2つ星どころか1つも無理だ、花?(かしょう)

結果は訪問する前からわかっていた大阪は貝塚の2つ星和食。店名とは違い「かしょう」ではなく、完全な「かだい(過大)評価」の店でありました。
親戚の関係で幼少時期よりこの貝塚へ度々訪問していた友里。法事関係や親族の集まりで利用する和食店はありますが、傑出した料理を必要とする土地柄ではない。期待はしていなかったのですが、ここまでCPが悪いとは想定外でありました。

外観は一軒家で雰囲気は悪くないのですが、中に入って私は「これはやはりダメだ」と感じたのです。個室もあるようですが8席のカウンター内に、調理器具やまな板がありません。
女将や女性スタッフがウロウロしているだけ。奥の厨房ですべて仕上げてくるなら、カウンターにする必要がないではないか。夜のコースとして中間に当たる1万5000円は以下の通り。

鮑と胡瓜の酢の物は米酢使用とのことでしたが全く凡庸。居酒屋ではないのですから、初っ端が酢の物というのは如何なものか。
お椀はアコウでしたが、もう1つの椀タネの茄子がガス臭かった。出汁も品ないほど濃すぎであります。

造りは鱧の焼き霜、赤雲丹、伊勢エビ。特に鱧の質が悪くこの価格に見合うものではありません。
八寸と称するものも真鯛、車海老、小芋、鴨ロース、鱧の子、タコとアイテムだけは揃っておりますが、内容は観光客相手の松花堂弁当レベル。まったくの凡庸でありました。
焼き物は鮎、鰻に鯨ベーコン。鮎はまったく風味がなく(質が悪い)、鰻も普通。あまり好きではない鯨が美味しく感じたのが不思議でありました。

コースも終盤に差し掛かり、揚げ物が登場です。オクラ、トウモロコシ、サツマイモ、ホタテとアイテムはこれまた豊富でしたがいずれも凡庸。この内容は客単価1万円以内の観光客相手の和食店並みではないか。〆の鱸のお茶漬けがこの日一番美味しく感じた皿でありました。

ワインを持ち込んだので支払いは一人当たり2万数千円でしたがそれでもCP悪すぎ。京都のまともな和食なら、この半額でもっとマシな料理を提供することでしょう。
立地の妙による下駄履き過大評価店。食材、質、調理とまったくの田舎レベルですから、ミシュランに釣られてこの店を訪問してはいけません。
競争のない地に良店なし。これ定説です。

ワインが安いだけではない、ユニッソン デ クール

関西の食べ仲間から話題の店と教えられた店。特にワインの値付けが安いのがウリとのことでした。入り口含めた外観がクリニックのような感じですが、店内は席間も広くゆったり。半オープンキッチンでシェフ達の表情が見えるのも面白かった。

情報通りワインは安い。特に手頃なワインに割安感がありました。
ノンヴィンシャンパンは5900円からとそこらの小売店より安いかも。ブルゴーニュも地方ワインなら4000円前後からありますから驚きです。ただし、有名造り手や1級・特級畑になるにつれて価格の優位性は薄れてきます。1万円前後までならお得感あるリストでしょう。古めやグランヴァンを狙うなら、ボルドーにしてください。
コース2本の設定から今回は初訪問なので上の1万5000円を選択しました。コースの料理が始まって直ぐ、私はこの店がワインの安さだけの店ではないと判断したのです。

岩牡蠣とウニはコンソメブフが印象的。手間暇かけた調理を感じます。ホロホロ鳥と夏野菜のタルト、好きではない食材でしたが悪くはなかった。
鴨のフォアグラとジャガイモもコンソメジュレで固めています。盛りつけは今風なのですが、調理はしっかり。黒鮑とホタテには今は懐かしいブールブランソースではないか。しっかりした味付けでこれまた美味しい。
魚はノドグロ、アイナメ、カサゴの3種盛り。火をしっかり入れており、最近流行の生焼けとは違いました。ラカン産の鳩の火入れも好み(入れすぎではありません)、フォンを使用したソースで見た目と違って味わいはクラシックでありました。

多皿なのと盛りつけだけを見ると、カンテサンスを代表する「ソースが造れずフルーツピュレやエスプーマでごまかす料理」と大差ないと感じますが、食べてみればソース造りを含めて基本を習得した調理であることがわかります。

値付けが安いと調子に乗って古めのボルドー(2万円台半ば)を頼んでしまい客単価は3万円を超えましたが、適度なワインに抑えたら2万円台前半で終わるのではないか。
大阪でフレンチを食するなら、過大評価の3つ星店を捨ててぜひ行っていただきたいお店。カンテサンスやhajimeのシェフは引き出しを増やすためにもこの店でソース造りなどを再修業することを私は提案します。

禁煙者は絶対に近寄るな、銀座きく

銀座中の喫煙者が集まっていると思うほど喫煙率が高い小料理屋。和洋を問わず全面禁煙を掲げる店が多い中、「喫煙可」でも紫煙をくぐらす客をそうは見たことのない友里、店内に入った瞬間に凍てついてしまった。
女性を含めてほとんどの客がタバコを吸っているではありませんか。美味しそうにタバコを吸いながら小料理をつつきお酒を飲んでいたのです。タバコを常備する店を見たのも何十年ぶり。正に喫煙者のパラダイスであります。

一日に300枚も揚げる東京一のアジフライがウリと聞き友里は訪問を決意したのですが、着席してあまりの煙の濃さに意気消沈してしまいました。しかし「お母さん」という名札を胸につけた女将はじめ女性スタッフの温かい対応に気を取り直し、メニューを見てビックリ。
酒肴を含めて料理は70種と盛り沢山。各料理に金額が書いていないのは接待客への配慮とのことですが、何故かお酒には価格が書かれてありました。
ビールが500円、冷酒も800円からで最高が万寿の2000円と思ったより高くはありません。

豊富なメニューから頼んだ料理は、高額和食のレベルではないけど銀座の小料理としては充分か。オマケの白魚天麩羅はまずまず、きんぴらは予想ほど味が濃くない。造り置きの鱧の落としもこの業態では許容レベルで添えられた山葵も本物でした。
もう1つのウリと言われるポテトサラダは味濃かったけど喫煙者のツマミなら仕方ないか。もしやと思って頼んだコロッケの中身が予想通りこのポテトサラダだったのは近所の「大羽」と同じであります。

そして主役のアジフライの登場です。小アジと言うだけに本当に小さい。大きさを揃える芸の細かさに感心しながら、味付きのフライをそのまま口に入れての感想は、鰺の旨みが薄い。とても東京一とは思えませんが、ビールには持ってこいの揚げ物でありました。
いくつか頼んだ刺身も悪くなく、特に馬刺しは「銀座 力」より美味しかった。キンキの塩焼きに期待ほどのものを感じなかったけど、お酒を適度に飲んでの支払いが一人1万2000円前後。

喫煙者にとっては堂々と喫煙できますから、喫煙料が入っていると考えれば高いと言えないかもしれない。でも受動喫煙を恐れる人は絶対に近寄ってはいけない店でもあります。