まずは挨拶の教育からやり直せ、ラ キャンタン

電話予約をした段階でやめるべきでした、駒沢大学駅近くの「ラ キャンタン」。電話向こうの暗くやる気のない口調の女性がこの店のシェフだとその時は気づかなかった。わずか7坪のシェフとソムリエのビストロとの「東京カレンダー」の記事に釣られて出向いたのが間違いでありました。
カウンター6席が主体のオープンキッチンですから、客は入店時にシェフと目が合います。しかしこの女性シェフ、我々だけではなく他の客にも「いらっしゃい」どころか会釈一つしない無愛想さ。社会常識がないと思いながら席に着いたらカウンタートップがやけにベタつくのにビックリ。油をふき取っていないのか。この2点で一気に期待は萎みました。
前菜(1000円前後)は種類だけは豊富。しかしネットで評判のシェーブルサラダはシェーブルを乗せているだけのもの。ラタトゥユはブイヨンの中に泳いでいるようで味にまったく深みがありません。トリップも味が薄っぺらで、鶏レバームースは臭みが目立ちました。
2000円以内のメインも食後感は安いなりのもの。ストウブ鍋で供されるシュークルートは出汁多すぎてキャベツが少なく、バラ肉やソーセージの下ごしらえが安易なのかやはり味に深みがない。仔羊とクスクスも質を考えると香辛料を多用して厚化粧をしたほうがいいでしょう。ブルーチーズのグラタンもジャガイモが硬すぎてNG。つまり頼んだ料理すべてが良くなかったのです。
狭い店内で客と接しているのですから、「いらっしゃい」、「ありがとう」くらい言ったらどうか。せめて会釈だけでもしたらどうか。仏頂面で嫌々調理しているような様を見せられる客はたまりません。この女性シェフの態度はサービス業というより社会人として問題ではないか。
厨房が狭く調理に制限はあるでしょう。業務用や半加工品を使うのも仕方ない。この価格では最初から高望みしませんが、それにしてもあまりにチョイ調理のものばかりには疑問。料理数を減らし手をかけた料理にしないと家庭料理の延長線上にしか感じません。
8000円前後の支払で、調理技術どころか社会常識もないシェフと対峙しながら食べる必要はありません。近辺には同じ価格帯の「ブラッスリー ドゥ クワン」というCP良い店が存在します。

野菜好きでもリピートは難しい、チェファ

ネットの掲示板で友里は「大酒飲み」と言われているようですが、夕食時にちょっと多めに飲むだけで、バーやクラブで飲み直しは原則ありません。それより「大野菜食い」でして、食事の度に野菜を人一倍食べまくっています。そんな友里が雑誌「Hanako」の記事で注目したのが「コリアン ベジタブル チェファ」。野菜料理をメインにした女性のための韓国料理とのキャッチにすぐさま予約を入れました。
地図を見てたどり着いた現場は有楽町近くのガード沿いにある古いビル。エレベータがないこの低階層ビルの4階を選んだのも、純粋に客の健康を考えてのことか。しかし足元の弱い年配客などへの配慮がないのが残念です。しかし、階下の店がみな「炭火焼肉 トラジ」だったので嫌な予感はありました。この「チェファ」、都心を中心に焼肉屋を多店舗展開している(株)トラジの新業態だったと後で知ったのです。
通されたメインホールは正に居酒屋の内装。ガード上の新幹線の往来が見えてしまう借景は場末感さえ漂います。料理は4000円以下のコースもありましたが、ウリと言われるものを単品で次々頼みました。惣菜の盛り合わせ、メニューでは10種、15種とあるのですがこの日は6種しか用意されていません。20時過ぎても店内はガラガラでしたから仕入れを調整しているのでしょうか。キムチやナムル各種は想定内のお味でありました。ジョンの盛り合わせは味付けが甘すぎ。12種の野菜がついている「サムパプ(包飯)」、換気ダクトのない店内でコンロに石板置いてもち豚焼くのはいかがなものか。姉妹店の「トラジ」ように炭で焼きたかった。石焼全州ビビンバはナムル系の野菜が豊富でしたがコチュジャンなく甘すぎて好みでありません。種類の多いマッコリ(480円?680円)もウリの一つですが、いくつか試してノーマルタイプだけで充分と判断しました。
確かに野菜を主体にしたメニュー構成でしたが調理に特徴がないというかまったく凡庸。野菜の摂取なら他の韓国家庭料理や和食の鍋物等で代替可能です。洋食でも煮込み系ならかなりの食物繊維が補給できます。予算は5000円前後ですが、エレベーターのない4階、新幹線を見ながら居酒屋然としたこの店内とこの調理では、再訪は難しいでしょう。

海鮮系の高額な街場寿司屋、大塚 高勢

昔はある種の特区だったのでしょうか、性病の看板を掲げた病院(今は営業していないみたい)、ラブホ、2階建の小料理屋、お好み焼きに料亭まである大塚駅の一角。フードライター達が絶賛する江戸料理「なべ家」もあります。この店、ラブホに隣接していまして、尾行されていたらラブホに入ると思われるのではないかと訪問の度に友里は冷や汗ものであります。
さてこの一帯にあるのが浅草にあった「高勢」の流れをくむ「大塚 高勢」であります。ネットでの評判、特にヘビーなレビュアーの絶賛に釣られてまずは昼に訪問しました。
9席ほどのカウンター、街場寿司のシンボルといもいえるショーケースには海鮮寿司屋お約束の毛蟹もしっかり鎮座。しかし弟子を叱咤する主人の指の傷絆創膏を見て思わず引いてしまいました。結構気にせずこれやっている街場の寿司屋、多いんです。
昼でしたので、アン肝と鯛の子の後、握りに移行。手数は6?7手と少ないですが、予想通り特徴を感じない緩い酢飯。煮切を引いていなったので要求すると、キッコーマンの醤油差しから注いで刷毛で引いてきました。これって煮切っていない?辛過ぎです。
コハダが〆すぎで酢飯とバランス悪く、マグロ、特に赤身は水っぽくイマイチでしたが、17ケほど食べてぬる燗2つで1万円前後と思ったより安く街場寿司では許容範囲と納得したのです。ところがネットをよく見ると夜は一人2万円前後とかなり高いことが判明。検証に再訪してその高価格を確認しました。
「なべ家」の後、オミヤに太巻きでも持ち帰ろうと扉を開けると結構夜も常連で盛況です。太巻きだけでは何だと連れとツマミ数種に握りもカスゴ、アジ、コハダと単価の安そうなタネを少々。タネは冷やし過ぎで都心の高額店とかなり完成度が落ちることを再確認。太巻き2本のオミヤを加えてわずかなツマミと握りで1万6000円の請求でした。タネが14種入っているという太巻きは5000円相当なのか。ピンクすぎるオボロ、味濃いシイタケや干瓢など自家製ではなく業務用と思われますが、この支払をみて夜はツマミと握りで2万円前後すると確信したのです。このネタ、仕事、酢飯ではあまりに高過ぎ。この支払なら銀座でも有名な江戸前鮨屋で堪能出来るというものです。