演出過剰だよ、プリマヴェーラ

若い時からほとんど行ったことがない軽井沢。家族の関係で行かねばならず、雑誌の特集からその夜のディナーにこの「オーベルジュ ド プリマヴェーラ」を選びました。
選んだ理由は小沼シェフが「レカン」出身だと知ったからです。過大評価の「エルミタージュ ドゥ タムラ」と違って前店がまともなところの注目したのです。
1997年にレストランをオープンしてから、わずか5年でメゾン(宴会場)、オーベルジュ(宿泊施設)と増殖して行った「プリマヴェーラ」、かなりの繁盛店だということがわかります。
訪問して驚いたのは、レストランホールは小さい(席間も狭く圧迫感あり)のに、駐車場含めた敷地がかなりデカイこと。料理よりバンケットに力を入れているとすぐに直感しました。
料理は7770円から1万2000円までの3コース制。予想通りアラカルトはありませ。我々は最初で最後と考え、スペシャリテ中心の1万2000円(肉などはプリフィクス)を選びました。
しかしこの店は非常に無駄な事に注力して固定費上げているのが気になりました。ホールスタッフに「研修生」と名札をつけた外人女性スタッフがいるのですが、彼女が一々料理をフランス語で説明するパフォーマンス、まったく必要ない。何言っているかさっぱりわからないからです。
まずはサーモンとガルグイユ。ブラスのスペシャリテと違って野菜の種類が少なすぎ。トリュフのフランもオマールとベースのフランが兼用でまったく凡庸。甘鯛の軽井沢風とはオレガノやタイムを使った紙包み焼きでした。自家製のハーブを使用しているので「軽井沢風」なのでしょうが、独創性を感じる物ではありません。オニオンが添えられた豚はマスタードソースでしたが、肝心の豚の旨みを感じなかったのが残念。
要は軽井沢の雰囲気で、地元産らしき食材を使用して調理しただけの「プリマヴェーラ」。この料理をそのまま東京で出したら通用しません。この地でしか通用しない軽井沢限定フレンチ、ワインは高くなかったですが、3名で数杯のグラスワインと1万円数千円の村名赤ワインを飲んで一人2万2000円強は、雰囲気代とフランス語の料理説明代が入っているとしてもこの食後感ではCP悪すぎです。