スタイルは「かわむら」にそっくりか、銀座ひらやま

東京で一番有名な和食店の主人にその存在を教えて貰ったステーキ店。帰宅して即に予約電話を入れたところ、簡単に予約を入れることが出来ました。

通い詰めている客でも数ヶ月先でないと予約が入らないという超人気の「かわむら」。
その河村氏が東京の「ゆたか」で店長をしていた時に一緒に働いていた人の独立店というのがこの店のウリであります。一応「かわむら」に通う客の末席に位置する友里が興味を抱いたのはいうまでもありません。

しかしオープンして1年以上経っているのに本家(かわむら)と桁外れの予約のし易さ。果たしてこの店のステーキはどんなものなのか。
2回の訪問を経て達した友里の結論は、「予約困難にならないならば、再訪可の使い勝手が良い高額ステーキ店」となったのであります。

最初の訪問で驚いたこと、それは店構えの立派さでありました。
新橋演舞場前のビル1階に位置しているのですが、外観だけではなく内装も立派。個室もあるのですが、8席ほどのカウンターホールは余裕の一言。席間もタップリで、炭火の窯など厨房設備もゴージャス。
「ゆたか」からの客も狙っているのか鉄板焼きの設備まであるのです。
しかも驚いたのは主に個室を担当している支配人らしきスタッフの存在。一目見て、平山氏単独出資の店ではないと推測してしまったのであります。

料理は単品もありますが、初訪問ではお任せが無難。
まず出てきたのは牡蠣のグラタン。懐かしい洋食のお味でまずまず。
続くはアワビの冷しゃぶ。キャビア(オシェトラ)乗せでありまして、これも悪くはなかった。

コンソメも「かわむら」と同じく、味だけではなく色も濃厚。かなり長時間ツメたものだと感じました。
そしてサラダの後にメインのヒレステーキの登場です。
産地を限定しないというこのステーキ、「かわむら」より炭火との距離があるので強火の火入れではないか。焼き方はお任せにしましたが120gを簡単に食べきることが出来たので、追加にメンチカツを追加。
表面はカリカリながら中は結構生っぽく面白かった。
その後はガーリックライスとカレー、デザート少々でこの日は〆となりました。

ランチはハンバーグをだしているとも聞きまして、オミヤにハンバーグサンドを頼んだのですが、その価格は4000円。
これでもかなり高いのですが「かわむら」の半額以下なのでなぜか納得。

ビールにグラスでシャンパンと白ワインを頼み、赤ワインは古めのボルドー(4万円弱)を頼んだので一人当たりの支払いが6万円を突破しましたが、それでも「かわむら」の半額と、比較する店が店ですが変な割安感をもって店を後にしたのであります。

再訪は今月。
大勢だったこともありますが、ワインは白赤とも2万円前後に節約しオミヤを頼まなかったからか一人当たりの支払いが3万円台後半。
肉質は前回よりアップしたようでワインの値付けがチト高いのが難点でありますが、予約を入れやすいことから接待や同伴、そしてゲット用などには使い勝手が良い店であると考えます。

海老と牡蠣以外の料理を増やすべき、シュリンプ&オイスターバー

本日の店は友里得意の自腹ではなく、他腹での訪問であります。
これを書いてしまうとバレてしまう可能性があるのですが、この店(正確にはチェーン店)を運営している会社の関係者が友里の本業での顧問でありまして、その人に連れられて人生3回目の赤坂サカス訪問となったのであります。
よって本日は、ゴチになった御礼で評価というより友里的な助言とさせていただきます。

赤坂サカス、廉価な店が多いので近寄っていなかったのですが、客がしっかり入っているのか。
18時30分の待ち合わせだったのですが、サカス内をちょっと散策した友里、客がほとんど歩いていない様に驚いたのです。
銀座で夕方から行列が出
来る「美登利寿司」ですが、このサカス内ではこの時点で行列はゼロ。もちろんこのシュリンプ&オイスターバーも客はほとんどいなかったのであります。

席に座ってメニューを見てビックリ。
前菜、サラダ、パスタなど料理の種類は豊富なのですが、ほとんど(すべてかも)のものに海老か牡蠣が入っているのです。
その中でも驚いたのは馬肉のタルタル。牛のタルタルがそう簡単に食べることが出来なくなっただけに、生肉好きな人にはよだれが出る生馬肉でありますが、なんとここにも牡蠣を投入しているんですね。

経営会社は広島で牡蠣の養殖&処理工場をやっているから牡蠣の消費が大目標なのでしょうが、なんでもかんでも牡蠣を入れるのはいかがなものなのか。
ペペロンチーノなど加熱調理のものにまで投入されているのです。

経営会社は牡蠣を食することによるトラブルを避けるため、徹底的な管理(処理)をしていると漏れ聞きましたが、加熱用にこの手の処理牡蠣を使用してよいのだろうか。
一般に牡蠣には生食用と加熱用があるのですが、どちらが新鮮な牡蠣かおわかりでしょうか。普通に考えたら生食用が新鮮だと思い込みがちですが、牡蠣の場合は生食用の処理を加えるため加熱用より出荷が遅れるんですね。
牡蠣フライなどにも「生食用牡蠣」を使用する方がいらっしゃるようですが、わざわざ新鮮でない牡蠣を使用する行為でありまして、加熱調理には意味がないのであります。

また逆に純粋な牡蠣料理が少ないことに友里は疑問。
生、焼き、揚げと調理は3種でありますが、肝心の牡蠣の種類が少ない。
国産主体でありますが、徹底的な処理も影響しているのか牡蠣特有の風味を感じ取れないのです。
安全でも種類が少なく特徴の薄い牡蠣ばかりなら真の牡蠣好きの支持は集まらないのではないか。

料理の種類を多くするという「下手な鉄砲も数うてば当たる」的な発想ではなく、料理数を絞って(しかし牡蠣投入以外の料理を用意する)、肉などメイン料理も加えることにより、最後まで飽きが来ず満腹となって店を後にする客も増えるのではないかと考えます。
もちろん生牡蠣の種類はもっと増やすべきであると最後に付け加えさせていただきます。

 

ここがミシュラン3つ星とは悪い冗談だ、吉泉

京料理店として友里が一押しする「御料理はやし」を真っ向否定する店主の店がミシュランの3つ星をとったと読者から聞いたのは昨年末。
HPを見ると、

茶道、華道、香道、書、詩歌と感動を練磨し生間流式包丁などの有職料理、カロリー計算を考えた糖尿病のための京懐石、海外に京料理の何たるかをPRするための活動など、温故知新の心を忘れず常に新しい分野を志している

との大仰なうたい文句を発見。
強面の亭主が包丁を片手に鯛?に挑む写真を見て、突っ込みネタ満載を予想して直ぐに予約を入れたのはいうまでもありません。
正月明けの訪問でありましたが、料理が出る前にその予想は即確信に変わったのであります。

なんと客が見当たらない。連れにカウンターを予約させたのですが、カウンターどころか店全体に客の存在を確認出来ない、それは寂しい店内であったのです。
それでは2万円台後半の素晴らしいコースをスタートします。

黒豆、くわい、菜の花、数の子などの先付けはまずまず。しかしまともな料理はこの1品と後のスープで終了となったのであります。

タケノコの茶碗蒸しは出汁だけでやればよいものを無理に入れた蟹味噌が生臭くてダメ。
丸(スッポン)のスープはなんとか許容範囲。しかしここからが信じられない料理の連続となったのです。

造りのイカと鯛は生の小鯛の上に盛られていて、場末の旅館の活き造りのような盛り付けにゲンナリ。
しかも質も良くなかった。
続くトロの造りは冷凍物ではないか。クラッシュアイスの上に置いてあるからではなく、解凍途中のように凍っていたのであります。しかも美味くない。

鯛赤飯も淡いと言うより旨みをまったく感じない。
そして出てきた八寸。金柑、赤蒟蒻、蓮根、アワビ、栗などが三段重で出てきたのですが、これって「お節の残り物?」。
正月空けて高額和食店で大量にお節を食べたい客なんているものなのか。

津居山産だという松葉蟹の足もクラッシュアイスに突き刺さっておりまして、蟹味噌豆腐も含めて質はペケ。
聖護院蕪とタコの炊き合わせも、出汁が甘すぎるだけではなく蕪の筋が口内に当たって食べられたものではありません。

そしてお次の料理がトドメとなったのであります。
なんと田舎の旅館でしか見られなくなった「石焼き料理」が登場。カツオの酒盗につけ込んだホタテや伊勢エビを加熱した石に柚子の輪切りを置いて、その上で客が焼き上げる代物。
最悪の味と質で食べ切ることが出来なかった。

 

〆のご飯には鮎や蕾菜の天麩羅が添えられてきたのですが、素人が揚げたようなベチャベチャでこれまたペケ。
しかも若い衆は最初、白飯を1回盛りで出してきたのであります。う~ん、これってありなのか。

小売価格が5千円前後のシャンパン(クリコのイエローラベル)を1万8000円と無茶苦茶な値付けで提供するなど料理だけではなく店主の性格も悪い3つ星和食店。
こんな店が3つ星として君臨できるのですから、京都和食の地盤沈下は深刻であると友里は考えます。