厚めの肉を思いっきり堪能できる、きらく亭

焼き肉の激戦地である六本木・麻布界隈。「絶品レストラン」(鉄人社)で友里オススメの十々はじめ、叙々苑(プレステージの遊玄亭も)、金龍山、焼き肉ジャンボ(正確には白金地区)などが目白押しの中、この「きらく亭」は長く人気を誇っている有名店であります。
広尾駅や白金高輪駅から徒歩で10分以上とアクセスが悪いのと、予約が殺到しているからか2時間限定&入店時刻を制限されるなど使い勝手が悪い。すっかり足が遠のいていましたが、急にドカンと肉が食べたくなってダメ元で電話したらその日17時より2時間限定でオッケーとの話で飛び込んだのは昨年の晩夏のことでありました。

焼き肉で2時間は余裕と思いがらも遅れてはいけないと5分前に到着した友里。しかし地下だと記憶していた店が地上階にあるではありませんか。店を間違えたかと思ったのですが、客が殺到し続けたからか地上階にも別館として店を拡張していたのであります。
地下の本店は相変わらず狭い感じですが、17時を越えると客が次々入店してきます。この店に来たからには、普通のタン塩やカルビ、ロースを頼むはもったいない。レバ刺しを頼んだ後は、ウリの「厚切り肉」を食べまくったのであります。

この時期食べるのに慎重になったレバ刺しは可もなく不可もなし。厚切りタンは3枚ですがとにかくポーションがデカく食べ応えがあります。和牛のヒレは1枚とはいえ大きいので2名ならこれで充分。
まだ提供していたユッケ、かなり太切りで食べ応えがあって○。そしてツマミに頼んだキムチを食べてようやく気づいたのですが、焼き肉店に付きものの化学調味料の添加が少ないんですね。次に出た豆腐チゲを食してはっきりわかった次第であります。
塩サラダも上品な味で、厚切りイチボは結構サシが入っていて友里の好みに合わなかったけど、次にタレでミスジを頼み、ユッケジャンスープに石焼きビビンバで〆となったのであります。

ワインの持ち込みは2100円と安いけど2名の割には頼みすぎ(食べ過ぎ)で支払いはなんと3万円強。これだけ厚切り肉を食べれば文句が言える価格ではありませんが、添加物が少ないことがより食欲を増したということでしょうか。
もう少し使い勝手が良ければ、ちょくちょく再訪したい焼き肉店であります。

何を食べても満足しなかった、トレーダーヴィックス

赤身好きの友里がアンガス牛ステーキに釣られて訪問した様は昨年はじめのコラムで述べました。300グラム以上のブロック肉を特製の窯で焼き上げるというフレコミでしたが、窯の輻射熱だけの火入れだからか、外側がカリッとしておらず塩も緩過ぎで旨みのない蒸し肉のようなもの。「アンガス牛が泣いている」とのタイトルをつけたほど落胆したのであります。

シュリンプカクテル(2600円)はデカイだけで旨みなし。海老グラタン(2750円)も高いだけ。オリエンタル風春巻き(1800円)はこの価格で太いのがわずか一本のみ。シーザーサラダ(1700円)は目の前で造ってくれますが量も少なく資生堂パーラーの足下にも及びません。アボガド&トマト(1600円)もあまりにCP悪く、トムヤムクン(1600円これも高いぜ)が唯一まともと感じただけでした。

酒類もあまりに高過ぎで再訪はあり得ないと思っていたのですが、ボートハウスバーという軽食用のバーホールでは、3000円もするハンバーガーがウリだと聞き、凝りもせず昨秋に再突入してしまったのです。HPの写真を見る限りかなりのボリューム。旬の食材を使ったDDバーガー(ダブルダブルバーガー)やブラックアンガスバーガーを試すべく、大食い食べ仲間2名を誘っての再チャレンジであります。

まずは野菜摂取からとシーザーサラダ(1700円)を頼んだのですが、メインホールと違って目の前で造らずショボい量のサラダが登場して期待は一気に盛り下がりました。ほうれん草のサラダ(1650円)も量少ない。
そしてDDバーガーの登場です。秋味と言うことでポルチーニやマッシュルームが入っていましたが、写真から受ける迫力はなく、これが3000円はあり得ないボッタクリ値付け。ブラックアンガスバーガーは肝心のパテがコンビーフのように目が細かく食感が良くない。火も入りすぎていてアンガス肉の旨味もなくこれまた完全な期待はずれとなりました。

最後の確認で再び頼んだアンガスステーキ(500gで1万円)は、今回ミディアムレアにしたけど相変わらずジューシーさがなくパサつくだけ。またまたアンガス牛を泣かしてしまう結果となった次第であります。
今度こそ友里の再訪はあり得ません。

ワインや料理に拘りがない人限定、ORIGAMI

知人家族の誘いでホテル建て直し後初めて訪問したのは昨秋。排骨拉麺やチキンバスケットなど旧キャピトル東急時代の定番料理は健在でしたが、我々はお買い得と勧められたプリフィクスコース(5544円~)を頼んでしまったのです。
アラカルトメニューから前菜、スープ、メイン、デザート、コーヒーを選べるので一見するとCPがよいと感じるのですが、ここぞと思う料理に追加料金が設定されていて、5544円では済まない仕組みになっているのです。

たとえばウリのローストビーフ(単体で6699円)は追加が3003円。これを頼んだだけでコース価格は8500円を超えてしまいます。仕掛けは追加料金だけではない。
前菜とは別のジャンルにベジタブルディッシュというのがあり、ラタトゥーユ(1386円)から旬野菜のココット焼(2079円)まで、前菜料理より魅力的に見える料理が4種。実はこの4種を前菜として選ぶと無造作に追加として1155円を取られてしまうのです。
前菜群が単品2000円前後で追加がないものがあるのに、ベジタブルディッシュの中から1300円のラタトゥーユを頼んで追加に1155円取られる不思議。どう考えても計算が合いません。

またワインは値付けが高いだけではなくリストにヴィンテージ記載がない。料理やワインに無頓着な政治屋やその関係者を主要客に設定している営業姿勢と読みました。

肝心の料理は野菜のココット焼きは値段を考えなければまずまず。しかしウリのローストビーフは生のホースラディッシュをその場で摺り下ろすパフォーマンスを考慮に入れても帝国ホテルのサールの方が遙かに上と判断できる食後感。ブラックアンガスビーフのグリルも、薄く柔らかいだけで期待はずれでありました。

日を変えてチャレンジした定番料理もイマイチ。排骨拉麺(2541円)はあっさりし過ぎで、ブイヤベース(5659円)も量が少なく魚介類の質が悪いからか出汁が効いておりません。トマトのファルシ(2772円)も中にタラバ蟹がほとんどなかった。

ほとんどの客が定番料理を1~2品にグラスワインを1~2杯頼んでいるだけでしたから、この節約注文がこの店の最適な利用法であると理解したのです。料理やワイン、そして支払額に拘りのない人以外は訪問不要の店であります。