テキサス料理か疑問だが肉好きにはオススメ、ホワイトスモーク

麻布十番のAWキッチンへ行った時、その存在(隣です)に気付いた自称テキサス風BBQの店。シャレではないですが、オーナーのホワイトさんがホワイトオークで薫香つけた肉料理をウリにしている店であります。
今年の6月にテキサスはダラスにはじめて出張予定だった友里、テキサス料理の何たるかを知るために直前に訪問しました。

1階は厨房(勿論薫香をつける設備あり)とカウンターで、メインホールは2階。
ウッディーで簡素な内装は如何にも南部アメリカの雰囲気か。声がデカイマナーの悪い外人客が多いのもそれらしさを演出しておりました。

ここのウリである薫香、メインの肉(牛、ターキー、ポーク)だけではなくほとんどの料理につけているのには驚きました。
まずは野菜のスモーク(550円)。パプリカ、メイクイーン、キノコなど量は少なくそれほどの薫香を感じなかった。
ミックスピクルス(550円)はニンジン、タマネギ、カリフラワーなどの甘みが強いスモークピクルス。値段が値段なので文句は言えないというレベル。
1個丸ごとのスモークガーリック(550円)は、原価を考えないとオススメです。コールスロー(750円)はリンゴが余計で甘すぎで、5種のキノコのソテー(750円)はわざわざ頼む必要はないでしょう。

それではメインへ。ウリのビーフブリスケット(ハーフ1750円)は柔らかくてコンビーフのような味わい。そんなにスモークは利いていなかった。
牛ソーセージ(1900円)は2本の提供。テキサス6種のスパイス使用で味濃く辛め。ドイツビアホールと同じく、この店もワインよりビールが進みます。
そして最後はポークのハムスタイル(ハーフ1600円)。塩強く味が濃いのでやはりビールが進み悪くはないのですが、ちょっと脂が多すぎないか。2名での支払いが2万円弱となったのです。

テキサス料理はすべて薫香付きだと確信してダラスに乗り込んだ友里、何軒か現地の高額ステーキ屋を訪問して、その付け焼き刃経験を完全否定されてしまいました。
確かに薫香をつけた料理はありましたが、それはアップルウッドで薫香をつけたベーコンなど。主にサラダや肉の付け合わせでありまして、肉自体や野菜自体に薫香をつけた料理は1つもなかったのであります。

とはいえこのコラムの為最終確認で再訪したのは8月下旬。
前回とほとんど同じものを頼みましたが、今回は5名だったので肉類はフルポーションとしましたところ、食べがいもあり、それなりに満足したのであります。

ダラスでは見当たらなかった肉や野菜丸ごと薫香の自称テキサスBBQ。大騒ぎできるので居酒屋のような使い方が出来ますので、高いですけどそれなりの使い勝手は良いと考えます。

 

 

 

ビールが高いからフレンチ並みの支払いになる、フランツクラブ

新丸ビルのオープン直後から気になっていたドイツビアホール。 共用トイレに近く、通路に面したテラス席のためか店の敷居がない簡素な造り。
よって廉価なドイツ料理店と思いがちですが、支払額はそこらのフレンチ並みでありました。初めての訪問は今春日曜、予約なしの飛び込みです。

座ってメニューを見てビックリ。まずは本場ドイツビールと思ったのですが、5種類ほどある生ビールはなんとすべて千数百円。
ではワインはいうと、赤ワインが3種だけなど非常にプア。ドイツ特有の甘め&軽めのワインが主体と判断してビールで通すことに決めざるを得なかったのです。

まず頼んだのは季節柄の白アスパラ(1880円)。オランデーズを含めて可もなく不可もなし。アスパラサラダ(1880円)、アスパラはさておき量はあってまずまずか。
豪華ソーセージ盛り合わせと称する皿は、5種のソーセージでなんと4980円。ザワークラウト付きで各種ソーセージも悪くはなかったけどあまりに高すぎないか。

そして〆はアイスバイン(3980円)。本場ドイツで食べた経験がないのですが、これほどコラーゲン部分が多いものなのでしょうか。味的にはまずまず満足した次第であります。
4人で行きましたが、私以外はほとんど食べず、2名はお酒を飲まなかったのに支払いはなんと2万円台半ば。何杯も飲んだビールが価格を押し上げたようですが、帰り際に「飲み放題コース」があることに気付いて再訪を誓ったのであります。

やっと再訪できたのはこの8月。今回は予約訪問でありました。 早速「飲み放題コース」(6500円)を頼もうとしたのですが、ビールは生のみ、しかも料理は決められていまして食べたいもの(アイスバイン)がないため断念。またまたアラカルトにしたのであります。

ジャーマンハムサラダ(1280円)はビールより安い。ベーコンのかわりにハムを使ったシーザーサラダでまずまずか。
高いとわかっていてもまた頼んでしまったソーセージ盛り合わせの後、季節限定というスパイシーアイスバイン(3980円)を頼みました。 結果だけ申し上げますと、それほどスパイシーでないので、ノーマルを頼むべきだったと後悔したのであります。

2名でビールは7杯飲んだでしょうか。今回の支払額も予想通り2万円弱。
明細をしっかり確認したところ、チャージとして一人当たり500円上乗せされていることに気付いたのです。最初に出てきた変なアミューズ代(海老のフラン)の対価でしょうか。
支払額の約半分がビール代だったフランツクラブ。当然トイレへいく回数は増えてしまい、共用トイレに近いこの場所が最適であるとようやく悟ったのであります。

 

 

居酒屋客のリピートを狙う自称フレンチ、俺のフレンチ GINZA

「俺のハンバーグ」や「俺のおでん」とは別形態の廉価チェーン店。ブックオフの元創業者が仕掛けた、新形態の立ち飲み(正確には立ち食い)自称フレンチであります。

「ガイアの夜明け」で大々的に宣伝されたからか、1階立ち飲みスペースは16時オープンと共に客が殺到して1時間待ちもざらとか。2階のテーブルスペースは2時間ごとの予約制(実際は1時間40分ほどで退席)であります。

この店のウリは、フレンチらしき料理をボリュームたっぷりに居酒屋並みの値付けで提供すること。前菜は600円前後、メインは1000円前後が主体で客単価は高くても4000円くらい。そしてもう1つのウリが豪華?なシェフとサービス陣。
店前には、シェフ3人、ソムリエ3人の大きな写真と肩書きキャッチが目立ちます。

スーパーシェフ、フレンチ界の貴公子など大仰なうたい文句でありますが、いずれの料理人も「シェ・松尾」出身。
本当にスーパーや貴公子だったら、「シェ・松尾」が集客に苦しんで破綻するわけがないではないか。
行列を造っている人たちの出で立ちはサンダルや短パンの男性とそれに準じた女性。外観だけで判断すると怒られそうですが、普通のフレンチ、いやビストロさえも普段まったく縁がない方々が、TVに釣られて

今日は和民ではなくフレンチにしようや

と並んでいるだけと推測しました。

サービス陣のキャッチも驚嘆の一言。ソムリエ界のサラブレッド、銀座のファンタジスタと本人たちはこんな呼称を気恥ずかしいと感じないのか。
20年近く一応ソムリエ資格を持ち、東京のフレンチを人一倍食べ歩いていると自負する友里でありますが、ファンタジスタやサラブレッドの存在をまったく知りませんでした。

それでは料理について。前菜だろうがメインだろうが、スタッフは出来たものからどんどん持ってきてしまいます。ひどい時にはテーブルに皿が乗りきれず、手で持って食べなければならなかった。

メインは最初に1回だけのオーダーだと規制して、前菜より先にウリの牛ヒレロッシーニ(1280円)が出てくるのは納得出来なかった。
肝心なお味ですが、すべての皿が甘い味付け。焼き肉でも炭酸飲料を合わせる最近の若者や居酒屋専門客をターゲットにした調理と読みました。

まともなフレンチ好きはせいぜい話のタネに1回だけ、肝心の居酒屋客もリピートは難しいのではないか。かくして3ヶ月に1回はTVに露出し続けることが、このビジネスモデルを維持する唯一の策と考えます。