高評価店だが期待はずれ、田可尾

「鮨 安吉」が印象的だったので今年の博多連泊では鮨屋訪問を2店にしようと「食べログ」などネット検索を繰り返した結果選んだのが、評価の高かった「鮨 田可尾」。博多駅周辺からは歩けない距離ですが、主人が帝国ホテル「奈可田」出身で店名からも良さそうだとの勘も働いたからです。
最寄りは天神南駅でしょうか、居酒屋などが点在する路地にちょっと浮いた店構え。ドアを開けると靴を脱がなければならない内装に驚きました。友里はこのスタイルが好きではないのです。料亭の経験が少ないからだと言われそうですが、まず面倒。なぜ履いているものをわざわざ脱がなくてはいけないのか。レストルームへ中座する際も、衛生的とは思えません。他人が使用した下駄やスリッパはなるべく履きたくないのです。隠れ家感を出したいのでしょうが、こんな無駄な内装工事にお金をかけることが理解できないのです。
お任せでツマミからスタート。まずはブリ大根です。薄味ねらいはわかりますが、コクのない味わい。部位はこんなに大きい必要はなく、旨みを感じさせて欲しかった。「安吉」のようなツマミ系でないことは、次に刺身の盛り合わせがでたことでわかりました。ヒラメ(含む縁側)、アオリイカ、ホッキ貝は凡庸、唯一ブリだけは美味しかった。大間の中トロと称するものもこの時期(1月下旬)では時期的に悪い。続く鱈の白子の後すぐ握りに変わってしまいました。
まずは生姜を一口。あまりに辛すぎて許容範囲外。そして酢飯で更に落胆したのです。塩がきつい割に風味がまったくない。米も硬いというレベルを通り越し、口の中で数粒残るほど。ネットでは乾燥しているとのコメントもありました。この時点で期待は大きくしぼんでしまったのです。
個別での感想に移りますと、良かった握りは海老、ブリ、穴子。疑問に感じたのはコハダ、鯖にキス。コハダはこのタネでは〆過ぎ、逆に鯖は〆が緩かった。キスもイマイチ。「奈可田」出身と期待した割に、肝心の江戸前仕事が期待はずれだったのです。
支払額は地方の鮨屋としては破格とも思える一人2万円超。工夫したツマミもなければ握りも酢飯や仕事に傑出した江戸前仕事を感じません。本場の高額江戸前鮨屋を経験された方にはオススメできない店であります。

不景気は高額フグ屋も直撃?い津み

冬の博多で「フグ」は外せません。博多で連泊することになった友里は、フグ屋を検索したのですが、意外に有名店や人気店を確認できません。そこで数年前に訪問していた「い津み」の再訪を決めたのです。HPで特選天然フグコース(3万1500円)の存在を知り、事前予約したのは言うまでもありません。
時はこの1月下旬。未曾有の世界同時不況はこの博多も例外ではないようでタクシーの運転手も嘆いていた不景気、果たして高額フグ専門店への影響もかなりのものでありました。その夜の客は我々を入れてホールはわずか2組だったのです。
大きな集合住宅の1階と2階部分を使用している個室もある大箱な料亭スタイル。小さくないホールにわずか4名でしたからそれは寂しいものでありました。
普通の天然とどう違うのか楽しみにしていた「特選」でありましたが、その日は入荷がないとのことで普通の天然フグコース(2万6750円)に変更です。
まずは煮凍り2片でスタート。淡い色ながら深みのある味わい。天然フグ刺しは厚めの2枚引きで量も充分。かすかに見える血管の色(ピンク色)から確かに天然であることを確認。先日甲子園口の有名店「丸安」の8キロ級を食べた直後であり、最高レベルとは思えないまでもまずは美味しい刺身でありました。
追加で頼んだ白子焼きは4200円とポーション小さいですが値付けは良心的でこれまた悪くありません。
唐揚げに変なフグを使用する東京の廉価な天然フグ?の人気店もありますが、この店はまともな唐揚げでありました。
ただしちり鍋に移る時に私は若主人らしき人の確認に驚いたのです。「鍋は厨房でやりましょうか。」おいおいあの臭みを取るため白味噌出汁にしている過大評価高額店「山祢」と同じスタイルに改悪したのか。入れる具を客に見せず総量を抑えるセコイ手法と考えテーブルでの調理に変更してもらったのです。卓上のちり鍋は「山祢」と違って量も充分なもので、生米からつくる雑炊にもまずまず満足しました。
高額店とは言え博多を代表する有名フグ店でのこの寂しいホール、地方の不景気も深刻です。総理ごっこを楽しんでいる麻生自民党に任せられないと思うのは友里だけではないでしょう。

博多の鮨のレベルに驚いた、安吉

冬の博多と言えばまず思いつくのがフグ。そして次はクエでしょうか。どちらも高級魚として人気の食材であります。ところが昨年末、久しぶりに博多に宿泊する機会をもった友里は「食べログ」を検索して博多や小倉に高評価な鮨屋が多いのに気がついたのです。他県からわざわざ訪問する鮨屋がこの地にあるのか。博多の鮨とは海鮮系なのか仕事系なのか、興味を持った私は評価の高かったこの「鮨 安吉」を選びました。
一軒家風のカウンターわずか7席の小さな鮨屋。主人が想像以上に若いのにまず驚きです。
お任せで供されるツマミと握りは記録にあるだけで25種前後。ポーションは一口タイプですが、どれも一手間かけた「仕事系」であります。
鱈の白子蒸しで無難なスタートの後に出てきたのが鰤のヅケ。和芥子を添えて味噌漬けのような味わいでしたがお酒がすすむ一品です。トラフグの昆布〆は疑問でしたが食べてみたらなかなか美味い。〆鯖はちょっと燻しが強すぎましたが、つづく鯖の押し寿司は旨みが強いけど○。カワハギ(肝ソース添え)、赤ムツのタレ焼きと普段の江戸前鮨屋では出ないタネもポーションは小さいですが悪くはありません。アンキモ、生カラスミとこれまた旨みの強いツマミが続くせいか握りに到達する前にぬる燗のペースも上がっておりました。普段は食べないタイラガイなど貝系もいれてツマミは12種出たでしょうか、その後ようやく握りの登場となります。
スミイカ、コハダ(強めの〆)、鱒の松前漬け、赤身のヅケ、小イワシと旨みの強いタネは米酢の酢飯でありました。ツマミと同じく濃いめの味ではありますが、充分許容範囲であります。
そしてその後は赤酢の酢飯に変わります。中トロ、茹で海老、赤貝、牡蠣といずれも美味しい。煮ハマがツメでなく塩、穴子のツメがやや甘すぎると好みでない握りもありましたが、ほとんどのツマミと握りに満足。
日本酒も「正一合」あるようで飲み応えがありました。玉子と生の赤身を確認できませんでしたが、ビールが2杯とぬる燗4本での支払いが2万円弱は充分もとが取れた博多の夜でありました。
勿論年明けに博多を訪れた際再訪しまして、初回ほどではありませんでしたが、満足したことを報告させていただきます。