ここがミシュラン3つ星とは悪い冗談だ、吉泉

京料理店として友里が一押しする「御料理はやし」を真っ向否定する店主の店がミシュランの3つ星をとったと読者から聞いたのは昨年末。
HPを見ると、

茶道、華道、香道、書、詩歌と感動を練磨し生間流式包丁などの有職料理、カロリー計算を考えた糖尿病のための京懐石、海外に京料理の何たるかをPRするための活動など、温故知新の心を忘れず常に新しい分野を志している

との大仰なうたい文句を発見。
強面の亭主が包丁を片手に鯛?に挑む写真を見て、突っ込みネタ満載を予想して直ぐに予約を入れたのはいうまでもありません。
正月明けの訪問でありましたが、料理が出る前にその予想は即確信に変わったのであります。

なんと客が見当たらない。連れにカウンターを予約させたのですが、カウンターどころか店全体に客の存在を確認出来ない、それは寂しい店内であったのです。
それでは2万円台後半の素晴らしいコースをスタートします。

黒豆、くわい、菜の花、数の子などの先付けはまずまず。しかしまともな料理はこの1品と後のスープで終了となったのであります。

タケノコの茶碗蒸しは出汁だけでやればよいものを無理に入れた蟹味噌が生臭くてダメ。
丸(スッポン)のスープはなんとか許容範囲。しかしここからが信じられない料理の連続となったのです。

造りのイカと鯛は生の小鯛の上に盛られていて、場末の旅館の活き造りのような盛り付けにゲンナリ。
しかも質も良くなかった。
続くトロの造りは冷凍物ではないか。クラッシュアイスの上に置いてあるからではなく、解凍途中のように凍っていたのであります。しかも美味くない。

鯛赤飯も淡いと言うより旨みをまったく感じない。
そして出てきた八寸。金柑、赤蒟蒻、蓮根、アワビ、栗などが三段重で出てきたのですが、これって「お節の残り物?」。
正月空けて高額和食店で大量にお節を食べたい客なんているものなのか。

津居山産だという松葉蟹の足もクラッシュアイスに突き刺さっておりまして、蟹味噌豆腐も含めて質はペケ。
聖護院蕪とタコの炊き合わせも、出汁が甘すぎるだけではなく蕪の筋が口内に当たって食べられたものではありません。

そしてお次の料理がトドメとなったのであります。
なんと田舎の旅館でしか見られなくなった「石焼き料理」が登場。カツオの酒盗につけ込んだホタテや伊勢エビを加熱した石に柚子の輪切りを置いて、その上で客が焼き上げる代物。
最悪の味と質で食べ切ることが出来なかった。

 

〆のご飯には鮎や蕾菜の天麩羅が添えられてきたのですが、素人が揚げたようなベチャベチャでこれまたペケ。
しかも若い衆は最初、白飯を1回盛りで出してきたのであります。う~ん、これってありなのか。

小売価格が5千円前後のシャンパン(クリコのイエローラベル)を1万8000円と無茶苦茶な値付けで提供するなど料理だけではなく店主の性格も悪い3つ星和食店。
こんな店が3つ星として君臨できるのですから、京都和食の地盤沈下は深刻であると友里は考えます。