友里が東京で一番美味しいフグを提供していると思っている銀座のフグ店。
更に言わせていただければ、関西や九州を含めてもトップレベルに位置しているのではないか。
いやもともと関西(京都は別かも)ではフグに求めるものが東京と根本的に違うから比較にならないかもしれません。
あくまで友里の知る範囲でありますが、東京では3キロ前後のフグが一番と重用されるのに対し、関西、特に大阪や兵庫は5キロ以上の大フグが好まれているのであります。
マグロは大きい方が良いとされているお江戸でありますが、フグに関してはでかいフグは身が固すぎて良くない。しかもキロ単価もデカいフグは安いというのが東京の主張であります。
友里の経験では関西はほとんど寝かさずに提供することもあってデカいフグは身がコリコリ。寝かせている東京とはかなり食感が違うんですね。旨みも違うと思いますけど。
しかも関西人は刺身よりもフグの焼きを好むという習性があります。
更に詳しく言わせていただくと、同じ焼きでも有り難がるのが3層あるフグの皮のうち鮫皮という一番外側と身皮の間にある遠江(とおとうみ)。
身皮→三河の隣というシャレか。これはバカでかいフグでないと取り出して焼けないんですね。おそらくデカいフグを好む関西人は、刺身にはあまり拘りを持っていないのではないでしょうか。
そんな小ぶりなフグ(関西と比べて)を出すこの「福治」でありますが、フグのシーズン以外の時期でもウリの料理があります。
その確認のため、友里はシーズンに突入する前、9月に目的の地鶏鍋と天然鰻を予約して訪問したのであります。
昔はこの宮崎産の地鶏を使った鍋は単品扱いで5000円前後と安かったと記憶しているのですが、最近はコース(9,720円)にご昇格。「走り鶏」とのキャッチを納得するのはその身の締まり。固いと言ってしまえばそれまでですが、噛みしめるごとに口中に鶏の旨みが湧いてくるのであります。
入れ歯の方には難しいかもしれませんが、そこらの鶏水炊き屋の鶏とは旨みのレベルが違います。もちろん〆はその鶏出汁を使った雑炊。いずれもMSGなしの澄んだ真の旨みを感じることが出来るでしょう。
もう1つ、フグシーズン以外で友里がこの店で食べるのが天然鰻です。最近はこの希少な天然鰻、肝心の鰻専門店にはほとんど見当たらず、高額和食屋の必須アイテムになっておりますが、この福治の天然鰻はそこらの高額和食のものに勝るとも劣らぬもの。白焼きとタレ焼きを選択できるのですが、鰻の旨みを感じ取るにはタレ焼きを選択するのが良いというのが友里の結論であります。
この日はついでにハシリのフグ刺しも食べましたが、シーズン直前とはいえなかなかなか美味しいものでありました。
固いものを噛むことが苦手の方は仕方がないですが、フグだけではなくこの福治では天然鰻や地鶏鍋も試していただきたいもの。もちろん年末から年明け2月頃までは、本職の東京一と考えるフグを試していただきたいものです。