香港に行ったなら万難を排して訪問すべし、龍景軒

先々週、先週と香港のホテル内広東料理店を取り上げてきました。本日はそんな香港シリーズの最終を飾る、香港へ行ったならぜひ訪問していただきたい友里一押しの高額広東料理店「龍景軒」であります。
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立地は高級感ある香港島・中環に位置するフォーシーズンズホテル内。ビクトリアハーバーの夜景も美しく絶好のロケーションでありますが、タクシーを拾いにくい(はずれの高台にあるのでホテル前になかなかタクシーが来ない)ので、宿泊してない人の復路ではちょっと使い勝手が悪いかもしれません。

「夏宮」、「香宮」では比較的大勢でのコース料理オーダーを推奨した友里でありますが、この店への訪問は4名で十分。いや最悪は2名でも十分料理を堪能することが出来るでしょう。
広東料理といってもやや創作色がありまして、ポーションもそれほど大きくない。しかもアラカルトが豊富であるからです。それでは今回4名で頼んだ料理の紹介です。

話梅冷鴨舌(180香港ドル)はプラム味のダックの舌。蒸したような(正確にはマリネ)調理なので見た目に違和感を抱いた友里、お味も甘酸っぱく数片で残りは同伴者たちに譲りました。
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面白かったのは次に頼んだ肉末炸茄子(180ドル)。何の料理かと言いますと、揚げ茄子の廻りに、豚肉を羽毛のように細く切ったものをまとわりつけたもの。こんな中国料理、はじめて見ました。
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そして今回も高いと知りながら頼んだのが、ケールと中国茸を添えた魚の浮き袋のダブルボイルドスープ(1,800ドル)。
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中国名を忘れましたが、一人前で一桁違う価格に注目ください。アワビ、ナマコ、フカヒレと並ぶ中国四大干し物の1つを使ったスープであります。
中国茸とは椎茸のようなものなのか、そんな味がベースにありますが、しっかりした旨み(もちろんMSGは無添加)があり、何回食べても飽きない1品であります。

 

そしてこの日のメイン、スターガルーパの登場です。
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事前予約せず、その日に入荷していたガルーパから人数にあったものを厨師に選んでもらいました。魚の身質はちょっと緩い気もしましたが、スープは淡いけど美味しい。
同行者の一人はかなりの魚好き(食べ上手)で、最後の骨一本までしゃぶり尽くしていたほどでありました。

 

〆のタンパク質ではメニューにないものをオーダー。同伴者の交渉力で実現したのが、オイスターソースベースの野菜焼きそば。
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このオイスターソースベースの焼きソバは用意がないと言われたのですが、無理言って造ってもらったのです。
最後はありきたりでありますがマンゴープリンで終了。
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豊富なワインリストからそれなりの泡、白、赤ワインを頼んでしまっての支払いが1万5000香港ドル前後(値付けが安くなかったのですが見栄張って高めのワインをオーダーしてしまった)でありましたが、非常に満足して店を後にしたのであります。

オミヤのXO醤も美味しいのでオススメです。(ベジタリアン用のXO醤もありますので要注意)

 

地方にしてはまともな「イタリア風」料理店、トト(博多)

ライザップの宣伝に感化されてダイエット(筋トレによる筋量アップも)を決意した友里。
半年ほどかかりましたが一念発起したおかげで10キロほどの減量を成し遂げました。(今のところリバウンドなし)

普段から滅多に口にしないラーメンどころか、天麩羅など揚げ物を封印し鮨屋訪問も激減。いや外食自体を半減させたのであります。
パンやご飯など炭水化物も極力摂取を控え、ひたすら野菜を中心にした料理を食べ続けていたのですが、久しぶりに炭水化物(パスタ)を取ってしまったのがこの「アンティカ オステリア トト」でありました。

地方にはまともなフレンチやイタリアンが皆無に近いと主張する友里がなぜ博多でイタリアンに行ったのかその理由は、味がわかっていないと思われる成金趣味でブランド好きな博多セレブ一家のブログ(リヴァロ家の食卓)で

九州一のイタリアン

と持ち上げられていたからであります。

素人相手とは言え、このような訳知り顔をして上から目線で店ヨイショを連発するセレブ食べ歩きブロガーに対して僻みからか大きな敵対心を抱く友里、出張の折りにダイエットを無視して突入を決断したのであります。

オステリアと言うだけあって内外装は非常にシンプル。コースもあるのですが、トラットリアのような大皿提供によるシェア式のアラカルトに我々3名はのぞみました。

まずは地ダコのサラダ(1380円)。シェア用の取り皿も冷やされていて地方にしては(失礼)気が利いています。サラダ自体は普通でしたが、博多という立地を考えるとマズマズのレベル。
博多和牛モモ肉のカルネサラダ(1890円)も、普通レベルでありましたが、この価格なら量もそこそこで文句は言えない。

この日はダイエット無視とはいえやはり摂取カロリーはなるべく抑えたい。
そこでシェアものは一口二口に抑えて、友里はメニューにないグリーンサラダ(これも普通味)を頼んでお腹を一杯にするよう試みたのです。
そしてパスタは鴨と栗のラグー、パッパルデッレ(1890円)。栗のおかげでやや甘過ぎが気になりましたが、博多の立地を考えるとこれまたオッケー。

そしてメインは熊本赤牛のグリル(30日間のドライエイジングで3850円)を頼みました。
すべての料理が同じような評価で申し訳ないのですが、これまた可もなく不可もなし。デザートも無難なティラミスを頼んで〆となったのであります。

ワインリストは5000円前後からありまして選びやすいのではないか。値付けも高くない。 最高値はテヌータ・トリノーロの3万1500円でありました。
3万円以上のワインを飲んで、ビールやグラスの白を飲んだのに3名での支払いが4万円台半ばと思ったよりかなりお安い支払いにもビックリ。

郷土色ある本ものイタリアンとはほど遠いものですが、大阪によくある自称イタリアンよりは食後感が良いのではないか。
東京でこの料理なら埋没するでしょうが博多なら十分許容範囲と判断し、機会がありましたら再訪してみたいと店を後にしたのであります。

本格懐石どころか和食の体をなしていない自称和食店、Brushstroke

今春出版した拙著「堕落のグルメ」(角川SSC新書)での現役料理人達とのQ&Aでやり玉に挙がった調理師学校の功罪というか存在価値。
その結果、調理師学校に通うのは高額授業料と時間の無駄に近いとの結論に達したのですが、それをまさか有名調理師学校の校長(代表者)が自ら立証してくれるとは思いませんでした。


小さい時から有名な「食通」(過大評価ではないか)のジュニアとして特別待遇されてきたことに気づかず勘違いしたのでしょうか。
デュカスをはじめ世界の有名料理人とのコラボを試みる
辻調理師専門学校校長&辻調グループ代表の辻芳樹氏が、なんとニューヨークの南端にこれまた有名シェフのブーレイと「本格懐石」(あくまで自称)の「Brushstroke」を開店してしまった。

 

そんな勘違いはまだ許せるとして、年初に辻ジュニアが出した新書「和食の知られざる世界」(新潮新書)の最後の章では、30ページ以上を費やしてこの自称本格懐石店の大宣伝をしまくっているではありませんか。

帯には

 

辻調グループ代表だから書けた「和食の真実」



とも出ていました。


以前から、なんちゃって懐石の「壬生」やただの民宿料理の「なかひがし」を絶賛する辻ジュニアの舌には疑問を持っていた友里、ビッグネームにはすぐ媚びへつらう山本益博氏もこの店を訪問して

 

ヒラメはニューヨークに限る



との大絶賛の記事を読み、これは間違いなくまともな和食ではないと推測して、この6月の出張時に訪問してきたのであります。

辻ジュニアが言うところの

 


可能な限り現地の食材を使い、手頃な価格で、しかも欧米人に好まれながらも和食の神髄を外さない料理を出したい


という自称本格懐石ですが、結論から先に言わせていただくと

 


なんちゃってを通り越した最悪に近い自称和食料理

客は正直と言いましょうか、彼の著では集客が順調なように書かれていますが、友里の訪問時は1/3の入り具合。
しかも我々を含めて金持ちそうな客層は皆無でありました。それでは135ドルの最高値コースのスタートです。


先付けのホタテと手長海老の出汁ジュレは酢が強すぎで出汁の素を使っているような感じ。この段階で早、友里の推測は確信に変わったのであります。

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茶碗蒸し(これが本格懐石なのか)は黒トリュフを使うだけでも問題なのに、なんと人工的な香りと後味のトリュフオイルを投入しているではありませんか。

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しかも出汁は甘めというより関西の饂飩出汁みたいなレベル。40ドル追加でオーストラリア産の黒トリュフを掛けてもらいましたが、焼け石に水でありました。



そしてマスヒロさんが絶賛していたヒラメなど造りの登場です。

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造りは他にトロ、ボタン海老、カンパチ、鯛もありましたが、いずれも養殖モノに劣るとも勝らない代物。
特にトロは口に入れるとニュルニュル感で気持ち悪くて食べられたものではなく、お酒で無理に飲み込みました。勿論添えられていた山葵は本物ではなく添加物入りと思われる「混ぜ山葵」であったのはいうまでもありません。



その他、ロブスターと初夏の野菜に付いていたトウモロコシのすり流しも、何で延ばしているかわかりませんが不味いの一言。

 

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アラスカ産サーモンの辛子幽庵焼き(これが本格懐石かよ)も可もなく不可もないレベルでしたが、この日一番まともと感じる居酒屋料理でありました。

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追加で頼んだ天麩羅も油が悪く天つゆは甘すぎ。

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ハドソンバレーの鴨の山椒焼きは不味すぎて食べられたものではなく、サーモンと鱒子のご飯は肝心のサーモンの味がしない。これなら新橋の居酒屋の方が未だマシか。

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デザートの醤油と味醂のアイスも醤油が変に塩っぱくてペケと、和食の神髄などまったく垣間見ることが出来ない、新橋辺りの居酒屋レベルであったのです。

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このもの凄い食後感は、任されている料理長の経歴を知って納得。
辻調を卒業してから「京都吉兆」で修業後にNYのブーレイで4年間もくすぶっていたお方。
通っても無駄と思われる無駄な調理師学校を出て、創作和食の店で修業して、NYのアメリカ料理に毒されていたのですから、本格懐石どころかまともな和食なんて提供できるはずがありません。

同じく海外へ進出している和食料理人(3つ星)にもこの店の料理にダメ出ししてたことを最後に記して、今回の自称本格懐石の訪問記を〆させていただきます。