わないと悟り、今回の訪問ではビアホールのみでの食事と決めたからであります。

新丸ビルの「フランツクラブ」では支払額が1万円弱とCPの悪さを実感。そこで今回は取引先との懇親会で有楽町の超大箱ビアホール(しかもビル地下)を選択したのです。

まずはヴァイスビア(500cc1280円)で乾杯。ドイツの白ビールですが、結構甘く感じてアペリティフにはちょっと疑問。 続くビールはドュンケルタイプにしましたが価格は同じく1280円。日本のビールと比べると5割は高いのではないか。仕事がらみの経費扱いということで、参加者が次から次へとビールを飲みまくったおかげで、それほど満腹にならずとも一人当たりの支払額が1万円を超えてしまったのであります。

肝心の料理の記憶が飛んでいたので個人的に再訪したのは出張直前の11月。今回はビールをゆっくり飲みまして、じっくり料理を味わうことが出来ました。

季節野菜のラクレット(2380円)は客前で温めたラクレットチーズを野菜にかけるパフォーマンスがウリ。塩味強めながら野菜の種類と量は充分でありました。 珍しいと言われたドイツ生ハム(1280円)は5人だと足りなかったですが味はまずまず。シーザーサラダ(1280円)は逆にボリュームたっぷりでありました。

ムール貝のワイン蒸し(1480円)は甘めでベルギーで食べたものとのは別物。ザワークラフト(780円)を挟んでのソーセージ盛り合わせ(2980円)は高いけど5名でシェするなら許容範囲内。ハーブ味のニュールンベルグソーセージ(1280円)は美味しく、アイスヴァイン(3980円)もなんとか満足したのであります。

デュッセルドルフのアルトビール(210ccで200円チョイ)の店と比べると、ビールだけではなく料理も高い(もっと大きなアイスヴァインでも2000円しなかった)のは、ビール命の国民性ではなく物価高の日本なので仕方がないのか。2名の下戸で酒代は抑えられたはずですが、それでも一人当たりの金額が8000円超となってしまったのです。

本場ドイツのビアホールではしっかり飲んで食べても2名で4000円しない現実。 ドイツビアやドイツ料理に付加価値つけ過ぎる日本の飲食業界に疑問を感じますが、飲めるワイン(美味しい)がないだけに、ビール好きはビアに専念できます。 ビール代をけちらない人限定の店であると考えます。

 

 

店名のイメージと違ってすべてが高い、ラ・ブラッスリー

ビストロは廉価な食堂、ブラッスリーはビールにも注力する規模が大きな廉価食堂だと思っていた友里、ブラッスリーにはアルザス料理を出す店の意味合いもあると知ったのは最近のことでありました。

そしてこの帝国ホテルインペリアルタワー地下1階にある「ラ ブラスリー」、確かに大箱(平日夜の客入りは悪すぎ)でありますが、アルザスビールがあるわけでもなく、オープン当時は目の前で薬味などを混ぜて味付けするタルタルステーキがウリでありました。
いつの間にかメニューから消えて足が遠のいていたのですが、「ザイテン」という雑誌の取材で久々に訪問したのであります。

平日だといっても3割ほどの客入りという寂しいなか、廉価な食堂の位置づけ(店名)なのに、「伝統のフルコース」と銘打って1万円コースが設定されているのに唖然。
NVシャンパンも1万500円からとワインの値付けも高いことから、我々は「伝統」を捨てて単品注文を選択したのであります。

ニース風サラダ(ハーフポーション1400円)はドレッシング別添えが意外でお味は凡庸。有機野菜のスープ(2000円)はカボチャの温スープでしたが甘いだけであまりに高すぎです。

小山薫堂氏が絶賛していたシャリアピンステーキ(5000円)、本家のお味だそうですが、これなら分家かパクった店の方が美味しいと思うくらい、タマネギの甘さが強烈で肉の味がしなかった。

ブラッスリー(店名)由来の料理と頼んだ黒豚ロース&アルザス風シュークルートは、アルザス本場と比べると(この原稿をストラスブールで書きました)、シュークルートは少なすぎ、そして肝心の豚肉は低温調理のようなスライスだけでソーセージやバラ肉などがないなどまったくアルザス色を感じなかった。

値付けが高いリストから7400円赤ワインを無理に選んでの支払いが2名で3万円超と、店名とはかけ離れた支払額に驚いたのであります。

ブラッスリーになぜかあるローストビーフの確認のため再訪したのは翌月の水曜日。やはり客入りは悪かった。

シーザーサラダ(1900円)は、資生堂パーラーのようにその場で仕上げないのが残念。
自慢のダブルコンソメ(1900円)、期待したほどの深みなし。エスカルゴ(1800円)も普通味でした。

狙いのローストビーフ(1枚120gで3900円)もその場でカットするのではなく厨房からカットされてきました。これなら同じ帝国Hでも、結婚披露宴で出る方がはるかに美味しい。
赤ワインはリストの中では安いボルドー(それでも1万500円)を頼んでも2名で今回は4万円を軽く突破。
料理はブラッスリー以下の満足度で、支払い額はレストラン以上の「ラ ブラスリー」、友里の足は再び遠のくことになったのです。