最近出版されたカレー本

知人のススメで「水野仁輔の本当は教えたくないカレー 東京最好の100店」(ブルース・インターアクションズ出版)を購入しました。実はこの友里、結構カレーが小さい時から好きでして、ラーメンは食べませんが小腹がすいたときたまにカレーを食べたりしています。
知人が関係している店が100選に選ばれているのですが、この本のタイトル、ちょっと長すぎないか。出版社の社名も長すぎ。紹介するのに大変です。
しかし「水野仁輔」なる名を知らなかった友里は、彼が参加しているというユニット「東京カリ?番長」も人生で数回聞いたことがあるかどうか。カレーファンには有名なのでしょうが、それほど知名度あるとは思えず、堂々と本のタイトルに自分の名前を入れる自己顕示欲に脱帽しました。
なんでもグルメを気取る自称食通の放送作家・小山薫堂氏とコラボで東京タワー内に「東京カレーラボ」をオープンしたそうです。推奨店が疑問の連続の小山薫堂さんとつるむような人ですから、私はあまり信用できないんですけど。
さて、その「死ぬまでに食べておきたいカレー100店」、予想通り私が行ったことある店は数店、ほとんど聞いたことにない店でした。行ったことがあるのは、「嶮暮帰」、「カーマ」、「えすと」、「東インドカレー商会」くらいであります。
驚いたのは「キッチン ボン」。31位にランクインですが、私はここにカレーがあることを知りませんでした。シャリアピンステーキに限らず、ボルシチ、アワビのサラダにまでたっぷりニンニクを使う「ニンニク洋食屋」ですから、恐らくカレーにもたっぷり入っているのでしょう。
ここに挙げられた100店ですが、そのカレーは業務用のカレーパックを使用している店が結構あるのではないでしょうか。著者は洋食屋やホテルのカレーはくどくて苦手と書いてありますが、そのホテルのカレーはほどんど業務用を使っているのではないか。ホテルの名を冠するクッキーも実は専業クッキー会社のOEMだったりすることと同じ構造であります。同じ業務用でも価格にかなり差があるそうで、やはり高いものは美味しいとか。一般のカレー店は、売値を考えてその業務用カレーのランクを決定し採用、店独自の特徴を入れ込む工夫をしているようです。ベースを業務用に依存するか、仕上げにだけ使用するか、それはその店のポリシーでありましょう。
実際、その100選に選ばれた知人のカレーショップでは、仕上げに安めの業務用のパックとルウを添加して、日本人好みの「まったり感」と「辛味」を出していると言っていました。
カレーのプロであろう水野仁輔氏においては、その辺の業務用パックやルウの使用状態なども解説してカレー業界の内幕を述べていただきたかったと考えます。
それにしても食材業者やお店の宣伝マンといえる「やまけん」さんが大絶賛している「インディアンカレー」が載っていなくてホッとしました。並んで食べていらっしゃる方には申し訳ないですが、トレンドから外れたシーラカンス的なカレー、勿論セントラルキッチンでのパック詰めで運ばれてきているはずであります。
また最近は「オムライス」まで出してきた「ラ・ソース古賀」もでてきません。小麦粉のトロミが苦手な著者には合うカレーだとおもうのですが、値付けが高いから選から漏れたのか。
一時流行ったバーのカレーも固形のルウを大量に使ったものがほとんどとのこと。業務用のパックやルウをまったく使っていない街場のカレー店ってあるのでしょうか。

最近訪問した店 短評編 13

「進むも地獄、退くも地獄」とよく言われますが、安倍首相の場合は退いた方がはるかに楽なのではないか。思うような人事権が残っているとは思えず、手足をもがれたも同然の立場でなお首相の地位に留まりたい執着心はどこから生まれてくるのでしょうか。
「改革を進めていきたい」と何とかの一つ覚えを唱えていますが、誰も頼んだ覚えはない勝手な言い分であります。ここまで自己陶酔というか、わがまま言い切ってしまって、安倍さんも完全に「勘違い」してしまったと言えるでしょう。50歳過ぎはもう若いとは言えない歳だとおもうのですが、今回の彼の愚行のおかげで、年寄りが復活してしまうといった時代逆行が心配です。
さて、今日の3店はフレンチ、イタリアン、鮨であります。数年ぶりに訪問したフレンチはどう変わっていたか、犬養裕美子さんお気に入りのイタリアンは本当に美味しいのか、自分の名字を店名にして独立した鮨屋はどうなったでしょうか。
コム ダビチュード 池尻
中目黒の店から今年池尻に移転。黒本で取り上げた後、当日訪問が満席と何回か断られてすっかり足が遠のいておりました。中目黒では順調だと思っていたのですが、釜谷シェフのブログを読むと結構いろいろな事があっって大変だったようです。
新店はだいぶキャパを絞った大きさ。「野菜の煮凝り」、「牛ほっぺの赤ワイン煮」などおなじみの料理も並んだプリフィクスコースは健在ですが、ちょっと価格が上がったのではないか。何より驚いたのは、ワインリスト。昔はアルザス、ブルゴーニュなどかなり充実したワインがリーズナブルにリストに並んでいたのですがその面影がまったくありません。種類も少なくまったくこだわりを感じないワインのラインナップになっておりました。「釜めし」なるフレンチ風ご飯が800円で用意されていますが、CP含めて料理に以前の勢いを感じませんでした。
うーん、結構気に入っていたフレンチだったのですが、どうなっちゃったんでしょうか。シェフには以前以上のモチベーションを取り戻していただき、頑張っていただきたいと切に感じた夜でした。
イル・リストランテ・ネッラ・ペルゴラ 広尾
犬養裕美子さんが四葉のクローバーをつけて最高評価しているイタリアン。7000円のプリフィクスコースが主体ですが、個室では1万円のお任せコースしか頼めません。タプナードやカスレなど南仏料理みたいなものもあり、パスタを除けばフレンチかと思うような料理が並んでします。
頼んだ料理がたまたまだったのか、スペシャリテといわれる「花ズッキーニとジロール茸のヴァポーレ」、そして「サマートリュフとサマーポルチーニの手打ち麺」、「仔羊のカラーブリア風」は普通の質と調理でまTったく驚きがありません。期待が大きかっただけに拍子ぬけしました。
ワインもトスカーナ物がリストの4ページを占めるなどコンセプトがよくわからないラインナップ。高い「カーセバッセ」がいくつもありましたのでレアワイン好きにはいいかもしれません。適度なワインを飲んで一人1万5千円以上かかる地元色をそんなに感じない南仏系イタリアンでした。
赤坂さいとう
「赤坂かねさか」から斎藤氏が独立したというか、場所を変えず店名を変更して再出発。しかし、仕入れ先は変わらず、主人も変わるわけではなく、支払額も含めて「かねさか」時代と全く同じでありました。
この店の良いところは、昼営業しているところでしょうか。場所的なこともあり、オークラで打ち合わせ後、「久兵衛」へ行くくらいならちょっと歩くがこちらだろう、といった使い方ができます。
結構常連が多いようで、「お決まり」ではなく「お任せ」を昼からお酒飲みながら頼んでいる客も目立ちました。キャパ小さいですが、一人客には居心地が良いかもしれません。

ミシュラン予想を続けるマスヒロさんの狙いは何か

「おとなの週末」の「食べ歩き手帳」をはじめ最近のマスヒロさんは、今秋発売されるミシュラン東京版に星付きで掲載されるであろう店を盛んに予想しております。
「トロワグロ」は2つ以上だろう、「アンティカ ・・・ポンテ」も掲載される、「小十」も間違いない、「ラムゼイ」も1つ以上だと空手形を乱発、勿論自分と関係の深い「ジョエル ロブション」にも太鼓判を押しています。そういえば過食のオコチャマとの関係が深い「カンテサンス」も挙げていましたっけ。でも親会社である出店し過ぎの多店舗展開会社「グラナダ」、環境的には厳しいので掲載されてもグループ全体の救世主になれるかどうか心配です。
最近のタレントと見間違うほどマスコミ露出の激しいミシュランガイド総責任者のナレ氏の勘違いを見てしまうと、果たして「ミシュラン 東京版」が厳正、公正さを保てるのか疑問なのですが、仮に広く伝えられているようなイメージ通りの信頼できるガイドが出来てしまったら、我が国のグルメ業界は大変なことになるのではないかと考えます。
それほど信頼できるガイドができたなら、もう他のガイド本だけではなく、ヨイショライター、似非料理評論家、似非フードジャーナリストは必要とされないからであります。これ1冊持っていればオッケーとなり、彼らの活躍の場はなくなるのではないか。
ではそのような自分の仕事を奪う可能性のあるミシュランガイドをマスヒロさんはなぜ取り上げるのか。掲載予想をするのか。
私が思うに、バンバンあからさまに予想してミシュラン出版時の話題性を無くしてしまおうとの狙いがあるのではないでしょうか。巷で評判の良い店を前もって大量に挙げてしまえば新鮮さはなくなります。
ミシュランとしても独自性が薄れ、何かマスヒロさんの予想をマネしたと思われるのも癪だと無理に外すことを考えるかもしれません。店側も面白おかしく予想されるのを嫌がって掲載拒否をミシュランへ通達するかもしれません。
発売されたミシュランを手にとって予想が当たっていたら、「さすがマスヒロさん」と彼の株が上がり、予想がはずれたら、「私の予想を見てミシュランは変更した」とエクスキューズでき、ミシュランの新鮮さも打ち消せるなど、このマスヒロさんの「予想事業」は彼の商売にとって一石二鳥以上の効果があると考えます。
しかしミシュランは掲載する店へはあらかじめ通達しますから、マスヒロさんの予想を見るまでもなく当たりをつけた店に個人的に聞けば掲載されるかどうかわかる話なんですね。私も実際、ある店の方から掲載されるとの話を聞きました。結構ネタは漏れているんです。
しかも調査員の一人がロオジエの元マネージャーだとか業界ではバレバレですから、私はこの「ミシュランガイド 東京版」、そんなに凄いものができるとは予想しておりません。写真付きで奇麗な装丁かもしれませんが、そこらに氾濫する宣伝ガイド本と大差のない出来ではないかと考えます。