大人のウォーカー 2月号

鳩山総務相が、日本郵政による宿泊・保養施設「かんぽの宿」70施設のオリックス不動産一括譲渡について問題提起しています。
オリックスの宮内義彦会長は政府主導の規制改革会議議長として郵政民営化を積極的に検討したご当人。譲渡先決定の2回の入札も透明性に問題があるようで、国民には「出来レース」と見られる可能性があるのが理由としております。
私も年末にこのニュースを知り、「オリックスはまたうまく立ち回ったな」と思いました。
政府からお手当をもらって決定した規制改革により、不採算な施設だったとはいえ格安で会長自らのグループがそれを手にして良いのだろうか。
私は以前からこの宮内という人の言動が「プロ野球関連」を含めて好きではありません。社会還元より我田引水による金儲けしか頭にないように見えるからです。
普通、「売り出し」とか「キャンペーン」の申し込みにはその会社の関係者は参加しないものです。(社員バーゲンを除く)
規制改革に積極的に関わった人の関連会社は、この入札に参加するべきではないと私は考えます。普通の感覚の人なら、そうするはずなんですけど。
仮に「正当な入札で落札した」というオリックス側の主張が真実だとしても、オリックスグループの辞書には、「矜持」、「李下に冠を正さず」といった文言はないと言うことでしょうか。
オリックス、我田引水でそんなに膨張、金儲けして何をしたいのでしょうか。
さて昨年お知らせしましたように、昨日発売の「大人のウォーカー 2月号」(角川クロスメディア)に友里征耶がちょこっと出ております。
ミシュランガイドの鮨店評価について、園山真希絵氏、早川光氏、横川潤氏、そしてこの友里がそれぞれコメントしています。掲載・不掲載の各店を挙げての各論的なコメントが多い中、友里はいつものとおり調査員の資質そのもの、ミシュランの評価方法そのものについて指摘しております。各人の立ち位置、考え方の違いがよくわかると思います。
また、「デパ寿司」についてもアドヴァイザーと紹介されていますが、ライターさんにちょっと協力してランキングなどをしております。
でもこの雑誌の読みどころはこの2つだけではありません。
「年に1回」、「月に一回」、「週に一回」と予算をパラグラフに大人のウォーカーが選んだ鮨店を多く紹介している企画は読者に参考になると思います。08年ニューオープンの店紹介もあります。
中には友里疑問の店もでていますが、「年一」以外の鮨店はほとんど未訪問の店、知らなかった店ばかり。
予算5000円前後の鮨店が自宅近くにあることを確認、機会があれば家族で訪問したいと思います。
ぜひご購入いただきお読みいただければ幸いです。

ひらまつ全レストランに革命が・・・

ウエッジウッド破綻のニュースが朝番組で盛んに取り上げられています。銀座出店の高額ブランドもイメージが落ちるのを承知で値下げするなど、不景気の影響でこの業界はかなり深刻なようです。
車の国内販売も28年ぶりの低水準となる508万台とその深刻さを朝刊が報じています。12月の販売数は統計を取り始めた68年以降初となる20万台割れ。
自動車メーカー各社は、ハイブリッドや電気といった次世代車に活路を見いだしたいようですが、果たして目論み通りいくでしょうか。
バブルの頃は1年や2年で買い換えていた乗用車ですが、今は5年、6年乗るのは当たり前になっております。
おおざっぱで単純な計算ですが、老若男女をひっくるめて4名で1台の車を持っているとしても総計は3000万台。6年乗り続けるとしたら年500万台しか売れない計算になります。そのうち外車の占める割合は5%以上あるでしょうから、今後も年500万台以上をキープするのは難しいと私は考えます。
この数年、国内の販売数は減少を続けていたはず。不景気とは関係なく車離れは進んでいたわけで、活路を海外へ向けていたところに円高と世界不況のダブルパンチを受けたわけです。
車は日本製ばかりではありません。有望な車消費国には各国のメーカーが押し寄せるはず。国内は車離れ、海外も競争激化ですから、次世代車を投入してもそう簡単に昔のバラ色な経営に戻れるとは思えません。
会社や製品に賞味期限はつきものです。「車」という単体でよくまあ何十年も勢いが続いたとものだと思うのが自然ではないかと私は考えます。世に永遠の右肩上がりはあり得ません。
世界同時不況の影響ではないと思いますが、この1月中旬より「ひらまつグループ」の18のレストランで「ワインプライス革命」が起きるようです。
http://www.hiramatsu.co.jp/restaurants/news/vin.html
「ブラッスリー ポール・ボキューズ」限定だったこの革命ですが、予想通りグループ全体に広げてきました。原価率が上昇し、客単価が落ちても客数を確保して総売上、利益の確保を目指す戦略なのでしょう。
ミッドタウンのイートインの店を昨年末で閉鎖したひらまつグループ。名古屋に新たにボキューズブランドのレストランをオープンしましたが、あまりに場所とタイミングが悪すぎ。
昨年発表した中長期計画は修正せざるを得ないと考えます。
それにしてもワインプライス革命、「・・・より適正な価格で楽しんでいただけるよう・・・」とありますが、「それでは今までの値付けは適正ではなかったのか」、「適正な商売ではなかったのか」と突っ込まれることを考えていない、脇の甘い宣伝文句であります。

アマゾンのレビュアーへの回答

しばらくお休みをいただきましたが、今日から再開させていただきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
拙著「ガチミシュラン」のアマゾンのレビューで、「ベスト1000レビュアー」の方が友里に問いかけされています。
ゆりさ信介氏のレビューであります。
http://www.amazon.co.jp/review/product/4062151294/ref=cm_cr_dp_all_recent?%5Fencoding=UTF8&coliid=&showViewpoints=1&colid=&sortBy=bySubmissionDateDescending
どちらかというと山本益博氏の信奉者の立場に近い方で、氏の本のレビューでは絶賛、友里の本にはかなり厳しい批判的なご意見を書き込まれてきた方であります。ところが年末に出版されたマスヒロさんの「東京番付」はいつもの絶賛とはちょっと違っておりました。そして「ガチ」の今回のレビュー、まずは下記引用をご覧ください。

友里氏が今回採りあげた有名店のなかで、「すきやばし次郎」について感じるところを書くと・・・。
小野二郎氏をゴッドハンドだなんだと、国宝級にまつり上げることには、私も「?」なのだが、彼が「現代の鮨名人、達人のひとり」であることは、事実だと思うんだよな。
だとすると、齢80を超えた鮨名人が、多少不遜であろうと、客に鮨の食べ方なるものを指南しようと、私は、腹立たしいとか生意気だとかいう感情は持てない。
むしろ、そう感じる友里氏の方が、料理人蔑視とでもいうような考えを、基本的に持っているのではないだろうか?
「かましている料理人を、食べ手の位置まで引きずり下ろしたい」「なんで客側が緊張して食事しなければならないのか?」といった友里氏の主張も、理解できないことはないのだが(私だって、実力も伴わないのに偉そうにしている料理人は嫌だ)、「目上の人に対する敬意」だとか「その道一筋で長年修行してきた人への尊敬」だのというものが、どうも氏には全く感じられないんだなあ(くりかえすようだが、相手は80歳オーバーですぜ)。
小野二郎氏は、決して不真面目な生き方をしてきた人ではないと思うし、金儲けしか考えないような人でもないだろう(だとしたら、「水谷」や「青空」の主人が、あそこまで敬愛しないだろ?)。
そんな「おじいさん」の店が、支払いが高かろうが、必要以上の威圧感があろうが、それで満足している客がいるなら、私はそれでいいと思うんですがね。
どうです、友里さん?

読者の方からもブログで回答すべきだとのご指摘を受けましたので、2009年本格スタートとなる本日、ここに簡単ですが回答させていただきます。
まずは私の中での小野二郎氏の位置づけが、「ゆりさ信介」氏とはかなり違います。20年前は鮨業界の「名人」であったかもしれませんが、ここ10年は単なる「ワン オブ 高額鮨店の主人」だと私は思っております。
タネ、仕事、握り、とどれも傑出した鮨だと思っておりません。
また私は「料理人蔑視」のような考えは微塵も持っておりません。あくまで店側と客の立場は対等だとの考えが基本であります。料理人と客の立場はイーブンだというのが自説でありますので、そこには80歳を超えた人だから「不遜」を見逃す、という考えはありません。
高齢者を大事にしなければならないのは当然ですが、その思いと料理人と客の関係は全く別であります。
高齢料理人に優遇を許すと言うことは、逆に「若い料理人」にはどう対応しろと言うのか。辛めに対応しろとでも言うのでしょうか。
確かに「修業不足」な若手はNGでありますが、しっかり結果を出している料理人には、年はまったく関係ないと私は考えます。
ゆりさ氏はじめ料理人信奉者には、「その道一筋で長年修業してきた人への尊敬すべき」という考えがあります。
確かに上っ面は聞こえのよい言葉でありますが、「その道一筋で長年」は料理人の専売特許ではない。
客だって、「その道一筋」で頑張って仕事してきた人はいくらでも居るのです。小野二郎氏にそんな客へのまともな思いがあるでしょうか。
私はゆりさ氏に問いたい。拙著「シェフ・板長を斬る」(黒本)にも書きましたが、二郎氏が長男と客に聞こえる音量で言っていた前の客の悪口を聞いても、「80オーバーだから大目に見ろ」と言えるのか、と。
「目つきがおかしかった」、「握りをすぐ食べやがらなくて」、「ガリばっかり食いやがって・・・」
人前でなくても普通の神経の人なら口に出せる言葉ではありません。
私はこの言動を聞くだけで、二郎氏は「真面目」な人だとはどうしても思えないのです。
威圧感ある料理人に媚びる客は何処にでも居ます。それはその人の勝手でしょう。
しかし、山本益博氏がそれほど高額鮨に詳しくない一般読者に対し、このような性格の主人の店を「日本一」だと絶賛し、「手紙をだして握ってもらうよう頼め」、「1週間前に店へ出向いて頼め」と煽るのは間違っていないか。
一部のマゾ的常連客(とはいえ本当の常連や富裕層はマゾではなく二郎さんに強気で臨んでいるようです。握りは直ぐ食えと言いながら、イソイソと折りに握りを詰めているのを目撃したこともあります)やヨイショライター、そして弟弟子や弟子が敬愛するのは勝手ですが、純粋な一般読者にこの店を煽るのは間違いだと私は問題提起しているのです。
握りは直ぐ食べろ、と20分かからず20ヶ近くの握りを出すくせに、なぜ「お土産の握り」を常連に用意するのか。
言っていることとやっていることがまったく「矛盾」している「すきやばし 次郎」。
昼にお酒を飲まず3万円、夜ならかるく5万円近くになる何ら傑出したものがないこの世界一時間単価の高い鮨店、友里の評価が辛いのは当たり前であります。
どうです、ゆりさ信介さん?