立地が悪くなって集客が心配、ロウリーズ

ビルの建て替えで移転せざるを得なかったのか赤坂のローストビーフ店「ロウリーズ」。
この2月に閉店して移転先に選んだのがエビスガーデンと聞きまして、友里は椅子から転げ落ちるほど驚いたのであります。

このエビスガーデン、オープン当初は近辺の道が渋滞するほど賑わっていたようですが、駅から足の便が悪く(徒歩で10分以上かかる)、建屋近くまで車が近寄れない構造上の不便さの問題もあり、ほどなく閑古鳥に占領されてしまった。
この「ロウリーズ」が位置する地下2階は、焼き鳥、トンカツ、ビアホールなどがありましたが、かなり集客に苦労したようでみな撤退してしまい、盛況なのは三越の食料品売り場だけのゴーストフロアと化していたのであります。

そんな地になぜ赤坂から都落ちしてきたのか。あくまで友里の推測でありますが、ゴーストタウン化した焦りから、かなり地代が下落していたのではないか。
赤坂ではホールの至る所で「ハピバースデー」の合唱がなされるほど誕生会で盛り上がっていただけに、立地の変化で集客がどう変わったかの確認が楽しみであったのです。
4月下旬のグランドオープン直後にネットから予約を試みた友里、意外にもGW休み明けにしか席を確保できなかったのですが、店内の混み具合はいかがなものだったでしょうか。

週半ばとはいえ18時台の店内は寂しい限り。入店すると外人スタッフが大声で「ウエルカム」と雄叫びを上げるのが、90年代の「ボナセーラ系イタリアン」を思い出してしまった。こんなパフォーマンスを喜ぶ客だけがターゲットなのか。
店内はなぜか誕生会の主役だった若い女性はおらず、年配男性客や意味深なカップルが主体であったのです。

自称ローストビーフ、ポーションによって3700円から8600円までの5段階(サラダや添え物付き)が用意されているのですが、前菜やクラムチャウダー、デザートなどを入れたコース(1850円の追加)がお買い得に見えまして友里はチャレンジしたのであります。

シュリンプカクテル(2尾)は1尾があまりに生臭い。サーモンもイケておりません。
サラダは氷の上でボウルを回転させてドレッシングを混ぜ合わせるパフォーマンスをするのですが、これって意味があるのでしょうか。
沢山のミニトマトが別皿に用意されていましたが、実際は一人わずか2ケだけ。それなら最初から2ヶだけにして来い。
スープのクラムチャウダーも肝心のクラムの風味を感じなかった。

そしてメインのローストビーフの登場です。
赤坂の時もそうだったのですがここの自称ローストビーフ、食感は蒸し肉みたい。肉質も女性スタッフはアメリカのブラックアンガスと言っていましたが質が良くないのかアンガス牛の旨さをまったく感じなかった。
帝国ホテルのブッフェや披露宴で提供されるものの方がはるかに美味し感じたのです。

この日は訳あって酒なしで通しましたが支払いは一人当たり1万円チョイ。
立地だけではなく肝心の料理もイマイチなだけに、閑古鳥の再来襲を心配して友里は店を後にしたのであります。

使い勝手の良いモツ鍋系居酒屋、吾空

滅多に居酒屋系の店に行かない友里でありますが、モツ鍋に関しては例外。年に数えるほどでありますが、たまに訪問しております。
その理由はニンニクや味噌など味濃い調味料が添加物(早い話が化学調味料)の存在を隠してくれるからなのでありますが、この手の店で友里にとってハードルとなるのは喫煙者に寛容だと言うこと。
いくら濃い味調理と言っても、紫煙を覆い隠すことは出来ないからありまです。世に禁煙のモツ鍋屋がありましたら、毎月通っているかもしれません。

西麻布にあるこの「吾空」、一番のウリは予約が取りやすいということ。
いや正確にいいますと取り易いどころかいつでも直前に入店することが出来るのではないか。
モツ鍋では恵比寿の「蟻月」が有名ですが予約が簡単ではない。当日どころか2週間前でも電話が繋がりにくくて予約が困難。
よって料理(特にモツ鍋)に大きな差があるわけではないので、友里はこの「吾空」を最近はたまに利用しているのです。

居酒屋レベルとはいえ店内はダイニング調。「蟻月」と違って全席がテーブル席だというのも有り難い。この手の形態(居酒屋)で必要があるかわかりませんが個室も完備しております。
それでは料理について触れていきましょう。

まずは毎回でるお通し。軟骨が良く出てくるのですが、MSG入りだけど悪くはない。和風味の自家製キムチも居酒屋料理なら許容範囲内でありました。

この店のウリの1つは熊本の馬刺し。3000円と値付けは安くないですが、サシも適度に入り美味しい。
バーニャカウダ(1280円)は、カリフラワー、ブロッコリー、オクラ、レンコン、パプリカ、アスパラ、紫芋、トマト、ベビーコーンなど種類も十分で二人分としたら量も満足。ただし肝心のバーニャカウダソースは塩がチトきつい。

店で人気だという丸腸の白コロ焼き(1480円)は、塩とMSGを強く感じるのでよほどの内臓好きでないかぎりオススメできない。
柚子胡椒で食べる紫蘇入りの吾空餃子(780円)もモツ鍋の前座としては悪くはなかった。
その他、明太子玉子焼きなどこの手の店の定番含め豊富な種類の料理をつまんでモツ鍋に突入となります。

モツ鍋は醤油、塩、トマト、担々、豆乳などがありますが、やはり味噌味が王道ではないか。モツも一日20食限定の「炙りモツ」があるのですが、奇を衒わず普通のモツを選択する方が無難であります。

種類の多さはツマミだけではありません。鍋もモツ以外に豚しゃぶ、牛しゃぶ、すき焼き、水炊き(比内地鶏)と無駄に多いのが不思議。
一度水炊きを頼んだことがあるのですが、ツマミの味の濃さに舌が麻痺してしまい、せっかくの比内地鶏の出汁スープの味を感じることが出来なかった。
舌がリセットされたらしっかりと鶏スープの味を確認出来ましたから、この店で水炊きを食べるなら、前座にMSG入りツマミはさ避けるべきであります。

場所柄か喫煙者や大騒ぎする客が目立ちますが、使い勝手の良い料理の選択肢もあるモツ鍋居酒屋。
紫煙を気にしない方にはオススメです。

オープン時とは隔世の感、カーザ ヴィニタリア

あの予約困難状態は何だったのだろうか。
なぜ港区内の韓国聖域とも言える地に近いビルに出店したのか理由はわかりませんが、アロマフレスカの原田シェフが新たなスタイルの自称イタリアンを出したのは2005年のこと。
当時はアロマフレスカ待望論もありまして(しばし休店していてその後この店と同じフロアで再開し、後に銀座へ移転して埋没)、予約を入れるのが大変だった。友里も苦労して訪問したものでした。

その後も雨後の竹のように乱立しまくったイタリアン業界。目、もとい、舌の肥えた客はイタリアンに真の郷土色を求めるようになったため(関西人を除く)、友里も日本風イタリアンと言いますか、なんちゃってのこの店の存在を忘れていたのですが、風の噂で「席の半数は当日予約」と聞きまして、気になりだしたのであります。

普通、予約が殺到する店が当日予約に切り替える事をするか。
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店内をすべて見ることは出来ませんが、窓側近辺を見る限り

満席には見えない

そこで検証の為重い腰を上げたのであります。

時は4月はじめ。たまには内食かと、どこの予約も入れていない日、思い立って19時前にダメ元と電話をしたらあっさりオッケー。
そして5分後に到着して友里は立っていましたが椅子から転げ落ちそうになったのです。
なんと、客は2組だけ。滞在2時間あまりでもその後の入店客は2組だけで、店内はそれは寂しいものがありました。それでは肝心の料理についても少し述べましょう。

プリフィクスコースは7500円。オープン当時は5500円ではなかったか。この価格ではお得感は激減すると考えます。

まずはバーニャカウダ。野菜の種類や量は多かったけどクラッシュアイスに直乗せで最悪にも野菜の上にも氷がかかっておりました。
炙りサーモンと餅豚のキャベツ包みは、どこの国の料理か深く考えなければまずまずのお味。

ではパスタはどうかと言いますと、完熟トマトと水牛モッツァレラのフィットチーネはいわゆる万人ウケする味付け。深みがないというか、まるで業務用の完熟トマトソースを使用しているかのような食後感でありました。

メインの牛頬肉の煮込みもよく言えば無難、はっきり言うとプロレベルとしての特徴なし。
そしてココット野菜(玉葱だけ)とアラビアータで〆となったのであります。

普段は食べないドルチェでありますが参考のため食べたのがテラミス。これが美味しくないんですね。身内が造った方がはるかに美味しい。

ワインの値付けも安くなく1万円前後(この店では安い方)も充実していない。
なぜこんな「なんちゃって料理」で2万円以上のバローロ、ブルネッロ、スーパータスカンに力を入れるのか。
貧すれば鈍するという諺を思い出して店を後にした友里でありました。