本格懐石どころか和食の体をなしていない自称和食店、Brushstroke

今春出版した拙著「堕落のグルメ」(角川SSC新書)での現役料理人達とのQ&Aでやり玉に挙がった調理師学校の功罪というか存在価値。
その結果、調理師学校に通うのは高額授業料と時間の無駄に近いとの結論に達したのですが、それをまさか有名調理師学校の校長(代表者)が自ら立証してくれるとは思いませんでした。


小さい時から有名な「食通」(過大評価ではないか)のジュニアとして特別待遇されてきたことに気づかず勘違いしたのでしょうか。
デュカスをはじめ世界の有名料理人とのコラボを試みる
辻調理師専門学校校長&辻調グループ代表の辻芳樹氏が、なんとニューヨークの南端にこれまた有名シェフのブーレイと「本格懐石」(あくまで自称)の「Brushstroke」を開店してしまった。

 

そんな勘違いはまだ許せるとして、年初に辻ジュニアが出した新書「和食の知られざる世界」(新潮新書)の最後の章では、30ページ以上を費やしてこの自称本格懐石店の大宣伝をしまくっているではありませんか。

帯には

 

辻調グループ代表だから書けた「和食の真実」



とも出ていました。


以前から、なんちゃって懐石の「壬生」やただの民宿料理の「なかひがし」を絶賛する辻ジュニアの舌には疑問を持っていた友里、ビッグネームにはすぐ媚びへつらう山本益博氏もこの店を訪問して

 

ヒラメはニューヨークに限る



との大絶賛の記事を読み、これは間違いなくまともな和食ではないと推測して、この6月の出張時に訪問してきたのであります。

辻ジュニアが言うところの

 


可能な限り現地の食材を使い、手頃な価格で、しかも欧米人に好まれながらも和食の神髄を外さない料理を出したい


という自称本格懐石ですが、結論から先に言わせていただくと

 


なんちゃってを通り越した最悪に近い自称和食料理

客は正直と言いましょうか、彼の著では集客が順調なように書かれていますが、友里の訪問時は1/3の入り具合。
しかも我々を含めて金持ちそうな客層は皆無でありました。それでは135ドルの最高値コースのスタートです。


先付けのホタテと手長海老の出汁ジュレは酢が強すぎで出汁の素を使っているような感じ。この段階で早、友里の推測は確信に変わったのであります。

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茶碗蒸し(これが本格懐石なのか)は黒トリュフを使うだけでも問題なのに、なんと人工的な香りと後味のトリュフオイルを投入しているではありませんか。

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しかも出汁は甘めというより関西の饂飩出汁みたいなレベル。40ドル追加でオーストラリア産の黒トリュフを掛けてもらいましたが、焼け石に水でありました。



そしてマスヒロさんが絶賛していたヒラメなど造りの登場です。

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造りは他にトロ、ボタン海老、カンパチ、鯛もありましたが、いずれも養殖モノに劣るとも勝らない代物。
特にトロは口に入れるとニュルニュル感で気持ち悪くて食べられたものではなく、お酒で無理に飲み込みました。勿論添えられていた山葵は本物ではなく添加物入りと思われる「混ぜ山葵」であったのはいうまでもありません。



その他、ロブスターと初夏の野菜に付いていたトウモロコシのすり流しも、何で延ばしているかわかりませんが不味いの一言。

 

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アラスカ産サーモンの辛子幽庵焼き(これが本格懐石かよ)も可もなく不可もないレベルでしたが、この日一番まともと感じる居酒屋料理でありました。

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追加で頼んだ天麩羅も油が悪く天つゆは甘すぎ。

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ハドソンバレーの鴨の山椒焼きは不味すぎて食べられたものではなく、サーモンと鱒子のご飯は肝心のサーモンの味がしない。これなら新橋の居酒屋の方が未だマシか。

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デザートの醤油と味醂のアイスも醤油が変に塩っぱくてペケと、和食の神髄などまったく垣間見ることが出来ない、新橋辺りの居酒屋レベルであったのです。

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このもの凄い食後感は、任されている料理長の経歴を知って納得。
辻調を卒業してから「京都吉兆」で修業後にNYのブーレイで4年間もくすぶっていたお方。
通っても無駄と思われる無駄な調理師学校を出て、創作和食の店で修業して、NYのアメリカ料理に毒されていたのですから、本格懐石どころかまともな和食なんて提供できるはずがありません。

同じく海外へ進出している和食料理人(3つ星)にもこの店の料理にダメ出ししてたことを最後に記して、今回の自称本格懐石の訪問記を〆させていただきます。