普通の寿司だけどいつも満席、鮨 魯山

ファッションだけではなく地下のフードフロアも盛況な新宿伊勢丹店。友里もたまに立ち寄りますが、週末どころか平日でも困るのが昼の食事です。
入店客数に対してレストラン数が少なすぎるのか、レストランフロアはほとんどの店前に行列が出来ているのです。ちょっと出遅れると1時間近く待たなければなりません。比較的客が少ないのは、天麩羅、鰻、トンカツと昼から好んで食べるジャンルの店ではありません。
そんな盛況なレストラン街で、私は時間待ちしないで食べられる「裏技」を昨年見つけました。
その技が使えるのがこの「鮨 魯山 新宿店」。店前はいつも10名以上の行列が出来ていますが、これに並ばずに入ることが出来るのです。行列はテーブル席での「お決まり」でして、奥のカウンターを希望する客は並ばず直ぐ着席できます。「お任せ」や「お好み」なので高くなりますが、テーブル席の「お決まり」とはタネと握り手が違いますから仕方がありません。
昼の訪問だけですが、客層は年配客や常連が多い。デパートの上客に位置する人達のようです。
この店は「海鮮系」に属するからか、ツマミは握りタネ以外のものがでてくるので昼でもお酒がすすんでしまいます。鯛の酒盗にツブ貝串焼きなどはまずまずながら、カツオやアジ、赤貝など握りタネと被るものはそれなりの食後感。特にカツオはヅケのようで醤油が濃すぎでありました。
握りはどうかといいますと、「海鮮系」の特徴ですが酢飯はかなり緩い。コハダなど仕事したタネも街場の寿司屋と同レベル、赤身、中トロも近海物と聞きましたが、その良さが舌に伝わってこない。蟹味噌の握りが出てきてビックリしました。
支払額はちょっと飲んで食べると1万円代半ばとかなり高い。高額鮨屋に近い支払いでこの食後感に疑問の友里はネットで調べて納得しました。この店、本店は六本木にあるのですが、「築地 寿司清」の別ラインなのです。30店舗以上展開している海鮮系チェーンですから、街場寿司の食後感は当然であります。
伊勢丹へ行った際のランチ限定。間違ってもわざわざ夜にこの店のカウンターを目指してはいけません。夜に本格的に食べたら2万円近くになりそうですから、銀座の「ほかけ」など他の江戸前鮨へ行った方がはるかに満足するでしょう。

何回もリピートしてしまった回転スシ、活

知人から「美味しい回転寿司を知らないか」と尋ねられて私は返答に困りました。今まで3店訪問したことがあるのですが、再訪したいと思う店には出会えなかった。アークヒルズ、六本木ヒルズの回転寿司ではタネ自体に疑問を持ち途中退散。似非グルメ放送作家が自慢していた銀座の店(とっくに閉店)でもひどい目に遭った友里は、グラフ社の編集担当を介して回転寿司の第一人者、柳生九兵衛氏に助けを求めたのです。そして柳生氏から「東京一うまい回転寿司」として教えられた店が、この「回し寿司 活 目黒店」(アトレ目黒2)であります。
早速下見として訪問。昼時を過ぎておりましたが店内は満席で数人の行列にビックリ。定番メニューは一皿(2ヶ)105円から525円まで。「お新香握り」から「本まぐろ大トロ」までその数100種はあるでしょうか。
その他に「本日のおすすめ品」がホワイトボードに書かれております。ツマミ類もそこそこあり、お酒を飲んでの支払いは4000千円前後でありました。高額鮨屋とは一線を画する「海鮮寿司屋」の範疇なれど、今まで行った回転寿司と違って、質はさておき違和感あるタネは見当たりません。昔訪問した親店である美登利(銀座店)よりうまいと感じたほどでありました。
その後恵比寿のミシュラン掲載蕎麦店の帰りに立ち寄り、満を持して家族と訪問したのは日曜の19時過ぎでありました。覚悟はしていましたがここまで混んでいていいのだろうか。店外に出来た長い行列に並ぶこと1時間でやっと店内の待ち椅子に座れ、そこから30分でようやくグループ用のテーブル席に座れたのでした。土日はカップルもいますがほとんどが家族連れ。回転している握りを避けるため紙によるオーダーを主体にしましたが、生牡蠣はじめツマミに握りにビールとお酒を飲んでの支払いがなんと1万数千円。(4人です)酢飯が甘酸っぱい、本山葵でない、などケチなことを考えなければ、この支払いなら充分満足する「寿司タイム」でありました。江戸前鮨とは違った食べ物と割り切り、一人(お父さん)が犠牲になって1時間早く並ぶ戦略が必要ですが、悪くはない回転寿司屋と考えます。その後も4回目の訪問をしていることを最後に付け加えさせていただきます。

演出過剰だよ、プリマヴェーラ

若い時からほとんど行ったことがない軽井沢。家族の関係で行かねばならず、雑誌の特集からその夜のディナーにこの「オーベルジュ ド プリマヴェーラ」を選びました。
選んだ理由は小沼シェフが「レカン」出身だと知ったからです。過大評価の「エルミタージュ ドゥ タムラ」と違って前店がまともなところの注目したのです。
1997年にレストランをオープンしてから、わずか5年でメゾン(宴会場)、オーベルジュ(宿泊施設)と増殖して行った「プリマヴェーラ」、かなりの繁盛店だということがわかります。
訪問して驚いたのは、レストランホールは小さい(席間も狭く圧迫感あり)のに、駐車場含めた敷地がかなりデカイこと。料理よりバンケットに力を入れているとすぐに直感しました。
料理は7770円から1万2000円までの3コース制。予想通りアラカルトはありませ。我々は最初で最後と考え、スペシャリテ中心の1万2000円(肉などはプリフィクス)を選びました。
しかしこの店は非常に無駄な事に注力して固定費上げているのが気になりました。ホールスタッフに「研修生」と名札をつけた外人女性スタッフがいるのですが、彼女が一々料理をフランス語で説明するパフォーマンス、まったく必要ない。何言っているかさっぱりわからないからです。
まずはサーモンとガルグイユ。ブラスのスペシャリテと違って野菜の種類が少なすぎ。トリュフのフランもオマールとベースのフランが兼用でまったく凡庸。甘鯛の軽井沢風とはオレガノやタイムを使った紙包み焼きでした。自家製のハーブを使用しているので「軽井沢風」なのでしょうが、独創性を感じる物ではありません。オニオンが添えられた豚はマスタードソースでしたが、肝心の豚の旨みを感じなかったのが残念。
要は軽井沢の雰囲気で、地元産らしき食材を使用して調理しただけの「プリマヴェーラ」。この料理をそのまま東京で出したら通用しません。この地でしか通用しない軽井沢限定フレンチ、ワインは高くなかったですが、3名で数杯のグラスワインと1万円数千円の村名赤ワインを飲んで一人2万2000円強は、雰囲気代とフランス語の料理説明代が入っているとしてもこの食後感ではCP悪すぎです。