高いだけのダイニングモツ鍋、吾空

笄公園向かい、飲食店としては不毛な立地の「博多もつ鍋 吾空 西麻布店」。以前は焼き肉屋だったと記憶しておりますが、「もつ鍋」となってからは盛況です。
カウンターもあり一人客も可能なようですが、肝心の「もつ鍋」が2人前からしかオーダーできませんから、実質的には2名以上でないと難しい。人気店と聞いていたので、2週間前に予約を入れての訪問です。
店内は、普請は高くないですがいわゆる「ダイニング調」の内装。テーブル席以外にも掘り炬燵式の個室があり、我々は何の説明もなく個室へ案内されました。この個室、一人当たり800円のチャージをとりますから、事前に客に了解を取るべきではないか。女性スタッフはバイト然とした人で、料理の説明がまったく出来ず一々無線で確認しておりました。
まずは生ビールで乾杯。しかし800円にしてはあまりにグラスが小さすぎないか。強制的な突き出しは菜の花と湯葉。しょっぱくて味濃いだけでした。オリーブオイルで食べる「レバ刺し」(1580円)は、鮮度がイマイチなのかかなり生臭かった。「新鮮野菜のアンチョビソース」(1350円)はアンチョビとオイルのシンプルソースでまずまず。モヤシ炒め(750円)はモロにMSGを感じてしまいました。しかもこの食材とこの量では高すぎです。ウリの「吾空餃子」(780円)は数種のハーブを使用した秘伝の薬味とありますが、私には単なる柚胡椒とネギを和えた物にしか思えなかった。そしてこの店で一番高い「馬刺し」(5000円)の登場です。熊本直送とのことでしたが、価格の割にはまったく美味しくなかった。
そしてメインの「もつ鍋」へ移ります。1日20食限定の「炙りモツ鍋」(1980円)以外に味付けが異なる8種くらいの「モツ鍋」(1580円?1980円)がありますが、どれも2人前からのオーダーですから、3名ではせいぜい2種しか頼めません。自慢の炙りモツは、肝心の「モツ」がかみ切れなくダメ。「塩モツ鍋」もモツが少なく味は普通でありました。
焼酎をボトルで頼み飲み足らずグラスで追加しての一人当たりの支払いが1万2000円は、この食後感では納得いきません。料理の質を追求しない単なるダイニングもつ鍋、もっと安いもつ鍋屋で代替は可能です。

あの店は今・・・、アッカ

皿出しが遅く、役に立たないシェフの母親が店内をウロウロするなどサービスに難はあっても料理は美味しいと思っていた広尾の「アッカ」。年末に講談社から出版する本で、友里のオススメ店に載せようかと久々に再訪して悪い方への変化を確認、すぐさま掲載を断念したのでした。
サービスの悪さはそのままに、肝心の料理が改悪されております。以前は9000円前後のプリフィクスコースで選択肢があったのですが、いつの間にかお任せのコース1本。しかもアミューズから肉料理まで8皿と多皿です。
まずは冷えたスプーンに温かいフォアグラとマンゴのシャーベットの一口アミューズ。冷と温を同時に味わうこのサプライズ料理、もう普及しすぎで面白味に欠けます。つづくリコッタチーズを使ったフルーツと野菜のサラダ仕立ても美味しくはなく、ただのアイデア倒れ。殻付きのトリガイはわずか1ヶであっという間に胃袋へ。シンプルなトマトソースのスパゲッティはまずまずながら、鮑のリゾットは肝心の肝ソースが緩く凡庸です。続くは鮎のパッパルデッレ。おいおい、リゾットいれてパスタの3連発ではないか。単なる皿数稼ぎで、あまりに工夫というか能がなさ過ぎる構成であります。そして次に出た料理には唖然。何とタラバガニの足が1本皿に鎮座してきたのです。これがイタリア料理なのか。〆の鴨のローストもどうってことない調理と質でありました。
昔はもっと郷土色を感じる手の混んだ料理が出ていたはず。予約困難な人気店「アロマフレスカ」のコース(価格設定も同じ)を真似たような多皿構成と軽めの味わいにしていますが、完成度は足下にも及びません。
私は声を大にして言いたい。料理を変える前に、サービスを改善しろ。男性一人ではこのホールのサービスは無理。食前酒はじめワインサービスがまったく疎かになっています。皿出しも相変わらず遅すぎるし、ウロウロしているシェフの母親は客の注文やサービス要求をほとんど受け付けません。ワインや水がなくてイライラしている客を横目に平気でホールを縦断している母親にただただ呆れるばかりであります。
料理ダメ、サービス相変わらずダメで、訪問する価値がなくなってしまった昔の有名イタリアンでありました。

ビストロにしては定番が少ない、デリス本郷

肉好きで大食いな仲間と久々にビストロでドカンと食べたいと訪問した本郷三丁目駅前の「オ・デリス・ド・本郷」。都内のビストロを色々検討し、「ぐるなび」のメニューで豊富なビストロ料理を確認して予約しようと電話をしてこの店の使い勝手の悪さに驚いたのです。
元「タイユバン ロブション」に居たシェフが厨房に詰めるこのフランス料理店、ビストロ料理は1階でしか提供しないのにその肝心の1階は予約が出来ないというのです。しかも休みは不定休だというのです。当日行ったら休みだった、となる可能性があるのですから、予定が立てられないではないか。よく聞いたら、当日なら10分前には予約できるとの事でしたが、直前に予約できたって意味がない。数日前になったら営業するか判明するというので、3日前に訪問を最終決定しました。
カフェのような軽い内装はちょっと拍子抜け。しかし女性を主体にその夜は満席です。座ってメニューを貰い説明を受けて唖然。ネットで確認し楽しみにしていた「リエット」、「シュークルート」がないと言うではありませんか。代表的なビストロ料理が最初から欠品であります。その他メニューを読み込むと、タルタルステーキ、牛ロース、クネルといった代表的なビストロ料理も見当たりません。こんな品揃えで「ビストロ」の看板を上げるとはよい度胸しています。気を取り直して頼んだ料理は、まずは魚のサラダ(1100円)。悪くはないがニース風の方が好みです。白金豚のソーセージ(750円)は本数が少ないけどまずまず。ツブ貝ソテー(1600円)も悪くはなかったが、マカロニグラタン(1800円)は変わった酸味を感じ、オニグラ(1300円)、仔羊クスクス(1800円)、鴨コンフィ(1900円)は特筆するものではありませんでした。悪くはないけどコテコのビストロ料理としてはちょっと物足りないのです。
3名でビールと安いワインを2本飲んでの支払いが一人1万円チョイ。ご近所ならシュークルートがあることを確認しての再訪も考えますが、使い勝手を考えるとわざわざ行く必要がある店とは思えません。本場のパリではビストロが人気だとか。2階もビストロに解放して、ビストロメニューを充実させることをロブション出身のシェフに提案します。