ビストロは廉価な食堂、ブラッスリーはビールにも注力する規模が大きな廉価食堂だと思っていた友里、ブラッスリーにはアルザス料理を出す店の意味合いもあると知ったのは最近のことでありました。
そしてこの帝国ホテルインペリアルタワー地下1階にある「ラ ブラスリー」、確かに大箱(平日夜の客入りは悪すぎ)でありますが、アルザスビールがあるわけでもなく、オープン当時は目の前で薬味などを混ぜて味付けするタルタルステーキがウリでありました。
いつの間にかメニューから消えて足が遠のいていたのですが、「ザイテン」という雑誌の取材で久々に訪問したのであります。
平日だといっても3割ほどの客入りという寂しいなか、廉価な食堂の位置づけ(店名)なのに、「伝統のフルコース」と銘打って1万円コースが設定されているのに唖然。
NVシャンパンも1万500円からとワインの値付けも高いことから、我々は「伝統」を捨てて単品注文を選択したのであります。
ニース風サラダ(ハーフポーション1400円)はドレッシング別添えが意外でお味は凡庸。有機野菜のスープ(2000円)はカボチャの温スープでしたが甘いだけであまりに高すぎです。
小山薫堂氏が絶賛していたシャリアピンステーキ(5000円)、本家のお味だそうですが、これなら分家かパクった店の方が美味しいと思うくらい、タマネギの甘さが強烈で肉の味がしなかった。
ブラッスリー(店名)由来の料理と頼んだ黒豚ロース&アルザス風シュークルートは、アルザス本場と比べると(この原稿をストラスブールで書きました)、シュークルートは少なすぎ、そして肝心の豚肉は低温調理のようなスライスだけでソーセージやバラ肉などがないなどまったくアルザス色を感じなかった。
値付けが高いリストから7400円赤ワインを無理に選んでの支払いが2名で3万円超と、店名とはかけ離れた支払額に驚いたのであります。
ブラッスリーになぜかあるローストビーフの確認のため再訪したのは翌月の水曜日。やはり客入りは悪かった。
シーザーサラダ(1900円)は、資生堂パーラーのようにその場で仕上げないのが残念。
自慢のダブルコンソメ(1900円)、期待したほどの深みなし。エスカルゴ(1800円)も普通味でした。
狙いのローストビーフ(1枚120gで3900円)もその場でカットするのではなく厨房からカットされてきました。これなら同じ帝国Hでも、結婚披露宴で出る方がはるかに美味しい。
赤ワインはリストの中では安いボルドー(それでも1万500円)を頼んでも2名で今回は4万円を軽く突破。
料理はブラッスリー以下の満足度で、支払い額はレストラン以上の「ラ ブラスリー」、友里の足は再び遠のくことになったのです。