皿出しが遅く、役に立たないシェフの母親が店内をウロウロするなどサービスに難はあっても料理は美味しいと思っていた広尾の「アッカ」。年末に講談社から出版する本で、友里のオススメ店に載せようかと久々に再訪して悪い方への変化を確認、すぐさま掲載を断念したのでした。
サービスの悪さはそのままに、肝心の料理が改悪されております。以前は9000円前後のプリフィクスコースで選択肢があったのですが、いつの間にかお任せのコース1本。しかもアミューズから肉料理まで8皿と多皿です。
まずは冷えたスプーンに温かいフォアグラとマンゴのシャーベットの一口アミューズ。冷と温を同時に味わうこのサプライズ料理、もう普及しすぎで面白味に欠けます。つづくリコッタチーズを使ったフルーツと野菜のサラダ仕立ても美味しくはなく、ただのアイデア倒れ。殻付きのトリガイはわずか1ヶであっという間に胃袋へ。シンプルなトマトソースのスパゲッティはまずまずながら、鮑のリゾットは肝心の肝ソースが緩く凡庸です。続くは鮎のパッパルデッレ。おいおい、リゾットいれてパスタの3連発ではないか。単なる皿数稼ぎで、あまりに工夫というか能がなさ過ぎる構成であります。そして次に出た料理には唖然。何とタラバガニの足が1本皿に鎮座してきたのです。これがイタリア料理なのか。〆の鴨のローストもどうってことない調理と質でありました。
昔はもっと郷土色を感じる手の混んだ料理が出ていたはず。予約困難な人気店「アロマフレスカ」のコース(価格設定も同じ)を真似たような多皿構成と軽めの味わいにしていますが、完成度は足下にも及びません。
私は声を大にして言いたい。料理を変える前に、サービスを改善しろ。男性一人ではこのホールのサービスは無理。食前酒はじめワインサービスがまったく疎かになっています。皿出しも相変わらず遅すぎるし、ウロウロしているシェフの母親は客の注文やサービス要求をほとんど受け付けません。ワインや水がなくてイライラしている客を横目に平気でホールを縦断している母親にただただ呆れるばかりであります。
料理ダメ、サービス相変わらずダメで、訪問する価値がなくなってしまった昔の有名イタリアンでありました。